『ホタルの嫁入り』4話「天女島」は、地面のご飯を食べて扇子で舞った紗都子を見て、進平が変わる回です。最後はホタルの下で「この心臓はもう紗都子のものだよ」と告げます。
家名も美貌も通じない島で、紗都子が自分の力で立つ。そして4話を締める一言は「遊女になってほしいんだ。紗都子に」。告白に続けて、とんでもない頼みが来ます。
いちばん面白いのは、3話の「この心臓 私に譲ってくださらない?」に、進平が4話で二度返事をするところ。一度目は遊女について行く口実、二度目はホタルの下の告白で。
言い返した相手から、同じ話のうちに返事が二回。一回目がひどいぶん、二回目がよく効きます。
読者がとくに見ていたのは、舞いながら紗都子が進平へ流し目を送る24ページ。進平が落ちた瞬間として、ページ番号まで挙げられています。
※この記事は原作漫画第4話までのネタバレを含みます。アニメ第2話との対応にも触れます。
この記事でわかること
『ホタルの嫁入り』4話のネタバレ|宿の追手から、ホタルの下の「遊女になってほしい」まで
4話は、3話の宿に追手が踏み込むところから始まり、ホタルの下で進平が紗都子に遊女になってほしいと頼むところで終わります。
- 宿に追手が踏み込むが、進平があっさり片付けて「宿の中で刀抜くなよ」「壁が汚れるだろ」。別の宿へ移ろうと紗都子を連れ出す
- 進平に抱えられながら、紗都子は3話で言い返したことを進平がどう思っているのか気にする
- 着いた先は、日本中の色町から買い取られた一流の遊女たちが暮らす島・天女島
- 遊女たちに誘われた進平は、ここを出たら死ななきゃいけないんだから、と3話の言葉を持ち出してついて行こうとする
- 置いていかれた紗都子は遊女に突き飛ばされて尻もちをつき、笑われる。進平は横で見ているだけ
- 助けを求めても誰も話を聞かず、汚いとまで言われ、紗都子は地面に手をついて悔し泣きする
- ご飯を差し出してくれた男がいたが、さっきの遊女がわざと地面へ落とす。紗都子はそのご飯を手ですくって食べる
- 扇子を借りて、お礼にその場で舞う。舞いながら進平へ流し目を送り、踊り終わる頃には見物人たちが紗都子を取り合う
- 進平が紗都子を抱き寄せて連れ出す。怒った紗都子に、助けてもらえるならあなたじゃなくてもいいと言われ、必死に謝る
- 初めて見るホタルの下で「この心臓はもう紗都子のものだよ」。そして、遊女になってほしいと頼む
冒頭には3話ラストの回想が入ります。「この心臓 私に譲ってくださらない?」を思い出しながら、紗都子は「私が言い返したこと…どう思ってるのかしら」。
この心配には、4話のうちにちゃんと答えが出ます。紗都子がなぜ心臓を求めたのかは、『ホタルの嫁入り』3話の感想・考察で追いました。
第4話「天女島」は、マンガワンのアプリで2023年1月29日の夜からコメントが付き始め、2月13日に通常公開。2026年11月3日時点では、読むのにアイテムが必要です。
翌30日の昼には、マンガワン公式Xが更新を告知しています。
告知の言葉は「進平の愛が、紗都子にも牙を剥く」。読み終えると、その牙は刀ではなく、意地悪とやきもちの形で出てきます。
アニメでは、第2話「天女島」に原作3話の宿の夜と4話の島の出来事が入っています。放送中の公式Xも、3話と4話の台詞を続けて投稿していました。
天女島で何も通じない紗都子|「汚い」と言われた令嬢が、地面のご飯を食べるまで
天女島で紗都子は、家名も美貌も効かない場所にいきなり一人で放り出されます。それでも、差し出されたご飯が地面に落ちた時、紗都子はそれを口にしました。
島に入った時の紗都子は、朱色の建物と着飾った女性たちに見とれていました。治安の悪い場所に連れてこられたと思っていたのに、まるで別世界。
ところが遊女たちが声をかけたのは進平のほう。進平はついて行こうとし、寄り道している場合じゃないと止める紗都子に、ここを出たら死ななきゃいけないんだから、と返します。
3話の「死にたければどうぞご勝手に」を、そのまま使っています。紗都子が気にしていた言い返しへの、最初の返事がこれでした。
「ご勝手に」と言われた命を、遊女屋の前で切り札に出す。根に持った言葉の使いどころ、そこなんだ。
置いていかれた紗都子は、遊女に突き飛ばされて人前で尻もちをつき、笑われます。人前で転ぶのも、笑われるのも初めてでした。
その間、進平は横で見ているだけ。コメント欄にも「一応嫁?があんな扱いされてても横目で見るだけ」と怒る書き込みがありました。
| 比べる点 | 桐ヶ谷家の紗都子 | 天女島の紗都子 |
|---|---|---|
