『薬屋のひとりごと』(略称『薬屋』)の水蓮(スイレン)は、壬氏(ジンシ)の元乳母で、身の回りを支える熟練の女官です。原作Web版では、五十路を超えた女性として描かれます。
若い頃の後宮入りは、公式SS「水蓮伝説」で読めます。夫と死別し、娘を産んだあとに後宮へ働きに出た人で、今の落ち着きからは想像しにくい、居場所の乏しい出発点でした。
一方、現在は壬氏の身支度から菓子の用意まで手が回る働き者。けれど、主を美しく整える腕前が、変装ではむしろ困ったことになる。この人の仕事、褒めるだけでは終われません。
※原作Web版と公式SS「水蓮伝説」、アニメ第1期第17話・第2期第33話に触れます。若い頃の境遇や後宮での出会いを含みます。
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水蓮はどんな人物?壬氏の元乳母で、暮らしを支える女官
水蓮は、壬氏が幼かった頃から知る元乳母です。今も食事や身支度を任され、主の生活のすぐそばにいます。
| 項目 | 水蓮の基本情報 |
|---|---|
| 名前・読み方 | 水蓮(スイレン) |
| 立場 | 壬氏の元乳母で、身の回りに仕える女官 |
| 年齢の手掛かり | 原作Web版では初老、五十路を超える描写がある |
| 主な仕事 | 食事、掃除、衣服や髪の手入れ、菓子の用意 |
| 普段の様子 | 穏やかに話しながら、仕事の手は止めない |
原作Web版の登場人物紹介2では、壬氏の「元乳母」。今だけ雇われた侍女とは違い、主が幼かった時間まで知っている人なんですね。
従者の高順(ガオシュン)が主のそばに控え、猫猫は薬や毒の知識を使う。その横で水蓮は、食事と衣服と部屋を整える。謎解きが一段落しても、この人の仕事は終わりません。
必要なのは、壬氏の私室を安心して任せられる人。仕事が早くても、主にのぼせて手が止まるのでは務まりません。
壬氏の美貌は、仕える側には人選の難しさにもなる
アニメ第13話「外廷勤務」では、猫猫が壬氏のもとで働くことになり、水蓮と仕事を共にします。主の美貌に心を奪われず、任せたことをしてくれる人が必要な持ち場です。
Web版では、新しい人を入れても長続きせず、持ち物にまで困ったことが起きたと話します。増員すれば楽になるはずが、掃除の担当まで水蓮へ戻ってくる。
- 主の見た目に振り回されず、日々の仕事を続けられること
- 私室へ入る立場として、持ち物や身支度を安心して任せられること
- 食事や掃除を、主の生活と仕事の時間に合わせられること
猫猫にとっては、壬氏に近づけることより薬や仕事のほうが気になる。その淡泊さが、この持ち場では頼りになります。
壬氏、その美貌で人を集めるのに、働ける人は増やせないのか。
後宮での表向きの立場や年齢は、壬氏のプロフィールでも追えます。水蓮が見てきた幼い姿とは、ずいぶん違う顔です。
水蓮の年齢は?原作Web版では五十路を超える女性
水蓮の年齢には、「五十路をこえれば」という原作Web版の手掛かりがあります。ただし、何歳と一つに決まる数字は、この場面や人物紹介では出てきません。
Web版「四、退屈」では、冬に関節が痛むと水蓮が話し、続く地の文が五十路を超えた身体の負担に触れます。「初老」という呼び方だけより、一歩具体的です。
| 年齢について知りたいこと | 描写から分かる範囲 |
|---|---|
| 五十歳を超えているのか | Web版「四、退屈」の地の文が、五十路を超えた身体について語る |
| 具体的に何歳か | 同場面と「登場人物紹介2」では、特定の歳数は分からない |
| 若い頃は何歳だったのか | 公式SS「水蓮伝説」でも、水蓮本人の具体的な歳数は出ない |
五十路を超える手掛かりはあっても、五十代半ば・六十歳など、この描写だけで特定の年齢には絞れません。若い頃を描くSSにも、水蓮本人の歳数は出てきません。
