『無職転生』のギレーヌ・デドルディアには、ギュエス・デドルディアという兄がいます。第15話で妹を「一族の面汚し」と吐き捨て、エリスを一気に怒らせた人物です。
ただ、この兄妹を「昔の大事件で決裂した二人」と見ると、肝心なところを外します。
ギレーヌは幼い頃から村で暴れ、ギュエスは何度も振り回された。兄の中だけ、妹の時間が問題児時代で止まっていた。不仲の芯はここです。
エリスが知るギレーヌは、剣王で、頼れる師匠で、自分から文字や算術まで学ぶ人。兄の記憶と教え子の記憶が、同じ名前なのに噛み合わない。第15話、このズレが痛いんですよ。
※この記事はアニメ第1期第15話と、Web版原作の後半を含むデドルディア家のネタバレがあります。
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『無職転生』ギレーヌの兄はギュエス・デドルディア
ギレーヌの兄はギュエス・デドルディア。ルーデウスたちが大森林へ来た頃は、父ギュスターヴが族長、ギュエスが戦士長でした。
アニメ第1期第15話「ドルディア村のスローライフ」で、この兄がいきなり強烈です。ギレーヌの故郷だと喜ぶエリスへ、返ってくるのが「一族の面汚し」。そりゃ空気も凍ります。
| 人物 | ギレーヌとの関係 | 大森林編での立場 | 後の変化 |
|---|---|---|---|
| ギュスターヴ | 父 | デドルディア族の族長 | 大怪我を機に引退 |
| ギュエス・デドルディア | 兄 | 戦士長 | 後に族長 |
| ギレーヌ・デドルディア | 本人 | 故郷を離れた剣王 | エリスの師匠として強い信頼を得る |
| リニアーナ・デドルディア | 姪 | ギュエスの長女・留学中 | ラノア魔法大学へ |
| ミニトーナ・デドルディア | 姪 | ギュエスの次女 | 後に村の戦士として成長 |
Web版第41話まで家族を並べると、父ギュスターヴ、兄ギュエス、その娘リニアーナとミニトーナまで一本につながります。リニアから見れば、ギレーヌは叔母です。
リニアはドルディア族王家の血筋で、ギレーヌの姪。大学編から入ると、この血縁はなかなか気づきません。
だって、魔法大学で好き放題やっているリニアと、ロアでエリスを鍛える筋肉剣士ギレーヌですよ。同じ家系だと知った瞬間、点だった人物が急につながるんです。
ギレーヌは「村を出た剣士」ではなく、族長の娘であり戦士長の妹なのに、その家から遠く離れて自分の居場所を作った人です。
ギレーヌの人物像と剣王までの経歴を重ねて見ると、ギュエスの記憶に残る妹がどれだけ古い姿なのか、ここから一気に効いてきます。
ギュエスがギレーヌを嫌っていた理由|子供時代は村きっての悪童だった
ギュエスが妹を嫌っていた理由はかなり生々しいです。幼いギレーヌが村で暴れ、気に入らなければ喧嘩し、家族も周囲も何度も困らせたからでした。
兄妹を壊した「一度の決裂事件」があるわけではありません。ギュエスの怒りは、子供時代から積み上がった「また妹か」の記憶そのものです。
Web版第41話「ドルディアの村のスローライフ・前編」では、母親が暴走を抑えようとギレーヌへ指輪まで持たせています。それでも止まらない。家族側も、かなり手を焼いていました。
しかもギレーヌは、気に入らないことがあると喧嘩へ走り、強いから周囲も簡単には止められない。問題児なのに腕っぷしだけは強い。家族には相当きつい組み合わせです。
ギュエスは、その妹に何度も煮え湯を飲まされた側でした。だから昔の評価だけなら、彼にもちゃんと根拠があります。
ここまで聞くと「面汚し」も、突然の悪口には見えなくなります。妹の黒歴史を兄だけが鮮明に持ち続けている。家族の記憶、こういう時だけ妙に消えてくれないんですよ。
10歳になる前に旅の剣士へ預けられた|故郷を出たのはかなり早い