| 外へ出る時 | 1話では護衛の康太郎と一緒に町へ | 家の外に一人で出たことがないまま、知らない島で置いていかれる |
| 困った時 | いつも誰かが守ってくれた | 事情を話して助けを求めても、誰も聞いてくれない |
| 向けられる目 | 名家に生まれ、美貌に恵まれた令嬢 | 物乞いを見るような目と、「汚い」の一言 |
進平に見捨てられたら、自分はどうなるのか。誰かに頼るばかりだった自分の無力さに、紗都子は地面に手をついて悔し泣きします。
そこへ、一人の男が茶碗に盛ったご飯を差し出してくれます。ところが、さっき言い争った遊女がわざと手を滑らせて、ご飯を地面へ落としてしまう。
紗都子は、地面に落ちたそのご飯を手ですくって食べました。
ついさっき「汚い」と言われた令嬢が、地面のご飯を選ぶ。体面より、今日を生き延びるほうを取った。この一口で、紗都子は守られる側から降ります。
扇子一本の舞で、進平の目が変わる|24ページの流し目と瞳の光
ご飯の後、紗都子は扇子を借りて、お礼にその場で舞います。この舞で島の目が変わり、横で見ているだけだった進平の目まで変えてしまいます。
1話の紗都子の唯一の夢は、家の利益になる結婚をすること。父に恩返しをするのが生きる目標でした。その夢の話は『ホタルの嫁入り』1話の感想・考察で詳しく書いています。
4話の島でも、紗都子はその夢を手放していません。アニメ第2話の放送中、公式Xは島で紗都子が口にするこの台詞を流しています。
原作のコメント欄にも、掲載当夜に「結婚して初めて役に立つってワードがとても切なくなってしまった」という書き込みがありました。
生き抜く力がないなら、今からつければいい。そう決めた紗都子が持っていた力が、令嬢として身につけてきた舞でした。
| 比べる点 | 舞の前 | 舞の後 |
|---|---|---|
| 周りの扱い | 話を聞いてもらえず、「汚い」と言われる | 見とれた人たちが、店で働かないかと紗都子を取り合う |
| 紗都子の立場 | 進平に見捨てられたらと怯える | 自分の舞で、島の人の目を集める |
| 進平 | 遊女に誘われ、ついて行こうとする | 紗都子を抱き寄せて、人だかりから連れ出す |
家に帰って結婚するまで、自分は家の役に立てない。そう思っていた紗都子が、結婚より先に、自分の稽古で島の空気を変えてしまった。
心臓の悪い令嬢が、土まじりのご飯を食べたあとに往来で踊る。コメント欄に「そんなに踊って心臓大丈夫かい?」と心配する声が並ぶほどの無茶です。
その舞の途中、24ページで紗都子は進平へ流し目を送ります。「24pの完全に紗都子に落ちた瞬間の顔がたまらん」と、受け止めた進平の顔を挙げる読者もいます。
ふだんの進平は、光の入らない黒い目で描かれています。その瞳に光が入るのは24ページと33ページだけ、と気づいた読者もいました。
行動も変わります。さっきまで遊女について行こうとしていたのに、紗都子が取り合いになった途端、進平は抱き寄せて人だかりから連れ出します。
自分が遊女に囲まれるのはよくて、紗都子が囲まれるのはダメ。そのルール、進平にだけ甘くないですか。
「この心臓はもう紗都子のもの」|3話の「譲って」へ、ホタルの下で返した答え
3話で紗都子が求めた心臓を、進平は4話のホタルの下で「もう紗都子のもの」と差し出します。気にしていた言い返しへの二度目の返事は、告白でした。
その前に、紗都子は怒っています。遊女について行こうとした進平に腹を立て、助けてもらえるなら別にあなたじゃなくてもいい、と言い放ちます。
すると進平は、からかって悪かったと必死に謝ります。しょんぼりする進平は、それまでとはまるで別人。
| 比べる点 | 2話 | 4話 |
|---|---|---|
| 紗都子の言葉 | 契りの口づけを求められて「…断ったら?」 | 助けてもらえるなら、あなたじゃなくてもいい |
| 進平の返し | 返り血を浴びたまま「約束の時間に殺すだけだ」 | からかったことを必死に謝り、しょんぼりする |
| 差し出すもの | 紗都子の命を握ったまま、契りを迫る | 自分の心臓を、紗都子のものだと言う |
二話前は断ったら殺すと言っていた人が、あなたじゃなくてもいい、の一言で謝り倒している。脅す側から、手放されたくない側へ。
怖い顔からしょんぼり顔まで、進平の表情の振れ幅は進平の目と表情の魅力をまとめた記事でも追っています。
機嫌を取るために進平が紗都子を連れて行ったのは、ホタルが飛ぶ場所でした。紗都子にとって、ホタルを見るのはこれが初めて。光に包まれたような景色です。
そこで進平は紗都子の手を取り、自分の心臓に当てて「この心臓はもう紗都子のものだよ」。体は道具だと思って雑に扱っていい、好きだよ、ずっとそばから離れないで、と続けます。
