『薬屋のひとりごと』(通称『薬屋』)の深緑(シェンリュ)は、診療所の女官です。猫猫(マオマオ)の誘拐に協力し、第42話では服毒しますが、命は取り留めています。
頼れる世話役だった人が、なぜ猫猫を危険にさらしたのか。鍵になるのは、先帝の時代から後宮を出られなかった過去と、大宝(タイホウ)への思いです。
第42話の服毒は処刑ではありません。助かったあと、Web版では罪人として捕らわれています。生存していても、元の仕事へ戻れた結末ではないのです。
※アニメ第2期第42話までの展開、原作小説4巻に関する作者補足、Web版「市井編1」の後日談を含みます。媒体による違いは、その都度分けて触れます。
この記事でわかること
| 人物 | 深緑との関わり |
|---|---|
| 猫猫 | 診療所で知り合い、のちに誘拐の被害を受ける |
| 大宝 | 同じく先帝の被害を受けた女官。深緑が同情を寄せていた相手 |
| 翠苓 | 大宝の孫。深緑が通じていた相手の一人 |
| 壬氏(ジンシ) | 猫猫を捜す途中、墓所で深緑と対面する |
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深緑の正体は診療所の女官|読み方はシェンリュ、年齢は40歳前後
深緑は、後宮の北側にある診療所を切り盛りする中年の女官です。「ふかみどり」と読みたくなる名前ですが、人物名の読みはシェンリュ。薬を扱う場所にいても、医官ではありません。
| 項目 | 深緑のプロフィール |
|---|---|
| 読み方 | シェンリュ |
| 立場 | 後宮の診療所で働く女官 |
| 年齢の目安 | 40歳前後(作者の設定では「四十路位」) |
| 外見・雰囲気 | 緑がかった目、痩せ型。肝っ玉母さんのような気風 |
| アニメでの登場 | 第2期の第29話から。第30話で猫猫へ水晶宮の相談をする |
日向夏さんの「薬屋八巻までの設定」では、深緑は「四十路位」の女官と紹介されています。40歳前後という目安であって、満40歳と決まっているわけではありません。
具合の悪い下女も、薬好きの猫猫も放っておかない
診療所での深緑を知ると、猫猫が近づいていった理由もよく分かります。患者を見る手際がよく、目の前の仕事をさっさと進める人なんですよ。
- Web版「十二、診療所」では、猫猫が体調を崩した下女を連れてくる。
- 深緑は額や舌、まぶたの裏を見て状態を確かめ、休む場所を用意する。
- 猫猫は診療所の中に興味を持つが、深緑から仕事へ戻るよう追い立てられる。
- 翌日の「十三、尻尾」では、深緑が猫猫に病人のための薬を頼む。
Web版の猫猫は、深緑の診かたを見て、いつものやぶ医者よりよほど頼れると感じています。ところが見物を続けていると、今度は洗濯仕事を全部任されそうになる。
薬の話なら居座るのに、洗濯物を全部となったら退散。猫猫にも、増やしたくない仕事はあるんだな。
Web版「十三、尻尾」で応対する深緑は、礼儀をわきまえた落ち着いた女官です。洗濯場での世話焼きから、すっと態度を変える。長く後宮で働いてきた年季が出ます。
ただ、診療所には医官がおらず、薬の使用にも制約がありました。患者に必要なものと、女官に許されることがずれているのです。
アニメ第30話「みたび、水晶宮」でも、深緑は姿を見せなくなった下女のために薬を頼みます。規則違反で叱られると思ったら、腕を見込まれる。猫猫には意外な呼び出しです。
深緑はなぜ後宮を出られなかった?先帝の被害と診療所の成り立ち
深緑が長年後宮にいたのは、仕事を気に入って残ったからではありません。先帝の被害を受け、貧しい実家にも引き取り手がなく、外へ出る道を失っていたためです。
| 診療所に託された役目 | 深緑たちの置かれた現実 |
|---|---|
| 女官の体調を見て、休ませる | 働く場所はあっても、後宮の外で暮らす道とは別 |
| 先帝の被害を受けた女性たちの居場所になる | 過去の被害と恨みは、居場所ができただけでは消えない |
