『歴史に残る悪女になるぞ』アニメ第13話「悪女と王子」は、デュークに忘れられたアリシアが裁判にかけられ、隣国ラヴァールへ国外追放されて終わる最終回です。
ただし、デュークの記憶喪失は芝居でした。ラヴァールへ行きたいアリシアの望みを見抜き、「罪人として追放する」という形で国の外へ送り出したのです。
しかも当のアリシアは、手枷をはめられても上機嫌。断罪イベントで喜ぶ悪役令嬢、なかなか見られません。
好きな人に「おまえは誰だ」と言われて始まる最終回が、両想いの確認で終わるんですよ。王子、その告白は遠回りすぎませんか。
※この記事はアニメ第13話(最終回)の結末と、原作小説3〜4巻・漫画6〜7巻の内容に触れます。
この記事でわかること
第13話「悪女と王子」のあらすじ|「おまえは誰だ」から国境の目隠しまで
第13話は、2024年12月24日にTOKYO MXほかで放送された最終回です。王子に忘れられる騒動から、罪人として国境へ送られるまでを一話で駆け抜けます。
- 学園で:声をかけたアリシアに、デュークが「おまえは誰だ?」と冷たく返す。アリシアの記憶だけが消えたらしい
- 王宮へ呼び出し:王子の記憶を消す魔法をかけた犯人として、アリシアに疑いがかかる
- 裁判:王子に魔法をかけた罪を問われ、隣国ラヴァールへの国外追放が決まる
- 旅立ちの前:家族やジルと別れを交わし、母からは7歳の時に咲いた黒薔薇を見せられる
- ロアナ村の解放:追放の日と同じ日に、結界に閉ざされていたロアナ村が解放される
- 馬車の中:デュークが現れて口づけし、忘れていないこと、帰りを待つことを伝える
- 国境:手枷をはめられ、目元を布で覆われたアリシアが、悪女になる決意のままラヴァールへ渡る
放送前に出た第13話のあらすじは「果たして、アリシアの運命は――?」で止まっていました。不穏な引きのまま一週間待たされたわけです。
ふたを開ければ、待っていたのは断罪からの国外追放という、悪役令嬢ものの定番中の定番。ただし、この作品では定番の意味がひっくり返ります。
第12話で聖女リズとの対決が片づき、最終回は一気に別れの回へ切り替わります。駆け足に感じた人がいるのも分かる密度です。
デュークの記憶喪失は芝居|国外追放でなければいけなかった理由
デュークは記憶を失っていません。アリシアを罪人に仕立て、ラヴァールへ入れる道を作るための芝居でした。
伏線は第11話「悪女と学園カリスマ」にあります。アリシアは隣国ラヴァールに興味を抱き、ゲームのシナリオの外へ出ようと考えますが、そのハードルは高いままでした。
貴族の令嬢が勝手に隣国へ渡れば、それだけで国同士の問題になりかねません。でも、追放された罪人なら、国の看板を背負わずに向こうへ行ける。
| 場面 | 表向きの意味 | 実際に起きていたこと |
|---|---|---|
| 「おまえは誰だ?」 | 王子がアリシアの記憶を失った | 忘れたふりをして、アリシアに疑いが向く状況を作った |
| メルの冷たい態度 | 友人にまで見放された | 計画を打ち明けられていたのは、デューク直属の諜報員でもあるメルだけ |
| 国外追放の判決 | 悪女への罰 | ラヴァールへ入るための通行証代わり |
面白いのは、アリシアがわりと早い段階で仕掛けに気づくところです。追放が決まるころには、これがデュークの用意した舞台だと分かっています。
気づいたうえで、黙って罪人役を引き受ける。王子は記憶喪失の役、令嬢は大罪人の役。法廷のど真ん中で、どちらも役を降りませんでした。
事前の相談なし、説明なし、いきなり「おまえは誰だ」。それで意図が通じてしまうのが、この二人の怖いところです。
とはいえ、無実の娘を罪人として送り出すのは乱暴な手です。「罰ではなくご褒美として行かせればいいのでは」という指摘は、海外のレビューにも出ていました。
そこはやはり、アリシアが悪役令嬢だから。断罪されて国を追われるのが悪女の正しい退場。罪人としての旅立ちこそ、アリシアの望む筋書きです。
デュークは「氷の王子」と呼ばれる第一王子です。冷たい顔のまま一番甘い計画を組む人だと分かると、冒頭の「おまえは誰だ」も聞こえ方が変わってきます。
