『歴史に残る悪女になるぞ』のデュークは、デュルキス国の第一王子で、アリシアに一途な想いを向ける人物です。「氷の王子」という呼び名のわりに、好意の伝え方はかなり大胆。
終盤の記憶喪失も、アリシアへの愛情が消えた結果ではありません。隣国へ行きたい彼女の望みをかなえるため、忘れたふりをしていました。
ただ、二人の関係は「優しい王子が悪女を守る」で収まらないんですよね。心配がぶつかる日もあれば、守られるはずのアリシアが王子を守ると言い出す日もある。
贈るのはダイヤモンド、用意するのは国外追放。氷の王子の好意、受け取る側にもなかなか度胸が要ります。
アニメ全13話のネタバレを含みます。原作Web版は該当話を区別して紹介し、終盤の節ではWeb版第533話と書籍小説9巻の内容にも触れます。
この記事でわかること
デュークはどんな人物?第一王子と「氷の王子」の二つの顔
正式な名前はシーカー・デューク。第一王子にして王位継承者であり、アリシアが知る乙女ゲームでは、ヒロインの攻略対象の一人でした。
| 知りたいこと | デュークの基本情報 |
|---|---|
| 名前 | シーカー・デューク |
| 立場 | デュルキス国の第一王子・王位継承者 |
| ゲームでの役割 | ヒロインの攻略対象の一人 |
| 呼び名 | ヒロイン以外には微笑まない「氷の王子」 |
| アニメの声優 | 石川界人 |
| アリシアとの年齢差 | Web版第17話では、デュークが5歳上と語られる |
ゲームでは、ヒロイン以外には微笑まない王子。その彼が、アリシアのいる世界では悪役令嬢に興味を示す。笑みを向ける相手から、もう筋書きが違います。
アリシアの前では、無口なままでも行動が遠慮しない。王子の立場と恋する一人の顔、その二つを一緒に追うと、冷静さだけでは説明できなくなります。
石川界人さんも公式キャストコメントで、一途な好意を言葉や態度で伝える点と、相手のために何ができるか考える点を挙げています。
好きだという気持ちを胸の内にしまい続ける人ではないんですね。むしろ、その気持ちを受け取ったアリシアのほうが、何度も立ち止まることになります。
デュークを中心にした公式キャラクターPVも公開されています。石川界人さんが演じる王子を、声と姿で確かめたいときの一本です。
デュークがアリシアに惹かれる理由|悪女の評判より、実際の行動を見る
デュークの好意を考える手掛かりは、アリシアが理想を口にするだけで終わらず、実際に動くところです。彼女を近くで見てきたメルの言葉にも、その見方が表れます。
Web版第9話では、剣で林檎を割ったアリシアが目標へ進む決意を語ると、最初に称賛したのがデュークでした。努力の成果に、先に反応してくれる人です。
悪女らしく強さを見せたつもりの本人に、王子から好意的な反応が返る。嫌われる準備をしているのに、そちらはちっとも順調に進まない。アリシアには困った成果ですね。
| 場面 | アリシアが見せるもの | デュークとの関係を読む手掛かり |
|---|---|---|
| Web版第9話 | 剣の成果と、目標へ向かう決意 | デュークが最初に称賛する |
| Web版第119話 | 理想にとどまらず、現実を見て行動する姿 | メルがリズとの違いとして語る |
| アニメ第3話 | 悪女を目指し、恋より先に行動する姿 | ゲームと違うデュークの関心に、本人が戸惑う |
Web版第119話でメルは、リズより先に強烈な女性を見ていたのではないかと考えます。アリシアの現実的な考え方や行動力を挙げますが、これはメルの見立てです。
剣の成果を褒めた王子が、彼女の周囲に危険がないかまで気にしている。アリシア自身が知らなかったところにも、デュークの関心は続いています。
アリシア役の中村カンナさんは、J:magazine!の取材で、好き嫌いが明確で意志の強いところが二人には似ていて、そこに惹かれたのではないかと話しています。
