『薬屋のひとりごと』(薬屋)の安氏(アンシ)が出産した実子は、先帝との間に生まれた男児2人です。第1子は現在の皇帝、第2子は本来の皇弟にあたる息子でした。
ただし、安氏が産んだ2人目の息子と、皇弟として育った壬氏(ジンシ)は別人です。出生の秘密まで含めると、壬氏は現皇帝と阿多(アードゥオ)妃の実子で、安氏の孫にあたります。
薬屋でややこしいのは、血縁だけではありません。安氏の最初の出産を救った手術が、十数年後、阿多妃のお産が後回しになる事情にもつながっていました。
「皇帝の子」と「皇太子の子」が同時に生まれる。しかも母親同士は嫁姑。名前を覚えたところで肩書が変わるので、家系図だけだと迷子になるんですよね。
※この記事はアニメ第2期第33話までと、原作小説の出生の秘密に触れます。安氏の出産と子供のその後に関するネタバレを含みます。
この記事でわかること
| 人物 | 読み | 出産当時の立場 |
|---|---|---|
| 安氏 | アンシ | 先帝の子を産んだ妃。第2子の出産時は皇后 |
| 先帝 | センテイ | 当時の皇帝。安氏の実子2人の父 |
| 現皇帝 | コウテイ | 安氏の長男。阿多妃の出産当時は東宮(皇太子) |
| 阿多妃 | アードゥオヒ | 当時の東宮妃。安氏の第2子と同時期に出産 |
| 羅門 | ルォメン | 安氏の出産を支えた医官 |
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安氏の出産は2回|実子は現皇帝と、本来の皇弟にあたる次男
安氏が産んだのは、いずれも先帝を父とする男児です。第1子と第2子の出産の間には、十数年の隔たりがあります。
| 出産 | 安氏が産んだ子 | その後 |
|---|---|---|
| 1回目 | 先帝との長男 | 成長して、現在の皇帝となる |
| 2回目 | 先帝との次男 | 赤子の入れ替え後、阿多妃のもとで育つが乳児期に亡くなる |
2人目を産んだ当時、安氏は先帝の皇后でした。「皇太后」は長男が即位した後の立場で、出産時の肩書とは異なります。
阿多妃が産んだ子は、当時の皇帝の孫。安氏が産んだ子は、当時の皇帝の息子です。近い時期に生まれても、宮中では最初から立場が違っていました。
「安氏の息子は皇帝」「安氏の息子は皇弟」は、出産の順番を省くとぶつかって見えます。長男の誕生から十数年後に次男が生まれ、のちに長男が帝となった順番です。
「産んだ子」と「母として育てた子」を分けると見通せる
さらに安氏と阿多妃は、産後に赤子を入れ替えています。そのため、公に母子とされる組み合わせと、実際に産んだ母親が一致しません。
安氏にとって壬氏は、息子として接してきた子であり、血のつながりでは孫でもある。この二つは両立します。「実母ではない」と分かっても、二人の時間まで消えるわけではないんです。
一方、安氏の次男について知りたいときは、壬氏の今の姿をそのまま当てはめると行き違います。次男の生涯は、出産の後に別の母親へ託されたところから先も続いていました。
第1子の出産|幼い安氏と皇帝を救ったのは羅門の手術
最初の出産で安氏が帝王切開を受けたのは、まだ体が幼く、通常の分娩が難しかったためです。羅門の手術によって、赤子だけでなく安氏も生き延びました。
- 幼い安氏が先帝の子を身ごもり、出産を迎える。
- 先帝の母で、当時「女帝」と呼ばれた皇太后が、子を産ませるための手術を命じる。
- 西方で医術を学んだ羅門が、切開による出産を助ける。
- 母子がともに助かり、産まれた長男は成長して現在の皇帝になる。
手術を命じた「女帝」は、安氏自身ではなく先帝の母です。今の皇太后を見ていると同じ呼び名に引っ張られますが、この時の安氏は、命令を受ける側でした。
当時の帝王切開は、母親より子の救命を優先する手術でした。
| 立場 | 出産で求めたこと・行ったこと | 残った結果 |
|---|---|---|
| 女帝 | 皇統を継ぐ子を産ませるため、手術を命じた | 男児が生まれた |
| 羅門 | 西方で学んだ医術で出産を助けた | 母子をともに生かした |
| 安氏 | 幼い体で出産と手術を経た | 命を取り留め、腹に傷痕が残った |
男児が生まれた。その喜びのそばで、安氏の命は「助かって当然」ではなかった。今の皇太后の姿を知っていても、この命令にはぞっとします。
腹の傷は、2人目のお産にもつながっていた
傷は残りましたが、安氏は十数年後、再び子を産みます。その後の出産ができる体まで保ったのが、羅門の手術でした。
