【推しの子】のアクアが有馬かなを無視し続けたのは、嫌いになったからではありません。むしろ逆で、失うのが怖すぎたからです。
アイドルとして売れていくかなに「男の影」が見つかったら、母・アイと同じ目に遭うかもしれない。アクアはその想像から逃げられませんでした。
本音が出るのは原作83話「入れ込み」、アニメなら3期第25話。しかも問い詰めたのは、泣かされたかな本人ではなくMEMちょでした。
ややこしいのは、同じ時期にアクアが黒川あかねと本当に付き合っていたこと。かなは当然「彼女ができたから避けられている」と受け取り、ライブ帰りにひとりで泣き崩れます。
※この記事は原作漫画(完結済み)とアニメ3期までのネタバレを含みます。
避けられた側からすれば、理由なんて「嫌われた」以外に思いつきませんよね。なのに正解は真逆。この半年、二人とも不器用すぎます。
この記事でわかること
アクアが有馬かなを避けた理由|83話で明かした「アイの二の舞」への恐怖
アクアは、かなが傷つくと分かったうえで距離を置いていました。恋人の存在がファンに知られた時、かなが危険な目に遭う。その想像を、アイの死と切り離せなかったからです。
MEMちょの待ち伏せから、ソファーの上で本音が漏れるまで
83話の入り方が、実はかなり軽いんです。MEMちょは『深掘れ☆ワンチャン!』の収録終わりを待ち伏せし、疲れて逃げたいアクアを捕まえます。
アクアが出した条件は、ソファーがある場所なら付き合う、というもの。連れて行かれた先はMEMちょの自宅で、未成年を家に連れ込んだと突っ込まれた彼女が慌てる始末です。
このころのアクアはバラエティのレギュラー、ララライの舞台稽古、医大受験の勉強を同時に抱えています。避けている相手と話す余力なんて、本当に残っていない顔です。
空気が変わるのは、MEMちょが、人はいつも合理的に動くわけじゃないと話を曲げてから。かなを避けるのも合理的じゃない、かなの調子まで落ちている、と正面から切り込みます。
さらに、思わせぶりな態度を取ったなら責任を持て、とまで言われたアクア。彼はMEMちょをソファーへ押し倒し、自分を家に連れ込んだ側こそ思わせぶりだろうとやり返します。
そこから出てきたのは、言い訳ではなく自白でした。距離を置くと決めたのは自分で、それでかなが傷つくことも分かっていた。
ここ、読んでいて一番痛いところです。自分が何をしたのか、かなが一番知りたかったその答えは、最初から「何もしていない」だったんですから。
「入れ込み」の意味が反転する|本気だったのはアクアの方
アクアが語る理屈は、未来の話から始まります。かなはこれからアイドルとしてもっと売れる。アイドルに彼氏がいると分かれば、ファンは怒る。
そこから先が止まりません。アクアは悪い想像を一段ずつ積み上げ、最後はファンがかなを傷つける場面まで行き着く。頭にあるのは、自宅の玄関で刺されたアイの姿です。
「そんな事になったら、俺はもう無理だぞ」
冷静な計算に見えた無視は、実はもう一度大切な人を失うことへの恐怖でした。しかも、その恐怖の強さ自体が、かなへの気持ちの大きさを白状しています。
MEMちょもそこで気づきます。アクアに入れ込み過ぎているのは、かなの方じゃない。アクアの方が、かなに入れ込んでいる。話のタイトル「入れ込み」は、ここで向きが引っくり返るんです。
アクアが怖がった「売れていくかな」を思い浮かべるなら、有馬かながメインを張るB小町の楽曲がちょうどいい。かなが輝けば輝くほど、アクアの不安も膨らむわけです。
本音を吐いたあと、MEMちょは笑ってアクアの頭をなで、決めつけたことを謝ります。それこそ思わせぶりだと固まるアクアに、人は合理的じゃないからと返すオチまで含めて、83話は見事です。
少年ジャンプ+の第八十三話は、MEMちょに押し切られるコメディで始まり、最後にアクアの一番弱い所が露わになります。重さと軽さの切り替えが、読み返すたびに効いてくる回です。
ずるいですよね、アクア。「好きだから避けた」なんて、本人に言わない限り一番伝わらない優しさです。