さらにギレーヌ自身も、自分を「村きっての悪童」と呼ばれ、10歳になる前に旅の剣士へ預けられたと振り返ります。村を離れたのは、かなり早い。
Web版第17話「言語学習」まで読むと、外へ出れば即更生、でもありません。剣聖になってからも、いくつものパーティで爪弾きにされています。
つまりギレーヌは、村を出た瞬間に今の姿へ完成したわけじゃない。故郷では暴れ、外でも人付き合いでつまずき、そのたびに痛い目を見ています。
剣の強さが先に伸びて、人と生きる力が後から追いついてきた。この順番を知ると、現在のギレーヌが急に重く見えてきます。
ギュエスの記憶が嘘なのではありません。昔の妹は本当に周囲を振り回した。ただ、その記憶だけで何年も後のギレーヌまで固定した。兄妹のズレはそこでした。
故郷を離れたギレーヌはどう変わった?剣王になり、読み書きや算術も学び直す
故郷を離れたギレーヌの変化は、「剣王になりました」で終わらせるともったいないです。むしろ面白いのは、強さ以外の弱点を自分で認めるようになったこと。
兄だけが誤解していた話ではありません。ギレーヌ自身も、村を出てからかなり長い遠回りをしています。
冒険者時代には、パウロ、ゼニス、エリナリーゼ、タルハンド、ギースらと「黒狼の牙」で活動します。ここで初めて、強いだけでは回らない旅を仲間と続けることになります。
売買も契約も地図も仲間任せ。Web版第14話でギレーヌは、仲間と別れてから読み書きや算術の大切さを痛感したと話します。困って初めて、足りないものが見えたんです。
だからロアでルーデウスと出会うと、今度は自分から学ぶ側へ回る。剣を教える代わりに、算術と読み書きを教えてほしい。昔のギレーヌから考えると、ここはかなり大きい。
子供の頃は「気に入らなければ殴る」。大人になったら「分からないから教えてほしい」。剣王の肩書より、こっちの方が僕には刺さります。頭を下げて学ぶ方が、ずっと難しい。
しかも学んで終わりじゃありません。自分が勉強で苦労した話をエリスへ渡し、逃げたがる教え子を読み書きと算術の授業へ戻します。
自分の失敗が、次の問題児を育てるための材料になる。村で周囲を困らせていたギレーヌが、今度はエリスを止める側です。役割がひっくり返りました。
パウロとギレーヌの黒狼の牙時代までつなげると、彼女が何を仲間へ任せ、何を失敗から拾い直したのかが見えます。
兄ギュエスが知らなかったのは、妹の過去じゃない。村を出てから失敗し、学び、人へ教える側になるまでの年月です。
ギレーヌが剣王へ上がる道だけでなく、その途中で何を失敗し、何を学び直したのか。兄妹のズレを追うなら、小説版ではそこまで続けて読みたいところです。
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アニメ第15話でエリスが激怒|兄が知らない「今のギレーヌ」がぶつかる
兄妹の確執が一気に表へ出るのが、アニメ第1期第15話「ドルディア村のスローライフ」です。
面白いのは、ギレーヌ本人が一度もその場にいないこと。それでも兄と教え子が彼女を語るだけで、回の空気が丸ごと変わります。
ギュエスの中には、村で暴れた妹がいる。エリスの中には、自分へ剣を教え、危険な時に頼れた師匠がいる。二人とも「自分の知るギレーヌ」を譲れません。
同じ一人を語っているのに、兄と教え子の人物評が真逆。第15話は、離れていた年月そのものを衝突させます。
「一族の面汚し」。そこまで言われたエリスは、悔しさで涙を浮かべて反論します。いつもの彼女なら拳が飛んでもおかしくない。けれど、ここでは殴りません。
これが効くんです。昔のギレーヌが暴力で生きたと責められている場で、教え子まで殴れば兄の言い分を補強してしまう。師匠を守るために、師匠の昔を繰り返さない。エリス、そこで止まれるんですよ。