後年、猫猫(マオマオ)は羅門の医書を読み、母子を生かした手術に思いを巡らせます。知識だけではできない仕事だと、その背後にある経験まで考えるのです。
ただ、最初に助かったからといって、次の出産まで軽くなるわけではありません。以前に難しい出産を経験した安氏に、医官が付き添う事情が生まれていました。
ここを知ると、阿多妃の出産と重なった一件を、身分の高い人が順番を奪った話だけでは読めなくなります。安氏自身も、一度は命が危なかった母親なのですから。
先帝の「呪い」をたどる漫画の入口は、スクウェア・エニックス版11巻。今の皇太后から、出産を経てきた安氏へと目を戻すと、腹の傷の重みが残ります。
2人目の出産|阿多妃のお産と重なり、医官は安氏に付き添った
安氏は第1子から十数年後、先帝との間に2人目の男児を産みます。その出産が、息子の妃である阿多妃のお産と重なりました。
| 母親 | 子の父親 | 母親の当時の立場 | 産まれる子の立場 |
|---|---|---|---|
| 安氏 | 先帝 | 皇后 | 皇帝の子 |
| 阿多妃 | 現皇帝 | 東宮妃 | 皇帝の孫 |
阿多妃の夫は、安氏が最初に産んだ息子です。母と、息子の妻が、同じころに出産したため、「帝の子」も、帝が誰を指すかで親子関係が変わります。
成長した安氏と先帝の関係は、最初の妊娠時とは違う
成長して先帝に遠ざけられた安氏は、恨みを募らせ、復讐に向かった末に2人目を身ごもります。第33話で語られる過去は、仲のよい夫婦が再び子を授かった、という話ではありません。
最初は幼い体で子を産み、その後は成長したことで避けられる。出産の負担を引き受けた本人が、時間がたつほど相手の視界から外されるというのは、やりきれない。
それでも、第2子の父が先帝である点は変わりません。先帝との関係に疑問を持つ場面と、産まれた子の血縁は分けて追う必要があります。
安氏には過去の手術、阿多妃には対応の遅れがあった
同時期のお産で、医官は安氏に付き添いました。皇帝の子を産む皇后が優先され、東宮妃だった阿多妃の対応は遅れます。
- 安氏と阿多妃が、ともに出産を迎える。
- 最初の出産で手術を受けた安氏に、医官が付き添う。
- 阿多妃への対応が後回しになり、厳しい出産となる。
- 男児は生まれたものの、阿多妃は子宮を失い、以後は子を産めなくなる。
阿多妃の身に起きたのは、子供は生まれたが、母親は再び産めなくなるという結果でした。出産直後に子も亡くなった、と一続きに覚えると、その後の出来事を見失います。
安氏の側には、以前の手術から続く心配がある。阿多妃の側には、今まさに医官を必要とするお産がある。一人の医官に、二組の母子の命が重なってしまった。
どちらも無事でいてほしい場面なのに、宮中の序列は、その願いを同じ重さでは扱ってくれません。皇帝の息子か孫か。その違いが、助けを待つ時間になってしまいます。
阿多妃の側に立つと、子の将来まで怖くなります。一度だけの不運なのか。育ってからも同じ扱いが続くのか。産後の選択は、この不安ともつながって見えます。
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安氏の2人目の息子はどうなった?出産後、阿多妃のもとで育ち夭折
安氏の次男は、産後の入れ替えによって阿多妃のもとで育ち、その後、乳児期に亡くなります。出産そのものによる死産ではなく、生まれた後の死です。
- 安氏が先帝との間に次男を出産する。
- 安氏の次男と、阿多妃が産んだ男児が入れ替えられる。
- 安氏の次男は、阿多妃の子として世話を受ける。
- 侍女頭の風明(フォンミン)が与えた蜂蜜をきっかけに、乳児期に亡くなる。
風明は、赤子にとっての危険を知らずに蜂蜜を与えていました。難産、入れ替え、乳児の死は、同じ瞬間に起きたことではありません。
| 男児 | 血縁上の母 | 入れ替え後 |
|---|---|---|
| 安氏が産んだ次男 | 安氏 | 阿多妃のもとで育ち、乳児期に死亡 |
| 阿多妃が産んだ男児 | 阿多妃 | 安氏の子・皇弟として育つ壬氏 |
「亡くなった皇弟の代わりが壬氏」とだけ覚えると、死後の入れ替えにも聞こえます。赤子を入れ替えた後に、阿多妃のもとにいた子が亡くなったという順番が大切です。
阿多妃は、育てることになった子を失いました。実子が別の場所で生きていたとしても、それで目の前の子を失った悲しみが差し引かれるわけではありません。
秘密が分かった途端に、亡くなった子が「本物の皇弟」という役割だけになるのはつらい。その子にも、生まれて、世話を受けていた時間がありました。