未成年を家に入れたと慌てるMEMちょから、「俺はもう無理だぞ」のアクアまで、83話の温度差はコミックス第9巻で絵ごと追うと破壊力が違います。「入れ込み」が反転するコマ、ぜひ自分の目で。
無視はいつから?宮崎のキスから、かなが泣いた82話までの半年間
アクアの塩対応が表に出るのは、宮崎でのMV撮影から半年後です。かなの側から見ると、この半年は「好きな人に彼女ができて、しかも自分だけ避けられる」期間でした。
- 78話:宮崎でアクアがあかねを引き寄せてキス。「今度は俺があかねを守りたい」と告げる
- 80話:撮影後の温泉で、あかねが「もう仕事の関係じゃない」とかなに口を滑らせる
- 81話:半年の間に、アクア本人からもあかねと本当に付き合っていると告げられていた
- 82話:B小町のライブ後、かながひとりで座り込み、追ってきたMEMちょの前で泣き崩れる
- 83話:MEMちょがアクアを捕まえ、避けていた理由を聞き出す
温泉であかねの言葉を聞いたかなは、そんなはずないと打ち消していました。信じたくなかった話を、よりによってアクア本人に確定させられる。これ、相当きついですよ。
街頭ビジョンのあかねと、ひとりで泣くかな
81話で時間が半年進むと、B小町はMVのヒットでチャンネル登録者36万人。あかねは映画の主演が決まり、アクアもバラエティやモデルの仕事で一気に顔が売れます。
みんなが前へ進むなかで、かなだけが置いていかれている。収録が終わるとすぐに帰り、街頭ビジョンに映るあかねを見上げて涙を落とします。
同じ81話の終わりには、あかねと電話で「早く会いたい」と言い合いながら、表情ひとつ動かさないアクアも描かれます。幸せそうな交際には、どうしても見えません。
そして82話。二度目のワンマンを終えたかなは、恵比寿の近くで車を降り、ひとりで座り込みます。追いかけてきたMEMちょの前で、ついに感情が決壊しました。
かなの解釈は、あかねと付き合ったから他の女と一緒にいるのを避けている、というもの。そう理解しているのに、避けられる方がずっと傷つくと叫びます。
ここが本当にきついんです。かなはアクアを責めていません。彼女がいるなら仕方ないと、頭では納得しようとしている。それでも、理由も告げられない距離には耐えられない。
アニメでは3期の幕開け、第25話「入れ込み」がちょうどこの半年後から始まります。新曲のライブで盛り上げた直後に、かなの涙を持ってくる落差がえげつない。
第二十五話「入れ込み」は、B小町はブレイク寸前、あかねもアクアも順調という空気のなかで、かなだけが明るさを失っている所から始まります。
周りが全員うまくいっている時の失恋って、本当に逃げ場がないんですよ。MEMちょが追いかけてくれて、心の底からよかった。
第25話の流れをライブ、かなの涙、MEMちょの説得の順でじっくり振り返るなら、アニメ25話の感想もあわせてどうぞ。
あかねと付き合った理由は?78話のキスと、あかねが見抜いていた本心
アクアがあかねと付き合い始めたのは、復讐が終わったと信じた時期です。少なくとも始まりは、かなを遠ざけるための交際ではありません。ただ、あかね自身はアクアの気持ちがどこにあるか分かっていました。
「今度は俺があかねを守りたい」は、復讐が終わったと思った夜の言葉
少し前の68話で、アクアは父親と思われた人物がすでに死んでいると知ります。78話では宮崎でゴローの遺体も見つかり、彼の中で復讐はいったん終わりました。
その夜、アクアはあかねに打ち明けます。復讐の計画から遺体の発見まで、ずっと彼女を利用してきたこと。あかねは別れる覚悟で泣き出しました。
そこでアクアは彼女を引き寄せてキスをし、「だから、今度は俺があかねを守りたい」と告げます。あのキスは、利用してきた相手への償いであり、普通の人生を始める宣言にも見えます。
このキスの舞台になった宮崎行きは、B小町のMV撮影を兼ねた旅でした。明るい映像の裏で、ルビーは闇に落ち、アクアは恋人を選ぶ。同じ旅で起きたことだと思うと、この軽やかさが少し怖い。
アニメ2期の最終話「願い」が、このあかねへの答えを描いた回です。復讐が終わったと思ったからこそ出た「守りたい」で、あとから見るとこの前提がいちばん脆い。
あかねは気づいていた|それでも隣にいることを選んだ87話