放送前に公開されたデュークのキャラクターPVです。あの芝居を打つ王子だと知ったうえで、放送前の紹介映像を見返してみてください。
アリシアに惹かれた理由から原作Web版での別れ際まで、デュークがアリシアの望みをかなえようと動く理由はこちらで詳しく追っています。
最終回の別れの場面|家族・ジル・リズ、そして馬車の口づけ
追放が決まってから国境までの間に、アリシアはこれまで関わった人たちと順に別れていきます。悪女の退場なのに、見送りの顔ぶれがやたらと温かいんです。
| 人物 | 最終回での姿 | 見どころ |
|---|---|---|
| 母 | アリシアを止めずに送り出し、7歳の時に咲いた黒薔薇を見せる | 娘の選択を信じる側に立つ |
| ジル | アリシアと約束を交わして別れる | 従者として拾われた少年が、離れても自分の足で進む |
| リズ | 魔法の扱いを学び直し、アリシアのもとを訪ねる | ライバルの追放を喜ばず、自分の力と向き合う聖女 |
| ウィル | ロアナ村の解放とともに、弟である国王ルークと手を取り合う | 追放されていた兄が、国を支える側へ戻る |
| デューク | 馬車に現れて口づけし、帰りを待つと伝える | 芝居の最後に、本当の気持ちだけは隠さない |
中でも母の落ち着きぶりは目立ちます。娘が国を追われる日に、取り乱すどころか黒薔薇を出してくる。この家で一番肝が据わっているのは、たぶん母です。
ジルとの別れには、もう一つ重なるものがあります。ロアナ村の孤児だったジルを、アリシアが拾って従者にしたところから二人の話は始まりました。
その村が結界から解放される日に、拾った本人は国を出ていく。故郷が開いた日が、主人を見送る日でもありました。
ジルがアリシアに仕えるまでの過去は、ジルの過去と成長で、国王の兄がなぜロアナ村にいたのかはウィルの正体と過去でたどれます。
リズは最終回で何をした?魔法と向き合う聖女
第12話で、リズが無自覚に使っていた誘惑の魔法が明らかになりました。最終回のリズは、その力を自分で制御しようと練習している最中です。
そのリズが、追放の決まったアリシアのもとへ足を運ぶ。ライバルを追い出して喜ぶ聖女ではなかったのが、最終回でかなりほっとしたところです。
放送中は、記憶を消した犯人はリズでは、と疑う声もありました。前の話まで不穏な描き方が続いたぶん、疑った視聴者が多かったのも無理はありません。
リズ、最終回だけ見ると完全にいい子なんですよね。12話までの疑いの目、どこにしまえばいいんでしょう。
リズの魔法の正体と原作でのその後は、リズの本性と魔法の正体にまとめています。
馬車の口づけ|「忘れていない」と「待っている」
国境へ向かう馬車に、デュークが現れます。そこでようやく芝居を下ろし、アリシアを忘れていないこと、ラヴァールから戻るのを待つことを伝えて口づけします。
口づけは、ほとんど不意打ちです。視聴者の反応も「いきなり」「突然」と、まずそこに集まりました。
しかも直前のカットが、国王ルークとウィルが手を取り合う場面。兄弟の握手からそのまま王子の口づけへつながる編集で、思わず二度見した人もいたようです。
引き止めるのではなく、送り出して待つ。それがデュークの答えでした。
アリシアの夢は歴史に残る悪女になることで、王子の隣で落ち着くことではありません。だからデュークは引き止めず、行かせる手はずを自分で整えた。
恋と夢のどちらかを選ばせなかったのが、この最終回の気持ちよさです。両想いのまま離ればなれになるという、ちょっと変わった着地でした。
最終回の黒薔薇は何の伏線?7歳の夜に咲いた花と、王子・聖女の薔薇
母が見せた黒薔薇は、アリシアが7歳の時に一晩だけ咲いた花です。アリシアが前世の記憶に目覚める前夜のことで、母はそれをずっと保管していました。
この作品では、主要人物の誕生や転機に薔薇が咲きます。並べると、黒薔薇だけ少し毛色が違うのが分かります。
| 薔薇 | 咲いた時 | 結びつく人物 |
|---|---|---|
| 青い薔薇 | デュークが生まれた日に王家で | 第一王子デューク |
| 金の薔薇 | リズが生まれた日に生家で | 聖女リズ |
