『無職転生』のルークとエリスは、現在の歴史では結婚しません。エリスはルークと出会うより先にルーデウスの妻になっています。
でも、オルステッドが知る本来の歴史では話が逆です。ルークとエリスは結婚し、その後は「仲睦まじい夫婦」になります。
ややこしくて面白いのがここから。現在でもルークはエリスに一目惚れするんです。始まりは同じなのに、そこから先の人生だけがきれいに分かれます。
※この記事は『無職転生』Web版第165話・第167話・第168話・第171話のネタバレを含みます。
この記事でわかること
| 人物 | 本来の歴史 | 現在の歴史 |
|---|---|---|
| エリス | アスラ騎士団へ入り、ルークと結婚 | 剣の聖地で鍛え、ルーデウスと結婚 |
| ルーク | エリスに一目惚れし、求愛を続ける | 一目惚れするが、妻と知って身を引く |
| ルーデウス | オルステッドの記憶には存在しない | エリスの人生を大きく変えた存在 |
| アリエル | ルークとエリスに守られ王を目指す | ルークやシルフィらと王位を目指す |
| オルステッド | 過去のループで人物の流れを把握 | 変化した歴史をルーデウスへ説明 |
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本来の歴史ではルークとエリスは結婚|「仲睦まじい夫婦」まで明かされる
本来の歴史では、ルーク・ノトス・グレイラットとエリス・ボレアス・グレイラットは夫婦になります。しかも「結婚した」の一言では終わりません。
Web版第168話「初任務へ」まで読むと、出会い、一目惚れ、求愛、そして結婚後の関係まで一気に明かされます。
エリスは剣の腕を買われてアスラ騎士団へ。そこでルークと出会うのですが、先に心を持っていかれるのはエリスではなくルークです。
ルークはエリスへ一目惚れ。何度殴られてもアタックを続け、最後はエリスの方が折れる形で結婚します。
何度殴られても、ですよ。エリス相手にそれを続けられる時点で、恋なのか根性試しなのか分からなくなってきますが、ルークは本当に引きません。
しかも、その無茶がちゃんと結婚まで届く。エリス攻略で「殴られても続行」が正解ルートになる男、たぶんルークくらいです。
結婚後は本当に仲がいい|「幻の夫婦」は悲恋ではなかった
さらに驚くのは結婚後です。オルステッドは二人を「仲睦まじい夫婦」だったと語ります。エリスが渋々折れて、それで終わった関係ではありません。
本来の歴史では、ルークの一目惚れは、「仲睦まじい」と語られる夫婦関係まで育った。この先まであるから、ただの幻の片想いではないんです。
だから現在の二人を知っていると、ものすごく変な気分になります。だって今のルーク、同じ女性に惚れて、最初の接触で意識を刈られますからね。
本来のエリスは「赤獅子」|ルークと一緒にアリエルを守る騎士だった
本来のエリスは、今ほどではないものの聖級へ届こうかという腕を持つ剣士です。家柄も容姿も備えながら、苛烈な性格から「赤獅子」と呼ばれました。
その「赤獅子」がルークと並び、何度もアリエルを暗殺者から守る。二人は夫婦になるだけでなく、アリエルを支える同じ陣営の仲間でもあったわけです。
現在の玄関前だけを見ると夫婦なんて想像しにくい。でも本来の歴史には、同じ主君を守り、一緒に戦い続ける時間がちゃんとありました。
現在の歴史では初対面でルークがKO|一目惚れだけが同じなのが面白い
そして現在。ここでもルークは、懲りずにと言うべきか運命的と言うべきか、エリスへ一目惚れします。ところが同じなのは、本当に入口だけです。
Web版第171話「ルーク」では、ルークがルーデウス邸の前で、相手が誰かも知らないままエリスを口説き始めます。
身分を名乗り、名前を尋ね、最後はその手へキスしようと近づく。いつもの色男なら絵になる場面です。問題は、目の前にいるのがエリスだという一点。
手を伸ばした次の瞬間、ルークは気絶。本来の歴史では殴られても求愛を続けた男が、現在では最初の口説きから一撃KOです。
しかもエリス、倒しただけじゃない。出入りの邪魔にならない所まで蹴り転がします。未来の夫候補に対する現在史の扱い、雑すぎる。
気絶してもまだ惚れている|ルークには「赤い髪の天使」に見えている
これで恋心まで吹き飛んだ――と思うでしょう。吹き飛びません。目覚めたルークは、エリスを「赤い髪の天使」の夢だったと思い込むほど惚れたままです。
