『歴史に残る悪女になるぞ』のアリシアが眼帯を着けているのは、目の見えないウィルへ、自分の左目を魔法で譲ったからです。隻眼になる出来事は、アニメ第8話で描かれます。
ウィルは、ロアナ村で彼女に知恵を授けてきた恩師。アリシアは慕う人に再び世界を見てもらおうと、長く学んできた魔法を使います。
気になるのは、譲った後のこと。眼帯は誰が用意したのか、魔法や見え方に変化はあるのか、そして目は戻るのか。片目を巡る出来事は、譲渡の成功だけでは終わりません。
アニメ第8~9話と、原作Web小説の関連場面を扱います。後半の「片目は戻る?」では、Web版第494話までの重大なネタバレを含みます。
アリシアの眼帯の理由|恩師ウィルへ左目を譲った
アリシアの左目は、彼女自身の魔法でウィルへ移されました。ウィルが得たのはアリシアの左目で、そのぶん彼女は右目で周囲を見るようになります。
ウィルに何かを要求されて差し出したわけではありません。アリシアの側から近づき、魔法をかける。この順番に、前から温めていた願いの強さが出ています。
思いついた日と、実行した日は離れている
Web原作では、第30話で目を移す方法を知り、第110話で実行します。村で再会した瞬間の思いつきではなく、長く持ち続けた望みでした。
- ロアナ村のウィルと交流し、知恵や教えを受ける。
- Web版第30話で、眼球も他人へ移せる闇魔法を本から知る。
- 2年間の修行を経て、15歳のアリシアが村へ戻る。
- Web版第110話でウィルへ魔法を使い、自分の左目を譲る。
- 第111話でウィルはアリシアの顔を見て、涙を流す。
本で知った魔法を、すぐ使えたわけではありません。あのページを覚えたまま、学び続けたアリシアがいる。後の眼帯姿から読み返すと、こんなに早く目標を見つけていたのかと驚きます。
ただ目を治してあげたい、で済ませず、差し出すのは自分の目だと分かったうえで学んでいる。そこで決断の重さが変わります。
ウィルが目を開くと、初めてアリシアの顔が見える
第110~111話の譲渡は、そばにいたジルの視点で進みます。魔法の後、ウィルの左目には黄金の瞳があり、アリシアの左目は失われています。
ジルが目にするのは魔法の成功だけではありません。恩師の頬に涙が流れる、その驚きも一緒です。ずっと知っている相手の顔を、ようやく見る。二人には、それだけの時間がありました。
顔を見てもらうだけなら、初対面でもできることなのに。この二人は、ここまで一緒に過ごしてようやくなんですね。ウィルが泣いてしまうのも、分かる気がします。
アニメでこの出来事を追うなら第8話「悪女と大復活」。15歳になったアリシアがロアナ村へ向かう回です。公式WEB予告も、この修行後の再出発を紹介しています。
恩返しができたアリシアと、突然その決断を受け取った周囲。喜びだけでは済まない余波も、ここから始まります。
目を譲る魔法はどう使う?Web版のレベル87と古語
Web版で目を移す魔法は、レベル87の闇魔法です。修行の目標である90や、修行後の到達点91とは、それぞれ指しているものが違います。
| 数字・条件 | 意味 | 片目の譲渡との関係 |
|---|---|---|
| レベル87 | 自分のものを他者へ移す闇魔法 | Web版第30話で知り、第112話でも振り返る |
| レベル90 | リズの監視役を続けるために父から課された目標 | 修行で達成する目標であり、譲渡魔法そのもののレベルとは別 |
| レベル91 | Web版第112話で語る、2年の修行後の到達点 | 魔法を実行した時期のアリシアの実力 |
| デュルキス国の古語 | 譲渡の際に唱える言葉 | 高い魔力に加えて習得が必要だった知識 |
アニメ第7話では、父が出したレベル90の条件を受けて修行へ。Web版で目を移すために学ぶ魔法は、身体の一部を他者へ渡すものです。
身体の一部を「移す」から、アリシアの左目は残らない
Web版第30話の魔法は、眼球に限らず、身体の一部を他者へ移せるものです。アリシアはその用途を見て、ウィルへ目を渡せると考えます。
