『無職転生』のエリスが使う剣術の軸は、ギレーヌから学び始めた剣神流です。成長後を象徴する一本としては、剣王となった後にガル・ファリオンから授けられる剣神七本剣の一つ、魔剣「鳳雅龍剣」があります。
ただ、エリスの強さを「ギレーヌに剣神流を習った」で終わらせると、かなり大事なところが抜け落ちます。魔大陸ではルイジェルドから実戦を学び、剣の聖地ではガルのもとで鍛え、さらにオーベールやイゾルテとの修行から他流派への対応まで吸収していくからです。
つまりエリスの剣は、一本の流派をそのまま伸ばしただけではありません。剣神流を土台に、「オルステッドに届くために必要なもの」を取り込んでいった剣と見ると、成長の流れがぐっと分かりやすくなります。
この記事はTVアニメ第3期のエリス修行編に加え、原作Web版の剣王到達後や、その後の対オルステッド戦にも触れます。先の展開をまだ知りたくない方はご注意ください。
無職転生エリスの師匠は誰?結論はギレーヌが原点
エリスの師匠として一人だけ名前を挙げるなら、まずギレーヌ・デドルディアです。TVアニメ公式でも、ギレーヌはエリスに剣を教えるためボレアス家に雇われていた剣士と紹介されています。
ただし、成長後のエリスの剣を作った人物は一人ではありません。役割を分けて整理すると、こんな関係です。
| 人物 | エリスとの関係 | 主に身につけたもの |
|---|---|---|
| ギレーヌ・デドルディア | 幼少期からの剣術の師 | 剣神流の基礎と、考えて剣を振る姿勢 |
| ルイジェルド・スペルディア | 魔大陸での仲間・実戦の師 | 身体に染み込ませる反復と実戦感覚 |
| ガル・ファリオン | 剣の聖地での師 | 剣神流の鍛錬、光の太刀、対オルステッド戦の考え方 |
| オーベール・コルベット | 北神流の鍛錬相手・指南役 | 北神流の技術と闘気の配分 |
| イゾルテ・クルーエル | 水神流の修行相手 | 水神流の返し技への対処 |
原作Web版でエリスはギレーヌを師匠として振り返り、ルイジェルドを「二番目の師匠」と位置づけています。さらにガルの教えには、その二人の良いところが含まれていると受け止めていました。
ここ、少しややこしいですよね。「最初の師匠はギレーヌ。でも完成した剣には複数の師の教えが残っている」と考えると、かなりすっきりします。
エリスの護衛ギレーヌは最初の剣術師匠
エリスの剣の原点は、ロアで暮らしていた幼少期です。ギレーヌはボレアス家に雇われ、エリスへ剣術を教えていました。
TVアニメ第1期第6話の公式あらすじでも、ルーデウスがエリスとギレーヌへ算術や魔術を教える一方、ギレーヌから剣術を学ぶ日々が描かれています。エリスにとって、剣術が生活の中にある時期だったわけです。
ギレーヌが教えたのは力任せの剣ではない
エリスというと、勢いよく前へ出て相手をねじ伏せる印象が強いかもしれません。でも原作Web版で、エリスがギレーヌの教えとして思い出す言葉は「考えろ」という方向のものです。
ギレーヌがエリスへ残した大きな土台は、強く振るだけでなく、どうすれば勝てるのかを考えることでした。
この種は、ずっと後になって効いてきます。先に斬りかかるだけだった剣士が、相手に応じて待ち、必要なら威力を削って速度へ回すところまで変わっていく。荒々しさの奥に、判断する剣が育っていくんですよ。

ギレーヌとの師弟関係を最初から読み返したい人は、漫画版で幼少期から追うと、この「剣の原点」を自分のペースで振り返れます。
魔大陸ではルイジェルドから実戦の剣を学んだ
フィットア領転移事件の後、エリスの剣は道場の中だけで完結しなくなります。ルーデウス、ルイジェルドと「デッドエンド」を組み、魔大陸から故郷を目指す旅そのものが実戦経験になっていきました。
ここでギレーヌとは違う教え方をするのがルイジェルドです。原作Web版のエリスの回想では、理解できるまで何度も繰り返し、頭で考えなくても同じ位置へ動けるところまで身体に覚え込ませる師として描かれています。
ギレーヌが「考える剣」の原点なら、ルイジェルドは「実戦で身体が動く剣」を鍛えた存在。二人の教え方は違いますが、どちらも後のエリスに残ります。
「先に斬れば勝ち」だけではない剣士になる
旅では、相手が正面から構えて待ってくれるとは限りません。魔物、奇襲、複数の敵、仲間を守りながらの戦い。エリスは道場とは違う条件を次々に経験していきます。
剣士としての土台がどう積み上がったのか、順番で見ると分かりやすいです。
- ギレーヌから剣神流の基礎を学ぶ
- ルーデウスとの稽古で競い合う
- ルイジェルドとの旅で実戦へ適応する
- オルステッドとの遭遇で、自分に足りない強さを突きつけられる
単に技が増えたのではなく、剣を振る状況そのものが変わった。その積み重ねの先で、エリスの目標を決定的に変える相手が現れます。
オルステッド戦の敗北がエリスの剣を変えた