Web版のルーデウスが戸惑うのも当然です。自分たちが知るギレーヌと村の記憶が違いすぎて、「同じ名前の別人」みたいに見えてくる。
でも別人じゃない。暴れていた少女も、尊敬される師匠も、どちらも同じギレーヌです。間に年月があるだけなんです。
Web版第41話では、ギュエスも二人の話をすぐには飲み込めません。それでも一か月ほど経つと、長く会っていない間に妹が外で成長したらしい、と認識を改めます。
エリスとギレーヌの師弟関係を重ねると、あの涙もただの短気では済みません。エリスにとってギレーヌは「護衛」より先に、自分の剣を作った師匠です。
そして第15話の公式予告へ戻ると、この回がドルディア村でギレーヌの過去へ触れる話だったことを、短い映像でも追い直せます。
アニメとWeb版の違い|ギュエスはエリスの剣から妹の変化を確かめる
第15話はWeb版の流れをそのまま映像化しただけではありません。ギュエスが「今の妹」を受け入れる過程を、エリスの行動と剣で見せるように組み直しています。
まずギュエスの目に入るのが、ミニトーナへ剣を教えるエリスです。妹の教え子が、自分の娘へ剣を渡している。もうこの時点で妙な縁ですよね。
そこへルーデウスが、今のギレーヌは剣王で、読み書きや算術を覚え、魔術も学んだと話す。兄の知らない年月が、一つずつ具体的な形で出てきます。
「あのギレーヌが?」となるのも無理はありません。ギュエスの中では、妹はまだ村を荒らしていた頃の姿なんです。
ここでルーデウスが言う「人は変わるんです」が重い。人生を一度失い、別の世界でやり直している本人の口から出ると、ただの綺麗事には聞こえません。
旅立ち前の手合わせはアニメならでは|ギュエスが見たかったのはギレーヌの剣
そして旅立ちの日。ギュエスはエリスへ手合わせを申し込みます。見たいのはエリス本人の実力だけじゃない。ギレーヌが教えた剣が、教え子に何を残したかです。
勝負は一瞬で決まり、ルーデウスには何が起きたのか追えないほど。エリス自身は、自分の負けをきちんと悟ります。
ここがアニメ版のうまいところです。兄妹を直接再会させない。妹は不在のままなのに、教え子の構えと踏み込みからギレーヌの仕事が見える。兄が知りたかった答えを、エリスの剣が返すんです。
一方のWeb版には、この手合わせがありません。ギュエスはルーデウスやエリスの話を聞きながら、時間をかけて妹への認識を変えていきます。
ここで兄妹が直接和解したわけではありません。ギレーヌは村に戻っていない。変わったのはまず、ギュエスの中にある妹の見え方です。
だから「第15話で仲直りした」で閉じると、きれいすぎる。過去は残ったまま、昔の評価だけで今の妹まで決めつける状態が崩れた。この方がずっと兄妹らしいです。
その後のデドルディア家|ギュエスは族長になり、リニアはギレーヌの姪として再登場
時間が進むと、「人は変わる」はギレーヌだけの話ではなくなります。戦士長だったギュエスも、父ギュスターヴから村を引き継ぎ、族長になります。
Web版第197話「ドルディアの村再び」では、ギュスターヴが数年前の雨期に魔物との戦闘で大怪我を負って引退。その後をギュエスが継いでいます。
再会したルーデウスの目には、ギュエスが以前より落ち着き、貫禄まで出たように映ります。しかも冗談を言う。最初の戦士長を覚えていると、ちょっと驚きます。
初対面ではルーデウスを牢へ放り込んだ男ですからね。そのギュエスが村を背負い、空気まで丸く見える。妹にだけ「変わったな」と言って終われません。
ギュエス自身も、第15話の印象だけでは固定できない人物になります。あの時「人は変わる」と突きつけられた兄にも、同じだけ年月が流れました。
さらに長女リニアーナは、ラノア魔法大学でルーデウスと再会します。大森林編では「国外へ勉強に出ている娘」だった名前が、ずっと後で学生本人として出てくるんです。