何でも言うことを聞いてくれるから、という恋ではないんでしょう。自分で考えて動く相手だから惹かれる。だから、彼女の決断に王子自身が困らされる日も来るわけです。
悪女を目指す努力や、人との接し方の不器用さは、アリシアの人物像にもつながります。デュークとの恋では、その強さが頼もしさにも危なっかしさにもなるのが厄介です。
誕生日のネックレスが伝える好意|身に着けるアリシアの受け取り方
デュークの好意が早くから形になるのが、誕生日に贈ったダイヤモンドのネックレスです。Web版では、8歳のアリシアへ少し遅れた誕生日祝いとして渡します。
- Web版第17話:デュークが屋敷を訪ね、誕生日祝いの小箱を渡す。中には薄く青みがかったダイヤモンドのネックレス。
- 第18話:アリシアは首に着け、剣の稽古でも邪魔にならないと考える。周囲は王子からの高価な贈り物に驚く。
- 第100話:事件で奪われていたネックレスを、デュークが取り戻して彼女の首元へ戻す。
- 第148話:毎日身に着けている彼女へ、ジルがデュークへの気持ちを問いかける。
第17話のデュークは、贈り物を渡すために訪ねてきます。用を済ませると帰っていくので、アリシアは見送るのも忘れるほど驚いてしまう。短い訪問なのに、残すものが大きい。
贈る側は迷いなく小箱を渡し、受け取る側は中身を見て一度ふたを閉じる。王子の勢いとアリシアの処理が追いつかない感じが、もうこの頃からあるんですよね。
第18話でネックレスを着けた彼女は、剣の稽古でも邪魔にならないと考えます。それでも、青く光る宝石には、デュークが近くにいるような気がしてしまう。
余計なことを考えないように、そこで腹筋。アリシア、王子にどきどきした後の対処まで鍛錬なんですね。
同じネックレスでも、恋の意味をすぐには決められない
Web版第100話では、デュークがネックレスを着け直してくれます。彼がまっすぐ見つめて美しさを褒めても、アリシアは宝石のことなのかと受け止め、話題を国王へそらします。
宝石を褒めているのか、目の前の相手を褒めているのか。デュークは距離を縮めているのに、彼女は主語を確かめたくなる。言葉が足りないというより、受け取り方が違うんです。
第148話のアリシアは、好意があること自体は認めながら、それが恋愛なのか分からずにいます。ネックレスも、宝石に似合う女性になりたいからという理由を添えます。
毎日着けているのに、心の中ではまだ答えを探している。贈り物を受け取った時点と、その人への想いを言葉にできる時点は、同じではありません。
片目を巡る衝突で変わる関係|「見守る」だけでは届かない
デュークがアリシアを大切にしていても、二人が衝突しないわけではありません。片目を譲った彼女への心配が、本人には知らされていなかった想いを表へ出します。
アニメ第8話「悪女と大復活」で起きた出来事は、デュークの心を揺らします。続く第9話では、強い想いをはねのけたアリシア自身が戸惑い、彼の存在を考え直します。
| 二人の立場 | 片目の件でぶつかるもの |
|---|---|
| アリシア | 自分で選んだ行動であり、相手に見守ってほしいと頼んだ覚えはない |
| デューク | 幼い頃から見守ってきた相手が、身体を犠牲にしてしまったという心配 |
| 話し合いの課題 | 心配する気持ちを伝えることと、彼女自身の意思を受け止めること |
傷つけた言葉を、悪女らしさだけでは片付けられない
Web版第118話のデュークは、目を譲ったと聞いて怒り、これまで見守ってきた気持ちを伝えかけます。アリシアは頼んでいないと言い返し、去っていく彼を前に強く後悔します。
悪女らしいことを言えたはずなのに、うれしくない。相手が傷ついた顔をしたことで、目指す悪女像と、今してしまったことが離れてしまう。ここは軽く笑えません。
- 片目の譲渡を知る:デュークが強く反応し、見守ってきた想いを口にしかける。
- 言い返してしまう:アリシアは頼んでいないと答え、彼の反応を見て後悔する。