| 病気の下女を支える | 医官のいない診療所には、薬を自由に使えない制約もあった |
診療所は、同じ過去を持つ女性たちを皇太后が憐れんで設けた場所でした。保護のための居場所が、後宮から出られない人たちの居場所でもあった。この重なりが苦い。
期限が来れば実家へ帰れる、という働き方ではないんですよね。先帝が亡くなっても、奪われた時間や帰る先が、そのまま戻ってくるわけではありません。
Web版「三十二、誘拐」で猫猫が察するのも、深緑が後宮を出たくても出られない事情です。寝台の敷布を替えながら世話をする姿のすぐそばに、その長い過去があります。
だから、最初の親切が全部嘘だったと考えると、深緑の怖さも取りこぼします。病人を看る経験も、行方の知れない下女を心配する働きかけも、確かにあった。
世話をしてくれる手を、そのまま信じたい。けれど猫猫を連れ去る場面では、その手が逃げ道を塞ぐ側へ回ってしまう。過去を知るほど、あの親切を簡単には嫌いになれなくて困ります。
猫猫が診療所の人たちと出会う頃を漫画でたどるなら、深緑が病人を気にかける場面から。事件の答えを知ったあとでも、最初の頼みを聞いた猫猫の側に立ち戻れます。
深緑と大宝の関係は?翠苓の祖母への同情が協力につながる
大宝は翠苓の祖母で、深緑は大宝に同情を寄せていた女官です。血筋の話と、深緑が協力した理由は別の線。まず、この二つを分けると迷いにくくなります。
| 関係 | つながり |
|---|---|
| 大宝と翠苓 | 祖母と孫。間に大宝が産んだ娘がいる |
| 大宝と深緑 | 先帝の被害を受け、後宮に残された女性同士。深緑は大宝の境遇に同情していた |
| 深緑と翠苓 | 大宝への思いと積もった恨みを背景に、深緑が協力する関係 |
- 大宝は神美(シェンメイ)の侍女として後宮へ入る。
- 先帝との間に娘が生まれるが、娘は医官との不義の子とされる。
- 娘は医官とともに後宮の外へ出され、大宝は後宮を出ることを許されない。
- その娘がのちに翠苓の母となる。大宝から見れば、翠苓は孫にあたる。
娘の人生は後宮の外へ続いたのに、母はそこへ行けない。ここは、家系図で線をつなげただけでは済まない別れです。
日向夏さんの小説4巻読了者向けの人物紹介は、大宝の血縁と、深緑が大宝へ寄せた同情の両方を補っています。深緑自身の長年の恨みも重なり、翠苓たちと通じるようになったのです。
アニメ第42話で深緑がいるのは、大宝の墓前です。亡くなった相手の名前が、猫猫の失踪を追う壬氏にとって手掛かりになる。静かな墓参りが、一気に現在の事件へつながってしまう。
大宝の娘から翠苓へ続く血筋は、先帝の相関図・家系図でも追えます。深緑を動かしたのは血縁ではなく、取り残された相手への思いと、自身の恨みでした。
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深緑は何をした?猫猫の誘拐への協力と毒おしろいの疑惑
深緑は猫猫の誘拐に協力しました。ただし、毒おしろいなど過去の事件への関与は、猫猫が組み立てた推理です。連れ去りへの協力と、同じ確度ではありません。
| アニメの話数 | 深緑と猫猫をめぐる変化 |
|---|---|
| 第29話 | 診療所の女官として登場し、猫猫と接点を持つ |
| 第30話「みたび、水晶宮」 | 病気の下女のため、猫猫に薬を頼む |
| 第40話「巣食う悪意」 | 羅門(ルォメン)の注意書きをきっかけに、猫猫が過去の事件を結び付ける。診療所で翠苓と対面し、連れ去りへ進む |
| 第42話「鬼灯」 | 猫猫を捜す壬氏が、墓所の深緑から先帝にまつわる過去へ触れる |
羅門の注意書きが、悪用する側には知識になってしまう
後宮へ戻った羅門は、第40話で危険な物や習慣への注意をまとめ、女官たちの手習いにも使える手本を作ります。ところが猫猫は、昔も同じことをしていたと知る。
危ない物を避けてほしいから、危ない理由を書く。その紙を、危ない物を使いたい人も読める。人を守る知識が、害を与える知識にもなるという裏返りが、ぞっとするんです。