譲る側にも変化が残る魔法です。「ウィルが見えるようになった」と「アリシアが隻眼になった」は、一度の魔法の結果としてつながっています。
第30話で見つけた本は、魔法の種類を知るためのもの。使い方を教える本は見当たりませんでした。目を渡せると分かっても、練習の手順がそろったわけではなかったのです。
本に書かれた習得期間は、レベル80でも最低3年、90では最低5年。アリシアは87なら4年ほどかと見積もります。ウィルに景色を返せる日は、まだ遠そうでした。
魔力だけでなく、唱える言葉まで身につけていた
Web版第112話でアリシアが苦労を振り返るのは、デュルキス国の古語です。魔法のレベルを上げるだけで済まず、呪文に使う言葉も覚えていました。
第110話のジルも、古語の本を読んで理解できなかった一人。聞き慣れない呪文に、自分がつまずいた言葉を使っているのかと気づきます。修行の成果は、数値以外にも表れていました。
古語の難しさが分かるジルには、呪文だけでも驚きです。そのうえ左目まで移る。久しぶりに会うアリシア、修行の成果の見せ方が豪快すぎませんか。
隻眼になった後は?ジルの眼帯と、視界・魔法の変化
左目を譲ったアリシアに眼帯を用意したのはジルです。本人はその姿を気に入りますが、Web版では、見え方や魔法の使い勝手に戸惑う時間も描かれます。
| 譲渡後の変化 | Web版で起きたこと | 暮らしや行動への影響 |
|---|---|---|
| 見え方 | 左側が分からず、距離感をつかみにくくなる | 痛みを感じないことと、不自由がないことは別 |
| 魔法 | 指を鳴らしても発動せず、アリシアが動揺する | 目の譲渡に成功した直後も、普段どおりには動けない |
| 眼帯 | ジルが短時間で作り、渡してくれる | 魔法で現れた装備ではなく、ジルの手仕事 |
| 回復の見通し | ジルは1週間ほどで魔法を使えるようになると考える | その場での見立てで、魔法レベルの維持まで断言してはいない |
痛みがなくても、見え方はすぐ元どおりにならない
アリシアは目を失っても痛みを感じていません。しかし、歩くときには距離感がうまくつかめない。魔法なら一瞬で終わる出来事も、その後の生活まで一瞬で整うわけではないんですね。
森を歩く足元にも、片目を失った不自由が出る。ウィルの喜びを見ていたこちらも、帰り道では彼女の一歩が気になります。
ジルが作った眼帯に、本人はご満悦
そんな彼女へ、ジルが持ってきたのは手作りの黒い眼帯。短い時間で用意してくれた品を着けると、アリシアは鏡で確かめ、悪女らしい姿になったと喜びます。
歩きにくい。魔法も出ない。でも眼帯は似合う。こんな状況でも、見た目には満足できるんですね。ジルが異変を聞き出すまで、こちらまで少し気が抜けます。
ジルの「1週間」は、その場での見通し
第113話でジルは、目にも魔力があると説明。1週間ほどで魔法が使えると見立てますが、レベルを保てるかは分からないと答えます。
使えさえすれば安心、とはいかないのがアリシアの事情です。父と約束したのは、レベル90に届くこと。力がどこまで戻るかによって、修行で手にした監視役の資格まで危うくなります。
そのため、魔法が使えないと父に知られるのは避けたい。回復を待つ間は顔を合わせないつもりで、それでも学園へは行こうとします。教えられた1週間を、休んで待つ気はないようです。
周囲の心配は、眼帯を着けたら終わる話ではない
アニメ第8話では、目の件でデュークとも衝突します。第9話では、彼の強い想いをはねのけたことに戸惑うアリシアが描かれます。
本人は決めて実行しても、周囲は結果を見てから受け止め始める。その時間差もあるはずです。恩返しをしたい気持ちは分かる。でも心配はする。その二つは、両立しますよね。
恋愛のやり取りまで追いたい場合は、デュークの人物像とアリシアとの関係もつながります。眼帯を巡る衝突は、二人の距離を考えるきっかけの一つです。