エリスが剣の聖地へ向かう大きな転機は、龍神オルステッドとの最初の遭遇です。ルーデウスが圧倒される中、エリスもオルステッドを止められませんでした。
TVアニメ公式のキャラクター紹介では、ルーデウスを守れなかったエリスがオルステッドを「斬る存在」として見据えていることが示されています。第3期第1話の公式あらすじでも、剣の聖地へ到着したエリスは打倒オルステッドを宣言し、ガルのもとで修業を始めます。
ここで強さの意味が変わります。自分が強くなりたいからではなく、ルーデウスに相応しい強さへ届くために剣を振るようになるんです。
この目的があるからこそ、後のエリスは剣神流だけにこだわりません。勝つために必要なら、北神流の技術も、水神流への対策も取り込んでいきます。
魔大陸での三人旅を漫画で読み返すと、この決意に至る前のエリスがどんな戦いを積み重ねてきたのかを、絵で追い直せます。
剣の聖地でガル・ファリオンから剣神流を極める
ギレーヌとともに剣の聖地へ向かったエリスを、新たな弟子として迎えるのがガル・ファリオンです。TVアニメ公式では、七大列強に「剣神」として名を連ねる剣神流当主と紹介されています。
第3期第1話でも、エリスはガルのもとで修業を開始。しかも基準に置いている相手は、最初からオルステッドです。目の前の昇格試験ではなく、届くかどうかも分からない相手を見て鍛える。エリスらしいと言えば、ものすごくエリスらしい目標設定ですよね。
剣神流最高の技「光の太刀」
エリスの成長を象徴する技の一つが、光の太刀です。原作Web版では剣神流最高の技で、他流派でいう奥義にあたるものとして説明されています。
光の太刀の核は、全身の力と闘気を無駄なく一撃へつなぎ、相手より先に剣を届かせること。剣神流の「先に斬る」を突き詰めた技です。
ただし、エリスは「光の太刀を覚えた剣士」で完成しません。むしろ面白いのはここからで、覚えた必殺技そのものを相手に合わせて調整し始めます。
オーベールから北神流を学び剣神流を改造する
剣の聖地に現れるオーベール・コルベットは、TVアニメ公式でも「北帝」の称号を持つ北神流の使い手と紹介されています。原作Web版では、エリスはオーベールとの鍛錬から北神流の技術を吸収しました。
威力を落として速度を上げる
その成果がはっきり出るのが、ニナとの勝負です。エリスは光の太刀の過剰な威力をそのまま残さず、相手を倒すのに必要な分まで落として、そのぶんを速度へ回しました。
原作Web版では、この「威力を削って速度へ回す」闘気の配分を北帝との鍛錬で学んだと明記されています。わずかな速度差がニナとの勝敗を分け、ガルはエリスへ剣王の称号を授けました。
普通なら必殺技を覚えたら、さらに威力を上げたくなりそうです。でもエリスは逆。「倒せるなら、それ以上の威力はいらない」と削る。荒々しい印象とは反対に、ここはかなり合理的なんですよ。

水神流は習得していないが対処法を身につけた
ここは混同しやすいところです。エリスは水神流の使い手とも深く稽古しますが、水神流そのものを習得したわけではありません。
TVアニメ第3期第2話の公式あらすじでは、剣の聖地へ水神レイダと弟子のイゾルテが訪れ、エリス、ニナ、イゾルテの三人が合同で稽古すると明記されています。
原作Web版でも、エリスは水神流の技を使えない一方、イゾルテとの訓練を通じて「待って返す相手」の危険さを身体で学んでいきます。
この経験は、後のオルステッド戦で大きな意味を持ちます。剣神流は先手を重視しますが、エリスは水神流の返し技を警戒し、自分から攻めずに待つ判断を選びました。
以前なら「目の前に敵がいるなら斬る」だったエリスが、勝つためなら斬らずに待てる。技が増えたこと以上に、この判断の変化が大きいんですよ。
エリスの剣は何?愛剣の変化を時系列で解説
「エリスが使う剣は何?」という疑問も、時期を分けると整理しやすくなります。ずっと同じ一本を使い続けるわけではありません。
記事で扱う主な剣を、時系列でまとめます。
| 時期 | 主な剣 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 幼少期 | 木剣など | ギレーヌとの剣術修行で使用 |
| 魔大陸以降 | 銘のない愛剣 | 旅を通じて長く使う剣 |
| 剣王以降 | 鳳雅龍剣 | 剣神七本剣の一つで、対オルステッドを意識して選択 |
| その後 | 魔剣「指折」 | ルーデウスがオルステッドから受け取った後、エリスが携帯 |
鳳雅龍剣は剣王エリスを象徴する魔剣
剣王となったエリスは、ガルから剣王の証として剣神七本剣の一本を授けられることになります。そこで自分で選んだのが、鳳雅龍剣です。
原作Web版では、初代剣神が名工「龍皇」から授かった剣で、剣神流の技を生かすための魔剣と説明されています。さらに、相手の闘気による防御を弱める性質があり、ガルは龍神の強力な闘気にも有効だと教えます。