- メルの話を聞く:自分の知らない場所で、彼が心配していたことを知る。
- 自分から会いに行く:アリシアは心配への感謝を伝え、黙って見守るだけでは伝わらないと告げる。
心配していたことと、それが本人に届いていたことは別。アリシアが知っていたこと、知らなかったことを分けると、この衝突を彼女の強がりだけで片付けられなくなります。
アリシアからも「守る」と言い返す
Web版第121話でアリシアが返すのは、感謝だけではありません。心配してくれたことには礼を言い、そのうえで、気持ちは直接伝えてほしい、自分なら近くで守ると告げます。
礼を言って頭を下げた直後に、王子の胸倉をつかむ。感謝はする。でも、黙って察してもらうのは認めない。ずいぶん手厳しい返事です。
デュークは笑い、これからは思ったことを口にすると応じます。叱られた王子のほうが、うれしそうなのがいい。
ところがアリシアは、振り向かずに食堂を出てしまいます。周りの生徒が見とれた、彼女を愛おしく思う眼差しを、向けられた本人だけが知らない。
片目を譲る魔法の仕組みや、視界が戻る条件は、アリシアの眼帯の理由で詳しく追えます。
デュークの記憶喪失は演技|アリシアを国外追放へ導いた理由
デュークは本当にアリシアを忘れたわけではありません。ラヴァール国へ行きたい彼女の望みを見抜き、国外追放につながる状況を作るために演技をしていました。
その前提にあるのが、アニメ第11話のアリシアの関心です。隣国を知り、ゲームシナリオの外へ進みたい。けれど、望めば簡単に国の外へ出られる立場ではありません。
| アニメでの段階 | 二人に起きること | 見逃したくない違い |
|---|---|---|
| 第11話 | アリシアがラヴァール国に関心を持つ | 国外追放より前に、外の世界へ行きたい望みがある |
| 第12話の終わり | デュークが彼女を知らないかのように接する | 恋の進展から、一転して冷たく見える |
| 第13話の王宮 | 記憶を消した疑いがアリシアにかかる | 忘れられるだけでなく、彼女自身が容疑者になる |
| 第13話の真相 | デュークが忘れたふりをしていたと分かる | 愛情の消失ではなく、出国の望みへの手助けだった |
| 旅立ち | アリシアは隣国へ向かい、デュークは別れに会いに来る | 離れる選択をしても、想いまで消えるわけではない |
第13話「悪女と王子」の始まりでは、アリシアとの記憶を消した魔法の犯人として、彼女自身が疑われます。単なる冷たい態度ではなく、王子を害した疑いにまで進むので不穏です。
ただ「隣国へ行かせてほしい」と頼むのではなく、国外追放という出口を作った。アリシアの望みを理解しているからこその手ですが、ずいぶん思い切った助け方です。
そばに置きたいだけなら、まず選ばない方法でしょう。好きな人を、その人の行きたい場所へ送り出す。見ている側は引き止めたくなるのに。
Web版では、別れ際の一言で演技が分かる
Web版第186話では、連れ出されるアリシアへ「必ず迎えに行く」とささやきます。そこで彼女は、記憶が最初から消えていなかったことと、望みを見抜かれていたことに気づきます。
だまされたと分かったアリシアに、笑いがこみ上げる。忘れられたと思っていた相手に、出国の望みまで読まれていた。これはアリシアも一本取られましたね。
一方、すぐ隣のジルには、そのささやきは聞こえていません。Web版第187話では、アリシアの表情の変化から演技に気づきます。同じ別れの場でも、事情が伝わる順番は違います。
彼女を追うジルの寂しさは、ジルがアリシアに仕える理由と絆にも関わる部分。デュークの策が通ったとしても、残る人たち全員が平気になる別れではありません。
追放を決めた王子が、最後には会いに来る
アニメ最終回のデュークは、転移魔法でアリシアの馬車へ会いに来ます。Web版第190話では、馬で追ってきた彼が息を切らして現れる。会いに来る手段は媒体で異なります。