アリシアの片目は戻る?条件とWeb原作のその後
Web原作では、譲った目が戻る条件が早い段階で語られ、後に実際の返還も描かれます。条件を知る場面と、その意味をアリシアが身をもって知る場面には、大きな隔たりがあります。
ここからは原作Web小説第424話と、第494話の日記の内容に触れます。ウィルのその後を含む、アニメより先の重大なネタバレです。
戻る条件は、譲った相手が亡くなること
Web版第111話でレベッカが尋ねると、ジルは、譲った相手が亡くなると、目は元の持ち主へ戻ると答えます。ウィルが見えるようになった直後に明かされる条件です。
目が戻るときは、ウィルと過ごせる時間が終わるとき。元に戻るなら安心、と聞き流せない条件です。ジルは、アリシアが見返りを求めず目を渡したことにも気づいています。
- Web版第111話:ジルが、譲った相手の死によって目が戻る条件を話す。
- 第423話:アリシアは目の前のウィルと向き合い、別れを受け入れきれずにいる。
- 第424話:ウィルの姿が消え、アリシアは目の前の彼が幻覚だったと気づく。
- 同話:左目に違和感が生じ、視界が戻ったことで、ウィルが亡くなったと悟る。
第424話で左目の視界が戻ったとき、アリシアは離れたクシャナの訓練場にいます。戻った目が、ウィルの死を知らせてしまいます。
ウィルの最期に直接立ち会ったわけではありません。幻覚の彼が消えた後、左目の違和感で、本当に失ったと悟る。再会の余韻が残るうちに、もう会えない現実が追いつきます。
再び見えるようになったのに、喜べない。ウィルに景色を返したはずの目が、今度は彼のいない景色を見せる。この結び方は、苦しいですね。
別れの前に分かる、ウィルにとっての「目をもらう」意味
Web版第422話で触れるウィルの過去には、目が見える奇跡をくれた相手へ人生を捧げる、という思いがあります。アリシアは初めてその覚悟を知ります。
アリシアが心配したのは、自分が目を譲ったせいで、彼を再び国のために働かせたのではないか、ということ。恩返しのつもりが、慕う人を縛っていなかったかと不安になります。
第423話のウィルは、彼女のせいではなく、おかげだと受け止めています。アリシアやジルのいる国だから、力を尽くす意味があった。彼女の後悔を、本人が打ち消してくれます。
別れの前にウィルが願うのは、アリシア自身が幸せになること。目をもらった恩師は、最後まで彼女の行く先を気にかけています。
第494話の日記には、見えるようになった日の喜びが残る
Web版第494話で読むウィルの日記には、視力を取り戻した日の喜びと、アリシアへの感謝が残っています。再び見えた世界の美しさを、書き留めていたのです。
感謝するのは自分の方なのに、とアリシアは泣いてしまいます。恩師への贈り物が、こんなふうに大切にされていた。もう言葉を返せない相手から、感謝だけが届きます。
譲渡した日の涙は、第111話でジルの目を通して描かれていました。後の日記では、ウィル自身が残した言葉をアリシアが読む。同じ日の喜びが、今度は本人の声で届くような場面です。
返還と日記は、原作Web版の出来事です。書籍・漫画の巻数とWeb版の話数は別なので、読む媒体を選ぶ際は漫画・小説・Web版の違いと読む順番も参考になります。
まとめ|アリシアの眼帯は、左目をウィルへ譲った証し
アリシアが隻眼になったのは、恩師ウィルへ左目を魔法で譲ったためです。眼帯を着けるまでの準備と、その後の変化まで追うと、一度の魔法が長く二人を結んでいたと分かります。
眼帯の理由から性格や人との接し方へ関心が広がったら、アリシアの魅力と、悪女を目指す努力・不器用さも追えます。強い魔法を覚えた後にも、簡単にはいかないことが残る人物です。
眼帯を着ける前には、魔法書を読み込む時間があった。目が戻った後には、ウィルの日記を読む時間がある。両方を知ると、あの左目をただの見た目の特徴には戻せません。
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