心臓を渡したうえに、体は道具でいいとまで言う。差し出せるものを、全部並べてくる人です。
この「好きだよ」が33ページ。読者が進平の瞳の光を見つけた、もう一つのページです。
この台詞は、アニメの本PVにも使われました。公式Xは放送前、PVの場面カットとして投稿しています。
| 比べる点 | 3話 | 4話 |
|---|---|---|
| 言った人 | 紗都子 | 進平 |
| 言った場面 | 進平に「死のうかな」と試された宿の夜 | からかったことを謝った後、ホタルの下 |
| 言葉 | 「死にたければどうぞご勝手に。その時はこの心臓、私に譲ってくださらない?」 | 「この心臓はもう紗都子のものだよ」 |
| 心臓を渡す時 | 死んだら、その時に | もう渡してある |
3話の一言は、命を軽く言う相手への言い返しでした。進平はそれを、皮肉ごと真に受けて、自分の告白にしてしまいました。
紗都子のほうも、めちゃくちゃなことばかりするのに憎めない進平を見て、殺し屋じゃなければ仲良くなれたかもしれないと感じます。
ホタルの光は、オスとメスが互いに交信するためのもの。成虫の寿命は野外で約7日です(守山市ほたるの森資料館「ほたるの一生」)。
相手を呼ぶ光の中で、心臓の病を抱えた紗都子に、自分の心臓を差し出す。題名の「ホタルの嫁入り」に寿命の短さも重なるのか、とコメント欄で考えた人もいました。
1話の冒頭でも、手紙を読む人物の周りにホタルが舞っていました。その人物はまだ明かされませんが、4話のホタルで1話の冒頭を思い出した読者もいました。
好きなのに、なぜ遊女に? コメント欄に並んだこの疑問への4話の答えは、島の掟です。
告白の余韻のまま、進平は本題に入ります。天女島は法律の外にある島で、女がここを出る方法はたった一つ。遊女になることでした。
心臓まで差し出して、続くお願いが「遊女になってほしいんだ。紗都子に」。進平の告白、甘いところと物騒なところの距離が近すぎる。
4話の読者の反応|いいねが集まったのは「独占欲」と「米くれたおっちゃん」
マンガワンの4話には800件を超えるコメントが付いています。いいねの多い順に並べると、上位は二人の独占欲と、島での紗都子でした。
| 書き込み | いいね |
|---|---|
| 「お互い独占欲が強くて強くて…早くくっつけ!」 | 8,961 |
| 「過去一作画に時間かけたのがマジでよくわかる。4Pめちゃんこ綺麗だった〜」「舞ってる紗都子も綺麗だった〜」 | 7,371 |
| 「今日のMVPは米くれたおっちゃん」「チャンスをちゃんと掴んでモノにする沙都子流石だぜ!!!!!」 | 6,099 |
| 「ゾ○以外で地面に落ちたご飯を食べる人初めて見た」 | 5,395 |
| 「18歳のやきもち焼きってもうその時点で可愛いやんけ…」 | 4,386 |
2位の書き込みが名指しした4ページ目は、夜の天女島を描いた扉です。灯りのともる町並みを、紗都子が見渡している。この島の美しさが、後の「汚い」をいっそう冷たくします。
3位の「米くれたおっちゃん」は、地面に落とされたあのご飯の差し出し主。紗都子の再起の一歩目を、見ず知らずの男が支えていたことに、読者はちゃんと気づいていました。
進平の受け止めは割れます。依存させようとしてる感じが怖い、という書き込みに2,000件を超えるいいね。一方で、ちゃんと謝って好きと伝えた、と喜ぶ声もありました。
ブックライブの単話4のレビューには、紗都子の肝の据わり方や、踊る姿のかっこよさを挙げる声が並びます。
アニメ第2話を見た人のXにも、舞に見とれる進平の目を挙げる投稿がありました。原作の読者が24ページを挙げたのと、見ている場所が同じです。
アニメ公式が募った第2話のお気に入りシーンでは、1位としてホタルの森の場面が公開されました。
4話は原作1巻に収録。3話の「この心臓 私に譲ってくださらない?」から続けて読むと、地面のご飯も扇子の舞も、二度の返事も1巻のコマでそろいます。
まとめ|4話は、紗都子の舞で進平の目が変わり、心臓を差し出す回
『ホタルの嫁入り』4話「天女島」は、紗都子が地面のご飯と扇子の舞で立ち上がり、舞のあと態度を変えた進平が、3話の「譲って」に「もう紗都子のもの」と答える回でした。
宿では「壁が汚れるだろ」と壁の心配をしていた殺し屋が、ホタルの前では心臓ごと差し出す。大事にするものの順番、たった一話で入れ替わりました。
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