本人を見つければ、名前、住所、好きな花、好みの男のタイプまで一気に聞こうとする。さっき気絶させられた男ですよ。心だけ妙に頑丈です。
本来の歴史と並べると笑えなくなるほど似ています。「一目惚れする」「殴られる」「それでも追う」までは、現在でも残っている。
「ルーデウスの妻」と知った瞬間、結婚ルートはそこで止まる
そして、その次の一言で道が切れます。ルーデウスは彼女をエリス・グレイラットと紹介し、「先日、俺の妻になってくれた女性」だと伝えます。
ルークは凍りつきます。それでも奪おうとはしません。三角関係を始めるのではなく、「ルーデウスの妻」という現在の事実を受け入れます。
妙な罪悪感を抱くのは、むしろルーデウスの方です。直前に「本来ならルークと結婚する」と聞かされたばかりなので、そりゃ胸にも引っかかります。
でもルークには別の歴史の記憶なんてない。彼からすれば、ものすごく好みの女性に惚れたら、その人が友人の妻だった。それだけです。
この後は恋の奪い合いではなく王位争いへ向かいます。原作小説で続けて読むと、エリスの話からアリエル・ルーク・ルーデウスの政治パートへ空気が一気に変わります。
なぜ現在のルークとエリスは結婚しない?ルーデウスが人生の進路ごと変えた
では、どうして同じ一目惚れから結婚へ進まないのか。答えは単純で、ルークと会う前にエリスの人生そのものが別ルートへ入っているからです。
Web版第167話「説明」で、オルステッドは自分の記憶に「ルーデウス・グレイラット」という人物が存在しないと話します。
ここが大前提です。オルステッドの知る本来の歴史には「今のルーデウス」がいない。ルーデウスがいない歴史では、エリスが歩く道も変わります。
現在のエリスは幼い頃にルーデウスと出会い、転移事件では一緒に魔大陸へ飛ばされ、ルイジェルドと共に故郷を目指しました。もうこの時点で別人生です。
そしてオルステッドとの遭遇が決定打になります。「ルーデウスの隣で戦えるほど強くなる」方向へ、エリスの剣が向く。
だから向かった先もアスラ騎士団ではなく剣の聖地です。ギレーヌと修行へ入り、ついには剣王へ。エリスの修行を追うと、進路の分岐がそのまま見えてきます。
アニメ3期でも、第1・2話は「エリス修行編」。ルーデウスの隣へ戻るため、剣の聖地でひたすら前へ進む現在のエリスが描かれます。
ルークと会うより先に、エリスはルーデウスの妻になっている
しかも恋愛の順番だけ見れば、さらに分かりやすい。ルークが第171話で初めてエリスを口説くより前に、もう結婚は成立しています。
Web版第165話「エリス・グレイラット 後編」で、ルーデウスはエリスへ結婚を申し込み、エリスもそれを受け入れます。
家庭教師として出会い、魔大陸を旅し、一度別れ、エリスは剣の聖地へ行き、再会する。その全部をくぐった先の結婚なんです。
だから「本当の相手はルークなのに、ルーデウスが奪った」では順番が逆なんですよ。今のエリスは、今の人生を歩いたうえでルーデウスを選んでいます。
エリスの結婚までを現在史だけで追えば、ここは迷いません。オルステッドの知る別史とは別に、現在のエリスが選んだ夫はルーデウスです。
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「結婚に至る運命」なのに変わる?第168話自身が“絶対ではない”と示している
ただし「じゃあルークとの結婚は運命じゃなかった」と切るのも違います。オルステッドははっきり、二人は「結婚に至る運命」にあったと説明します。
ここで効いてくるのが、同じ第168話の少し前です。強い運命に守られた人物でも、その結果が崩れる例を作中が先に見せています。
その人物がデリック・レッドバット。アリエルを王へ導き、いずれ宰相になるはずの重要人物でした。それでもフィットア領転移事件で死亡します。
しかもオルステッドは、デリックが「強固な運命に守られていたはず」だと語る。そこでルーデウスも、強い運命があるから死なないとは考えない方がいいと受け止めます。
つまりルークとエリスには結婚へ向かう運命があった。でも、歴史を大きく揺らす出来事が入れば、その到着点まで絶対ではない。
この二つ、矛盾していないんです。「運命」という言葉は作中どおり使える。でも、それを「誰が何をしても必ず結ばれる唯一の相手」まで広げると別物になります。
ここを分けると一気に腑に落ちます。ルークとエリスは“結婚へ向かう運命”だった。でも現在史は、その運命すら曲がるほど変わった。