| 黒薔薇 | アリシアが前世の記憶に目覚める前夜、ウィリアムズ家で | 悪女を目指すアリシア |
王子と聖女の薔薇は、生まれた日に咲いています。アリシアの黒薔薇だけは、生まれた日ではなく「悪女を目指す人生」が始まる前夜に咲きました。
ゲームの筋書きでは、アリシアはただの悪役令嬢です。その彼女が自分で選んだ生き方を始めた夜に、花が咲いた。そう読むと、黒という色にも悪い意味だけではない重さが出てきます。
黒薔薇が具体的に何を意味するのかは、アニメ最終回の時点では説明されないままです。第1話から出ていた要素なので、海外の感想でも「結局説明がなかった」と惜しむ声がありました。
その花を、母は旅立ちの日に娘へ見せました。国を追われる娘に、嘆く代わりに差し出したのが、悪女を目指す人生が始まった夜の花です。
黒薔薇の伏線、最終回で回収というより「出しておきました」ですよね。続きを見たくなるカードを、最後の最後で切ってきました。
アリシアの左目は、第8話でウィルに譲っています。国境で目元まで布で覆われる姿に、「残った目まで?」と驚いた人もいました。
布に血の跡はなく、罪人に帰り道を覚えさせないための扱いでは、という見方も出ていました。ひやっとさせる絵面ですが、本人はいたって元気です。
片目を譲った経緯と、戻る条件はアリシアの眼帯の理由で詳しく扱っています。
アニメの続きは何巻から?最終回の先は原作小説3巻・漫画7巻のラヴァール編
アニメ最終回の追放騒動は、原作小説3巻・漫画6巻にあたります。ラヴァール国での話を読むなら、小説は3巻の後半から、漫画は7巻からです。
| 媒体 | 最終回の範囲 | その先 |
|---|---|---|
| 原作小説 | 3巻:記憶を奪った疑いと国外追放 | 3巻後半で男装してラヴァールへ。4巻で第二王子ヴィクターの下で動く |
| 漫画 | 6巻:犯人として捕らわれ、追放が決まる | 7巻:罪人として闘技場に紛れ込み、ラヴァールを探る |
| Web版 | 書籍と話数の区切りが一致しない | 2026年10月も更新が続いている |
原作小説3巻のアリシアも、追放を「悪女として最高の展開」と大喜びします。令嬢だと気づかれないよう、男装して国境を越えていきます。
媒体差で面白いのは、リズの扱いです。アニメでは、アリシア自身が第12話でリズと向き合いました。
原作小説では4巻で、アリシアがラヴァールにいる間に、デュークとジルが聖女との対決に臨みます。
アニメは、旅立つ前のアリシアにリズとの決着までつけさせた構成です。原作ではアリシア不在のまま進む戦いなので、デュークとジルの見え方がアニメとはかなり変わります。
漫画で追うなら、漫画6巻で最終回の騒動を読み直し、その先へ進む流れがきれいです。記憶喪失をきっかけに、アリシアが自分の気持ちに気づく過程も描かれます。
ラヴァールの闘技場で何が起きるかは漫画最新刊7巻のネタバレで、小説・漫画・Web版のどれから読むかは漫画と小説の違いと読む順番で比べています。
アニメ2期は発表されている?
2026年10月29日時点で、アニメ公式サイトのニュースに第2期の告知はありません。
原作小説は9巻まで出ていて、ラヴァール編から先のストックは十分にあります。最終回も国境を越えたところで切っているので、続きを描く余地はたっぷり残っています。
ただ、発表がない以上、続きを確実に追えるのは今のところ原作だけ。手枷のまま国境を越えたアリシアがラヴァールで何をするのか、待ちきれない人は本で先回りできます。
まとめ|第13話は、悪女が王子の芝居に乗って国を出る最終回
第13話は、デュークの記憶喪失という芝居で始まり、アリシアが罪人としてラヴァールへ渡るところで終わります。追放は罰ではなく、二人で組んだ旅立ちでした。
悪役令嬢の物語は、たいてい断罪で幕が下ります。この作品はそこを悪女の旅立ちの日に変えて、しかも王子に見送らせました。
手枷をはめられて、目まで覆われて、それでも上機嫌。アリシア、ラヴァールの人たちに先に謝っておいたほうがいいかもしれません。
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