「かなへの想いを隠すための交際では?」と疑いたくなる気持ちは分かります。でも原作は、その疑いを、あかねの心の声で先回りして描いています。
87話、雨の撮影現場に傘を持って迎えに来たアクア。家が近いからだとごまかす彼と相合傘で歩きながら、あかねは考えます。
アクアがかなに惹かれていることは、ずっと前から分かっていた。それでも、自分を選んだ理由まで気にするのはやめよう。今のアクアは良い彼氏だから――。
かなと話すことまで拒むのは、さすがに少し気に入らない。でも、それは嘘つきのアクアなりに誠実でいようとしている形かもしれない、とあかねは受け止めます。
そして彼女は、嘘から始まった関係がいつか本当になることを願う。一方で浮気は許さないと、ちゃんと釘を刺す所まで含めて、あかねは驚くほど冷静で、驚くほど健気です。
つまり、かなへの無視はアイドルのかなを守る理由を持ちながら、あかねの目には恋人への誠実さとしても映っていました。一つの行動が、二人の女の子にまったく違う意味で届いていたんです。
あかね、全部分かったうえで笑って隣を歩いているんですよ。三人の中で一番しんどい立場を、一番上手に引き受けていたのはこの人かもしれません。
アクアの本心まで読み切るあかねの観察眼は、恋愛以外の場面でも物語を動かします。あかねの「探偵能力」を知ると、87話の心の声がさらに重く聞こえてきます。
かなとあかね、二人のヒロイン同士の関係は恋のライバルだけでは終わりません。かなとあかねが喧嘩する理由と二人の結末では、演技でつながる二人の側から追っています。
無視はいつ終わる?スキャンダルとリークの先で、ようやく話せた二人
アクアの無視が終わるのは、かなのスキャンダルが起きた後です。アクアは距離を置くのをやめ、アイの秘密と引き換えにかなを守りました。その直前には、あかねとも別れています。
無視が裏目に出た|「嫌われた」と思い込んだかなのスキャンダル
皮肉なのは、守るための無視が、かなを弱らせていたことです。99話のかなは、アクアにここまで嫌われたなら、アクアのためにアイドルを続けるなんて馬鹿な夢だと沈み込みます。
アニメ第29話「営業」でも、かなは「アクアに拒絶され」、役者としてもアイドルとしてもうまくいかない日々を送っています。仕事がほしい焦りに、島監督の誘いが入り込みます。
かなは島監督の事務所に出入りしたところを記者に撮られます。一線は越えていない。けれど状況だけ見れば言い逃れできない。自分を責めたかなは、電話にも出ず街をさまよいました。
アクアが一番避けたかった「かなのスキャンダル」は、アクアが離れている間に起きたわけです。守るための距離が、守りたかった相手をいちばん危ない場所へ押し出していた。
アイの秘密を差し出したアクアと、ティッシュ箱の仲直り
記事を止めるため、アクアは記者に直接会います。かなの名前を外してほしいと頼んでも断られ、最後に差し出したのは、アイに双子の子どもがいたという秘密でした。
何年も隠してきた自分とルビーの出生を、かな一人のために世間へ投げる。半年前は「離れる」ことで守ろうとした男が、今度は身を削って守りにいくわけです。
その代償は大きく、アイが生涯隠した秘密を売った兄を、ルビーはもう家族だと思わないと突き放します。かなを救う方法として、あまりに痛い選択でした。
107話、かなはお礼を言うためにアクアと向き合います。昔のアクアはこんなに閉じていなかった、と話し、自分も人が一人ずつ離れていく経験をしてきたと打ち明けます。
あんたも私が嫌いなのかと聞かれたアクアは、うまく言葉にできず困った顔をするだけ。全部私のためだったのかと聞かれて、ようやくもごもごと認めます。
かなの返事は、ティッシュ箱で後頭部を一発。理由があるなら、なんで先に言わないのか。半年分の涙が、ようやく怒りの形で本人に届きます。
ただ、ここで終わらないのが有馬かな。アイドルはもうすぐ辞めるし、あんたは恋愛対象じゃなく幼なじみ、と強がった直後、アクアはあかねと別れたことを口にします。
かな、自分で「恋愛対象じゃない」と言った直後にそれを聞かされるの、あまりにもかなすぎる。泣いていいのか笑っていいのか分かりません。