第40話「巣食う悪意」では、この手習いの手本が猫猫の違和感の起点になります。怪しい薬が突然出てきた話ではなく、後宮の中に長くあった知識へ疑いが戻っていく。
| 疑われる行動 | 物語での確かさ |
|---|---|
| 猫猫の誘拐に協力する | 診療所での出来事として、深緑の関与が描かれる |
| 有害なおしろいを妃たちへ使わせるよう仕向けた | 羅門の注意書きや後宮の事情をつないだ猫猫の推理 |
| 妊娠・出産を妨げる品の流通に関わった | 同じく、後宮に潜む悪意をめぐる疑い。個々の実行まで同じ確度で確定した話ではない |
おしろいの件は、深緑が危険性を知りながら使わせたのではないか、という猫猫の疑いです。推理が鮮やかだからといって、証拠まで増えたことにはならない。
注意書きが残っていても、誰がどの品を渡したかの証明まではしてくれません。知識の出どころに気づいた猫猫にも、なお埋まらないところが残っています。
親切な注意書きから、診療所に潜む疑いへ。第40話の公式予告は、「巣食う悪意」という題とともに振り返る入口になります。
誘拐では、病人を休ませる場所が逃げられない場所へ変わる
Web版「三十二、誘拐」では、体調を崩して診療所に泊まる猫猫が、世話を受けるうちに薬を使われ、連れ去られます。アニメとは、診療所へ来る事情が異なります。
先に弱っている人を休ませる姿を知っているから、同じ寝台が怖い。猫猫が横になっていることを、安心の材料として受け取れなくなります。
それでも深緑が抱えた過去は、猫猫本人が作ったものではありません。先帝へ返せなかった恨みの先で、いま目の前にいる猫猫が被害を受ける。そこは、事情が分かっても飲み込めない。
連れ去られたあとの道筋は、猫猫の誘拐から救出までへ続きます。深緑の協力によって、後宮の過去と猫猫の危機がつながってしまったのです。
深緑の最後は死亡・処刑?服毒後に生存し、Web版では捕らわれる
アニメ第42話の深緑は、自ら酒精を飲んで命を絶とうとしますが、救命されます。この場面は処刑ではありません。作者の4巻補足でも、生存が説明されています。
- 猫猫の失踪を追う壬氏が、北側の墓所で深緑を見つける。
- 深緑から漂う酒精の香りが、猫猫との接点を探る手掛かりになる。
- 深緑は壬氏に若い頃の先帝の面影を見て、過去を語る。
- 深緑は酒精を飲んで倒れるが、命を取り留める。
第42話の墓所は、先帝の被害を受け、後宮で亡くなった女性たちが眠る場所です。猫猫を捜しに来た壬氏は、そこで先帝の過去と向き合うことになります。
壬氏は、目の前の女官から情報を聞き出したい。深緑には、その顔が別の時代を連れてくる。同じ対面なのに、二人が見ている相手が違うのがつらいところです。
普段は人を惹きつける壬氏の容姿が、ここでは過去の傷を呼び起こす。美しい顔なら相手が心を開いてくれる、では済まない場面なんですよね。
壬氏役の大塚剛央さんも、深緑との対面と柘榴宮の場面をお気に入りに挙げています。猫猫の不在などが重なり、宦官としての仮面が剥がれていくところに触れています。
深緑が見たのは先帝の面影。けれど壬氏が探しているのは猫猫です。似ていると言われた顔の奥で、この人自身の焦りまであふれてくる。
深緑が飲んだ酒精と生存については、日向夏さんの4巻の人物紹介にも補足があります。倒れた場面の印象だけで「死亡した」と覚えていたなら、ここは助かった側へ戻しておきたい。
アニメ・書籍の作者補足・Web版で、結末の場面を分ける
深緑を調べると、服毒とは違う行動の説明も出てきます。Web版「三十三、深緑」は、場所も自傷の方法もアニメ第42話と異なるためです。
※比較には、事件後の消息を語るWeb版「市井編1」の内容を含みます。
| 媒体・参照箇所 | 深緑の結末に関わる描写 |
|---|---|
| アニメ第42話「鬼灯」 | 墓所で壬氏と対面し、酒精を飲んで倒れる。その後、命を取り留める |
| 書籍4巻に関する作者の人物紹介 | 酒精を飲んで死にかけたが、生存したと補足される |