Web版第190話のデュークは、別れの口づけのあとに彼女をからかいます。アリシアも一方的に照れて終わらず、王子の好意を受け止める言葉を返します。
追放を決める場ではあれほど冷静だったのに、見送りには息を切らして来る。その顔を知ると、さっきまでの無表情をずっと保てる人には見えなくなります。
自分で国外追放にしておいて、その馬車まで追ってくる。デューク、判決の時の冷たさはどこへ置いてきたんですか。
最終回の黒薔薇や、リズを含む別れの場面はアニメ第13話の感想と結末でも追えます。デュークの恋は、この旅立ちで完結するのではなく、距離を置いた先へ続いていきます。
デュークとアリシアは結婚する?アニメの結末と原作で深まる想い
アニメ全13話の到達点では、二人は結婚していません。アリシアがラヴァール国へ向かうところで終わり、その先の関係は原作へ続きます。
ここからはアニメより先の、Web版第533話と書籍小説9巻の内容に触れます。二人の想いがどう進むのかを知りたい方向けのネタバレです。
| 媒体と範囲 | 二人の関係で描かれること |
|---|---|
| アニメ第13話まで | 結婚ではなく、アリシアの旅立ちと、離れても続く想いが描かれる |
| Web版第533話 | アリシア自身が、デュークへ心を差し出すと誓う |
| 書籍小説9巻 | メルビン国で、二人が国交の問題に向き合っていく |
Web版第533話では、アリシアから想いを渡す
Web版第533話のアリシアは、デュークに敬意を示して頭を下げ、「デューク様に私の心を差し上げます」と伝えます。受け取るだけだった好意に、本人の言葉が返る場面です。
それでも彼女は、王子のそばにずっといるという道だけを選ぶわけではありません。ラヴァール国へ戻るつもりだと伝え、離れることと、想いのある場所を分けて話しています。
冒険をやめる代わりに、恋を受け入れたのではない。自分で進むことも、相手を想うことも両方持っていこうとする。アリシアが口にする返事として、うれしい答えです。
デュークも、帰ってくる場所が自分のもとなら自由に進めばいいと応じます。心を誓う場面であり、結婚が成立した場面ではありません。
ダイヤモンドを毎日着けていても、恋なのか分からなかった彼女が、自分の言葉で心を渡す。贈り物の頃を覚えていると、この一歩をただの甘い場面としては読み流せません。
書籍9巻では、王子の問題へアリシアが力を貸す
書籍小説9巻では、デュークの伝言を受けてアリシアがメルビン国へ向かいます。そこで彼の母に関わる過去を知り、国交を復活させるために動き出します。
頼られていると知って喜んだ彼女が、まず取りかかるのは離宮の掌握です。王子の助けになろうとすると、やっぱり行動が大きい。
王子の力になりたいという気持ちが、国同士の問題へつながる。恋の返事を聞くだけでは済まないところまで、二人の関係は広がっていきます。
Web版の話数と、書籍・漫画の巻数は別です。第533話の心の誓いを読みたいならWeb版、メルビン国での協力を追いたいなら書籍9巻が、それぞれの場面です。
漫画・小説・Web版のどれから読むかで迷ったら、それぞれの違いと読む順番も参考になります。
まとめ|デュークは、アリシアの望みをかなえようと動く王子
デュークは、第一王子としての冷静さと、アリシアへまっすぐ踏み込む顔を持つ人物です。記憶喪失の演技も、好意を失ったのではなく、彼女の望む旅立ちへ道を作るためでした。
最初は宝石の入った小箱を渡し、やがては隣国へ進む道を渡す。相手のほしいものが変わっても、デュークは自分で動いて届けようとします。
けれど、送り出したあとは会いに来てしまう。その少しも涼しくないところまで含めて、アリシアに恋をした「氷の王子」なんですよね。
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