宮中の記録に残る死と、母たちが知る秘密
猫猫が宮中の記録を調べると、東宮の子の死と羅門の追放が目に入ります。その時点では、まだ赤子の入れ替えに思い至っていません。
血縁と公にされた身分の違いは、壬氏の正体と赤子入れ替えの秘密につながります。安氏にとっては、実子を阿多妃へ渡し、孫を迎える出来事でした。
記録の中で、猫猫は薬の師である羅門の名まで見つけてしまう。羅門の追放と足・膝の処遇につながる過去が、亡くなった子を調べる途中に現れます。
誕生を助ける話が、育てる母を替え、子を失う話へと続いていく。「皇帝と皇弟を産んだ」の一行では終われません。
安氏は実子を託し、阿多妃は育てた子を失う。原作小説で読み返すなら、壬氏の出生の秘密だけでなく、二人の母が何を引き受けたかも追いたいところです。
安氏の出産の話はアニメ何話?第32・33話と、第11話をつなぐ
安氏の幼いころの出産や先帝との過去を振り返るなら、第2期の第32話「皇太后」と第33話「先帝」が中心です。阿多妃のお産の事情は、それより前の第1期第11話につながります。
| 話数・巻 | 主に分かること | 出産を追うときの注目点 |
|---|---|---|
| アニメ第11話「二つを一つに」 | 阿多妃の出産と、子を失った過去 | お産が重なった相手は当時の皇后だった |
| アニメ第32話「皇太后」 | 安氏の出産の傷と、先帝をめぐる調査の始まり | 第1子の出産が、今の安氏の体に残っている |
| アニメ第33話「先帝」 | 安氏と先帝の過去、安氏が抱える感情 | 第2子を授かった背景までつながる |
| 原作小説3巻・5巻 | 3巻は先帝の謎、5巻では出生の秘密がさらに明らかになる | アニメでの推測と、その先の真相を区別する |
第11話を見た段階では、阿多妃の悲劇だった話。それが安氏の2人目のお産とつながり、同じ出来事の中に、もう一人の母親が見えてきます。
Web版「33 阿多妃」でも、猫猫は阿多妃の言葉と壬氏の姿から、子が入れ替わった可能性を考えます。ここではまだ、猫猫自身が打ち消す推測として読む場面です。
猫猫の中では、まだ結論ではありません。推測を打ち消す猫猫を、つい引き止めたくなる。答えを知ってから戻ると、ここがもどかしい。
第32話から第33話へ、調査の中で過去が見えてくる
第32話では、安氏が猫猫に先帝の調査を依頼します。第33話はその続きで、安氏自身の過去へと話が進みます。
この二話を続けると、腹の傷を持つ皇太后と、かつて先帝のそばにいた少女が同じ人だと分かる。今の落ち着いた姿から過去へ戻される順番が、なかなか容赦ない。
安氏の過去へ戻る第33話「先帝」。TOHO animationが公開した予告からも、どの回だったかを振り返れます。
安氏役の能登麻美子さんは、取材で、二人の子を成し命の危機を越えてきた安氏の生き方を振り返っています。出産は、今の地位へ至るまでに通った命がけの出来事でもありました。
ただ、「頂点に立ったからよかった」とは言いにくい。母子を救った手術も、次のお産で起きた遅れも、後の肩書では帳消しになりません。
漫画はスクウェア・エニックス版11巻、原作は巻を分けて読む
漫画で先帝と安氏の過去へ入るなら、ねこクラゲさん作画のスクウェア・エニックス版11巻が入口です。皇太后から先帝の「呪い」を調べる依頼が届きます。
漫画には2種類のコミカライズがあるため、巻を選ぶときは作画者まで確かめたいところ。11巻という数字だけで選ぶと、別の版を手に取ってしまいます。
小説では3巻で先帝の謎を扱い、5巻では壬氏が皇弟として政に関わる段階へ進みます。安氏の過去と、赤子の入れ替えが持つ意味は、別の段階で見えてきます。
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まとめ|安氏の2度の出産は、母子の命とその後を分けて追いたい
安氏は先帝との間に、男児を2人産んでいます。長男は現皇帝となり、次男は入れ替え後に阿多妃のもとで育ち、乳児期に亡くなりました。
二つのお産をつなぐのは、最初の出産で安氏も生かした羅門の仕事でした。その過去が次のお産に響き、もう一組の母子の運命まで動いてしまう。
家系の謎は解けても、命を救われた母と、助けを待った母がいたことは残る。安氏の子供をたどるとき、その二人を置いていきたくありません。
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