ロアのギレーヌ、大森林のギュエス、魔法大学のリニア。別々の章で知った顔が、後から家系で一本につながる。こういう「前に置かれた名前が後で人になる」瞬間、気持ちいいんですよ。
後年のドルディア村まで追うと、時間が止まっていたのはギュエスの「妹の記憶」だけだったと分かります。家族の側も、それぞれの場所でちゃんと先へ進んでいました。
考察|ギレーヌとギュエスの確執が面白いのは「どちらの記憶も嘘ではない」から
この兄妹、どちらか一方を悪者にすると急につまらなくなります。ギュエスの記憶も、エリスの尊敬も、どちらも本物だからです。
子供時代のギレーヌは本当に暴れた。兄は迷惑を受け、止めようとして苦労した。そこは「兄の偏見」の一言で消せません。
逆に、その過去だけで今のギレーヌを裁き続けるのも違う。兄の知らない場所で、妹は何度も失敗し、そのたびに足りないものを覚えてきました。
剣を極め、仲間と旅をし、文字と算術を学び、今度はエリスへ剣だけでなく自分の失敗まで渡す。昔の問題児が、別の問題児を育てる師匠になったんです。
兄は「昔の妹」を知りすぎている。教え子は「今の師匠」を知っている。情報の量では兄、情報の新しさではエリス。このねじれがあるから、ただの「兄妹喧嘩」で片づきません。
しかもギレーヌ本人は帰ってきて「私は変わった」と説明しません。代わりにエリスが泣いて怒り、教わった剣まで見せる。本人の自己弁護なしで、成長だけが伝わるんです。
「この人に教わってきた」と、教え子の振る舞いが答えになる。昔どれだけ強かったかより、僕はこっちの方がずっとギレーヌらしいと思います。
それでも過去は消えません。成長したから昔の迷惑が帳消しになるわけでも、兄が見方を変えたから一瞬で仲良し兄妹へ戻るわけでもない。
人は変わる。でも、変わる前の自分まで消えない。その面倒な両方を残したまま進むから、ギレーヌとギュエスは妙に生々しいんです。
よくある質問|ギレーヌとギュエスの兄妹関係
ギレーヌとギュエスに関して簡単に気になる点をまとめておきますね。
ギレーヌの兄は誰ですか?
兄はギュエス・デドルディアです。第15話ではドルディア族の戦士長として登場し、後に父ギュスターヴの後を継いで族長になります。
ギュエスはなぜギレーヌを嫌っていたのですか?
幼いギレーヌが村で暴れ、気に入らないことがあると喧嘩になり、兄を含む周囲を何度も困らせていたためです。
一度の事件で突然決裂したというより、子供時代から積み上がった悪印象が長く残った関係です。
リニアとギレーヌはどんな関係ですか?
リニアーナ・デドルディアはギレーヌの姪です。リニアの父がギュエスなので、次女ミニトーナも同じくギレーヌの姪にあたります。
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まとめ|ギレーヌの兄ギュエスが嫌っていたのは、村にいた頃の「昔の妹」
『無職転生』のギレーヌの兄は、ドルディア族の戦士長だったギュエス・デドルディア。父ギュスターヴ、兄ギュエス、その娘リニアーナとミニトーナまで、家族関係は一本につながります。
ギュエスが嫌っていたのは、彼の記憶の中で暴れ続けていた幼い妹でした。
だからエリスが語る「今のギレーヌ」を、すぐ信じられない。兄にとっては、知らない年月の方が長すぎたんです。
その間にギレーヌは失敗し、学び、剣王になり、ついには教え子が泣いて名誉を守ろうとする師匠になっていました。
「昔はひどかった」も「今は尊敬される師匠」も、どちらも本当。その両方を消さないから、ギレーヌは厚いし、ギュエスとの関係も安い仲直り話で終わらないんですよね。
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