| Web版「三十三、深緑」~「三十四、穴」 | 診療所で壬氏と対面し、自ら命を絶とうとして止められる。直後に処置を受ける |
| Web版・市井編1「八、図録」 | 命は助かったものの、罪人として捕らわれていると語られる |
Web版「三十三、深緑」でも、壬氏が先帝に似ていることは深緑の反応につながります。ただし、アニメの墓前での服毒と、同じ場面としてつなげると混乱します。
では、助かったあとも深緑は診療所にいるのか。Web版は、そこから先も少しだけ語っています。
Web版「八、図録」では、深緑は生存し、罪人として捕らわれています。診療所はいったん閉鎖されますが、後宮には欠かせないため、宦官の監視付きで再開されたと語られます。
深緑の身柄は押さえられたまま、診療所は必要とされて残る。人を休ませる場所まで失えば、また困る下女が出てしまう。この後始末には、事件のあとも働き続ける後宮が見えます。
つまり、生きていることと、罪を問われないことは別です。Web版のこの時点では拘束が続いており、自由な生活へ戻った結末ではありません。
書籍4巻に関する作者の補足には、助かったあとの判決や暮らしの説明はありません。Web版の拘束とは、媒体を分けて覚えておきたいところです。
酒精の香りから先帝の面影へ進む対面は、第42話「鬼灯」の感想・考察でも追えます。深緑の一件が壬氏に何を残したかまで気になる回です。
書籍でたどるなら原作小説4巻へ。診療所から大宝の墓所へ、猫猫を捜す道筋を追ってから作者の人物紹介へ戻ると、深緑が誰に手を貸したのかまでつながります。
深緑の声優は勝生真沙子|綱手や海王みちるを演じるベテラン
深緑役は勝生真沙子(かつきまさこ)さんです。『NARUTO』の綱手、『美少女戦士セーラームーン』の海王みちる/セーラーネプチューンでも知られています。
深緑役の配役は、声優グランプリの勝生さんの名鑑にも掲載されています。診療所の女官と聞いて思い浮かべる、経験を積んだ大人の役を多く担ってきた方です。
| 作品 | 勝生真沙子さんの主な役 |
|---|---|
| NARUTO | 五代目火影・綱手 |
| 美少女戦士セーラームーン | 海王みちる/セーラーネプチューン |
| 機動戦士Ζガンダム | レコア・ロンド |
これらは所属する81プロデュースの公式プロフィールでも紹介されている役です。作品名を聞いて、声を思い浮かべられる役があるでしょうか。
綱手の名前が出ると、つい診療所まで心強くなる。声優が同じと知っただけで、医官が増えたわけでもないのに。
聴き返すなら、第30話の依頼から第42話の対面へ
深緑の声を目当てに振り返るなら、猫猫に病人の相談をする第30話と、壬氏に過去を問われる第42話を並べたい。どちらも人と向き合う場面ですが、深緑の立場が逆になります。
- 第30話:病気の下女を気にかけ、猫猫に助力を求める側。
- 第40話:猫猫が抱いた疑いと、診療所に潜んでいた協力関係がつながる回。
- 第42話:猫猫を捜す壬氏から問いかけられ、自身の過去が表へ出る側。
第30話では猫猫が深緑の事情を聞き、第42話では壬氏が聞く。猫猫には病人の話をした人が、壬氏には先帝の話をする。向き合う相手で、語れることまで変わります。
猫猫に薬を頼む声を聞いたら、その時点ではまだ話されていない過去も思い出したい。深緑は最初からその過去を抱えて、目の前の下女を助けようとしていたんですよね。
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まとめ|深緑は生き延びた女官。大宝への同情と恨みが事件につながる
深緑は、後宮の診療所で働くシェンリュという女官です。大宝への同情と先帝への恨みを抱え、翠苓たちに協力しました。服毒後は生存しており、Web版では事件後の拘束も語られます。
猫猫を休ませてくれた人が、猫猫を逃がさない側へ回る。事情を知っても誘拐は苦いままです。大宝の墓前には、先帝が亡くなっても終わらなかった恨みが残っていました。
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