あかねと別れたのも「遠ざけて守る」ためだった
別れは98話。アクアの父親の正体に一人でたどり着いたあかねは、ナイフを隠し持って相手に近づこうとします。アクアはGPSで彼女を追い、危険から引き戻して突き放しました。
かなへの無視と、あかねとの別れ。並べると、アクアの守り方がずっと同じ形をしているのが見えてきます。
| 軸 | 有馬かな | 黒川あかね |
|---|---|---|
| アクアが恐れた危険 | 恋人の存在がバレ、ファンに傷つけられること | アイの事件の真相へ近づき、命を狙われること |
| 取った行動 | 理由を言わずに避け続けた(83話で本音) | 尾行して止め、関わるなと突き放した(98話) |
| 相手が受けた痛み | 嫌われたと思い込み、仕事でも追い詰められる | 監視されていたと知り、恋人を失う |
どちらも、相手に説明する前に自分だけで決めてしまう。107話でかなが怒ったのは、まさにそこでした。アクアの優しさには、いつも相手の意思を聞く工程が抜けているんです。
しかもアクアは108話で、新しい恋で幸せになれとMEMちょに言われても、自分の幸せはもうどうでもいいと返します。かなと話せるようになっても、恋人として結ばれる道は選ばれません。
その先、アクアとかながどんな結末へ向かうのかは、アクアと有馬かなは付き合うのか、両想いの時期から結末までで詳しく追っています。
ティッシュ箱の一発に至るまで、かなが口にした強がりと本音の混ざり方は、第11巻の107話をまとめて読むとよく分かります。「幼なじみ」と言い切った直後のかなの顔、見逃さないでください。
アニメは何話?アクアの無視から仲直りまでの放送回
アクアが本音を明かす場面は、アニメ3期第25話「入れ込み」で放送済みです。スキャンダルから仲直りまでの流れも、3期の後半で描かれました。
| 放送回 | アクアとかなの関係で起きること |
|---|---|
| 2期第24話「願い」 | 宮崎でアクアがあかねに答えを出す |
| 3期第25話「入れ込み」 | 半年後の塩対応、かなの涙、MEMちょに明かす本音 |
| 3期第29話「営業」 | アクアに拒絶されたと感じるかなが、仕事でも行き詰まる |
| 3期第30話「アイドルと恋愛」 | 島の事務所に出入りする姿を記者に撮られる |
| 3期第31話「決裂」 | アクアがかなを救うための方法を選ぶ |
| 3期第32話「計画」 | アクアのリークでアイの嘘が暴かれ、その波紋が広がる |
25話で本音を語ってから31話で秘密を差し出すまで、アクアの守り方は「離れる」から「身を削る」へ変わります。3期はその変化を、かなの涙を起点に一続きで追える構成なんです。
リークの代償でルビーの目に黒い星が宿る流れは、ルビー闇堕ちの考察とあわせて読むと、アクアが何を失ったのかがはっきりします。
3期は全11話で完結し、アニメ公式サイトでは第4期 Final Seasonのティザービジュアルとムービーが公開されています。
25話から見返したい人は、3期全11話の配信先まとめで見られるサービスを確認できます。かなの涙からティッシュ箱まで、通しで見ると印象がかなり変わります。
まとめ|アクアの無視は、かなを失うのが怖すぎた裏返しだった
アクアが有馬かなを無視したのは、嫌ったからでも、あかねのための当てつけでもありません。アイドルとして売れていくかなを、アイと同じ目に遭わせたくなかったからです。
かなは半年間、自分の何が悪かったのか分からないまま泣いていました。答えは「何も悪くない」で、むしろ大切にされすぎていた。この事実だけでも、82話の涙の見え方が変わります。
ただし、黙って避けるやり方が正しかったわけではありません。かなを一番追い詰めたのも、アクアの沈黙でした。だから107話のティッシュ箱は、あれでいいんです。
「怖いから離れる」じゃなくて、せめて「怖い」と一言言ってくれれば。アクアに一番言いたいのは、たぶん読者もかなも同じです。
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