鳳雅龍剣を選んだ理由まで見ると、エリスは武器まで「オルステッドと戦う」という目的に合わせていることが分かります。
ただ名剣を持つのではなく、「何のためにその剣を使うのか」が先にある。称号や見栄より目的を優先する、エリスらしい選び方です。
魔剣「指折」も後にエリスが携帯する
その後は魔剣「指折(ユビオリ)」もエリスの腰に加わります。原作Web版では、オルステッドがルーデウスへ資金として提示した魔剣で、のちにエリスが携帯していることが確認できます。
ただ、剣王となったエリスを象徴する一本を挙げるなら、やはり鳳雅龍剣が中心です。
漫画版については、KADOKAWAのコミックス最新刊が24巻(2026年2月24日発売)。公式あらすじは転移迷宮後のルーデウスとロキシーを描く内容です。そのため、本記事後半で扱うエリスの剣王到達を「最新24巻で読める」とは訴求しません。
そのため漫画版は「この先を先取りする」目的ではなく、エリスの幼少期や魔大陸での歩みを手元で読み返したい人に向いています。
エリスはなぜ剣王まで強くなれたのか
エリスが剣王まで到達できた理由を「才能があったから」だけで終わらせるのは、少しもったいないと思います。大きいのは、自分より強い相手や苦手な相手から、負け方まで材料にしていることです。
成長の流れを一本につなげると、こうなります。
- ギレーヌから剣神流の基礎と「考える」姿勢を学ぶ
- ルイジェルドから実戦で身体に覚え込ませる
- オルステッドとの遭遇で、自分の不足を知る
- ガルのもとで剣神流を鍛え、光の太刀へ到達する
- オーベールから北神流の技術と闘気の使い方を吸収する
- イゾルテとの稽古で水神流への対処を身につける
- 必要なものだけを自分の剣神流へ組み込み、剣王に到達する
エリスは複数流派を全部使う万能剣士を目指したのではありません。剣神流を軸にしたまま、勝つために必要な要素だけを吸収したのがポイントです。
だから、他流派を学んでもエリスの剣らしさは消えません。むしろ剣神流の攻撃性を残しながら、苦手な相手への対応が増えたことで、剣そのものが実戦向きに研ぎ直されたように見えます。
剣王になっても称号そのものには興味がない
エリスらしさが最もよく出るのが、剣王になった後です。ニナとの勝負に勝ったエリスへ、ガルは剣王の称号を授け、さらに「もう教えることはない」と免許皆伝まで与えます。
そのうえで剣帝や剣神へ進む道も示されますが、エリスは上の称号を欲しがりません。原作Web版では、剣神の肩書に執着せず、次にすることとして家族のもとへ帰る意思を示しています。
エリスにとって剣王は目的ではなく、目的へ近づいた結果です。欲しいのは肩書ではなく、オルステッドと向き合える強さでした。
普通の成長物語なら、より上の称号が次のゴールになりそうな場面です。でもエリスは、そこで修行の目的を見失わない。このまっすぐさが格好いいんですよ。

エリスの剣術は「最強の一撃」から「守る剣」へ変わった
エリスの剣術を時系列で追うと、技の数以上に大きな変化があります。幼少期のエリスは、とにかく前へ出る剣士でした。速く動く、強く打つ、負けたらもっと鍛える。剣神流との相性は抜群です。
ところがオルステッドとの遭遇後は、「自分が斬ること」だけが答えではなくなります。原作Web版の再戦では、水神流への対策を踏まえて先に攻めず、ルーデウスと一緒に攻める機会を待つ判断まで見せました。
剣神流の強みは残したまま、「自分が先に斬る」から「守るために最適な行動を選ぶ」剣へ変わった。ここがエリスの成長を一番よく表す部分だと思います。
必要なら待つ。必要なら北神流の技を混ぜる。自分だけで倒せないなら仲間と合わせる。最初の敗北で自分の剣を壊され、その後の修行で作り直したからこそ、ここまで変われたんでしょうね。
無職転生エリスの剣と師匠まとめ
エリスの剣術の中心は剣神流で、最初の師匠はギレーヌ・デドルディアです。ただ、完成したエリスの剣には、旅と剣の聖地で出会った複数の人物の教えが残っています。
エリスは、別流派を集めて器用な万能型になったわけではありません。負けた相手や苦手な相手から必要なものだけを吸収し、それでも剣神流という軸は曲げない。そこが強さの面白いところです。
最初は「強くなりたい」で振っていた剣が、最後には大切な相手を守るための剣へ変わっていく。技名や称号以上に、僕はこの変化こそエリスの剣を語る一番の見どころだと思います。
※掲載しているイラストは記事内容を補足するイメージです。特定の著作物・キャラクター・場面の再現を目的としたものではありません。本記事は作品公式および関係各社とは関係のない非公式記事であり、感想・考察には当サイトの見解を含みます。
※コミックスの刊行状況など、変更される可能性がある情報は2026年8月9日時点で確認した内容です。最新情報は各公式サイト・販売ページをご確認ください。