ルークの一目惚れは「元の歴史の影響」?ルーデウス本人も答えを保留している
では、結婚は消えたのに、なぜ一目惚れだけは残ったのか。つい「歴史が元へ戻ろうとしたのでは」と言いたくなりますが、作中はそこまで決めていません。
ただ、これは読者のこじつけだけでもないんです。第171話のルーデウス自身が、ルークがエリスを口説いた理由に引っかかります。
ルーデウスが浮かべるのは、「ルークはヒトガミの使徒なのか」「元の歴史の影響なのか」という可能性。ところが本人にも判断がつきません。
さらにその前には、「単純に一目惚れして口説いているだけ」も候補に入れています。作中がわざわざ三方向を残して、答えを閉じていないんです。
だから僕は、「歴史の修正力」という確定設定へ押し込むより、同じ火花だけがもう一度散ったと見る方が面白いと思っています。
同じ「一目惚れ」でも、その後を決める条件がまるで違う
本来の歴史では、その火花のあともルークはエリスを追えました。二人はアリエルを守る同じ側にいて、殴られても顔を合わせる時間が続きます。
現在は、そこが丸ごとない。ルークが惚れた時には、エリスの家も居場所も、これまで積んだ時間も、すでにルーデウスとつながっています。
始まりだけ同じで、続きは別です。ルークの好みが変わらなくても、エリスが歩いた人生が変われば、夫婦になる未来まで同じにはならない。
この残り方がいいんですよ。全部が元へ戻るわけでも、元の歴史が跡形もなく消えるわけでもない。一目惚れだけ残って、その先は現在の人生が勝つ。
だから原作小説で王位編まで追うと、この一目惚れが単なる恋愛ネタではなく、変わった歴史と変わらなかった部分を一度に見せる場面として効いてきます。
現在のルークはエリスにどう接する?最後は「奥様」と認めて身を引く
そして第171話の最後、ルークはこの恋を引きずって修羅場にしません。惚れた直後なのに、自分の立ち位置をかなりきれいに切り替えます。
帰り際、ルークはエリスへ胸に手を当てて礼をし、事情を知らず口説いたことを詫びる。そして呼び方は、もう「天使」ではなく「奥様」です。
エリスも、次は客としてもてなすと返します。恋の続きを匂わせる別れではなく、「ルーデウスの妻」と「客」へ関係を置き直す。
しかもルークが家へ来た本題は、エリスではありません。アリエルを王にするため、ルーデウスへ協力を頼みに来ています。恋に落ちても、最後は主君の話へ戻るんです。
ルーデウス・アリエル・ルークの関係までつなげると、この訪問が恋愛の珍事件で終わらず、王位争いが動き出す入口だったことも見えてきます。
同じエリスでも反応が違う|手へのキスが見せる“積み重ね”
第171話で僕が笑いながら妙に刺されたのが、手へのキスの“続き”です。ルークがそれを試みて倒された直後、エリスはルーデウスにも同じことを聞きます。
そこでルーデウスは、手より口がいいという趣旨で返す。するとエリスは顔を赤くし、腹へ軽い一撃。さっきと同じ「殴る」なのに、空気が別物です。
ルークには拒絶、ルーデウスには照れ混じりの夫婦のやり取り。同じエリスが同じ話題で見せる反応の差に、二人が積んだ時間が全部出る。
本来なら夫になる男は玄関前で沈み、現在の夫は同じキスの話で軽く殴られる。笑えるのに、並べると歴史の分岐がものすごく鮮明です。
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まとめ|ルークとエリスは本来なら夫婦、現在は「一目惚れ」で道が分かれる
『無職転生』のルークとエリスは、本来の歴史なら結婚し、仲睦まじい夫婦になります。現在ではエリスがルーデウスと結婚しているため、二人は結ばれません。
でも、この答えを「本来ルークのものだったエリスをルーデウスが奪った」で終えると、いちばん面白いところが消えます。変わったのは相手ではなく人生そのものです。
それでも一目惚れだけは残りました。同じ人を見れば同じ火花が散る。でも、その火花の先を決めるのは、それまでに歩いた人生です。
本来のルークには、殴られてもエリスを追い続ける時間がありました。現在のルークがその先で知るのは、「彼女はもう友人の妻だ」という事実です。
始まりは同じ一目惚れ。それなのに最後の呼び方は「奥様」。この落差ひとつで、ルーデウスがエリスの人生どころか世界の人間関係まで変えたのが見えるんです。
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