年を嘆く言葉の横で、銀食器を磨く手は止まらない
冬には関節が痛むとこぼす水蓮ですが、話している間に銀食器は磨き上がり、次は床掃除へ。小言を聞いているつもりが、仕事まで追い越される。
仕事が早いから、身体も平気とは限らない。猫猫が来て助かったという言葉は、広い棟を任されている水蓮から出たものです。手際を褒めるだけでは済まない、冬のひと言でした。
それは下女の仕事では、と猫猫は止めに入ります。でも水蓮は、任せたら午後の仕事に間に合わないと返す。手伝いたい相手に、仕事の速さで先を越されてしまうんですね。
冬のひと言と、止まらない手。小説でも、水蓮が何を話すかと同じくらい、その間に何を片付けているかを追いたくなります。
水蓮の若い頃は「水蓮伝説」に|後宮へ働きに出た理由と出会い
若い水蓮をたどるなら、公式SS「水蓮伝説」が大きな手掛かりです。夫を亡くしたあとの暮らしと後宮入りが描かれ、今の水蓮になる前に、どんな選択をしたのかが見えてきます。
原作展の書き下ろしSSを再編集した「水蓮伝説」は、ヒーロー文庫の特設サイトから公開されています。後宮での仕事を得るまでの、若い母親だった水蓮の物語です。
帰れる家があっても、歓迎されるとは限らなかった
水蓮の出身は地主の家。けれど、夫と死別して身重のまま実家へ戻ると、父はその帰郷を喜びません。さらに娘が生まれたことで、両親の不満は収まりませんでした。
- 夫と死別:妊娠中の水蓮が、実家へ戻る
- 娘を出産:両親から歓迎されない暮らしが続く
- 後宮の仕事へ:乳母を募る話を受け、働きに出ることを承諾する
- 一人の少女に気づく:後宮で体調の悪い少女を支え、その境遇を知る
- 雇用を願い出る:少女へ、自ら仕えたいと申し出る
家があるのに、そこに落ち着けない。幼い娘を抱える水蓮へ、両親が向けるのは働きに出てほしいという話でした。頼れるはずの実家で、先にお金の都合が来てしまう。
その先にいるのが、安氏(アンシ)です。後宮に入ったばかりで勝手も分からない、身重の少女。水蓮は体調の悪さに気づいて近づきます。
後の皇太后になる人も、出会った時には助けを必要とする少女。肩書が大きくなる前の、小さな出会いから始まるのが、この短編の好きなところです。
少女を案じる気持ちと、仕える機会をつかむしたたかさ
水蓮は少女に娘の姿を重ね、気遣います。同時に、この出会いを仕える機会とも捉える。助けを必要としている少女と、働く場所を探す水蓮の事情が、そこで重なります。
家で働きに出るよう勧められていた水蓮が、今度は目の前の少女へ雇ってほしいと願い出る。そこで、仕える相手を自分で選ぶのか。
安氏がどんな立場の人物なのかを知ると、少女のそばに立った水蓮が、後にどれほど宮中の奥へ関わっていくのかもつながります。
若い頃は美人?現在の面影とアニメの若い姿
原作Web版の「二十、船上生活その二」で、猫猫は水蓮に昔の美貌の面影を見ています。これは、現在の水蓮を見た猫猫の受け止めです。
家族との詳しい続柄は、阿多(アードゥオ)妃と水蓮を含む人物相関でも追えます。若い母だった水蓮と、壬氏のそばにいる水蓮の間には、宮中で重ねた長い時間があります。
アニメで若い水蓮が登場するのは、第2期第33話です。若い姿を見たい時の入口と、後宮入りの事情を読むSSとで、知れることが違います。
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変装では猫猫とすれ違う|水蓮が壬氏を美しく整えすぎる理由
水蓮の腕前が、別の目的には合わなくなるのが壬氏の変装です。いつもは主を美しく整える人。ところが街へ出る時に必要なのは、周囲から目立たない姿でした。
原作Web版の「五、変装」では、髪の艶や衣服の香りまで、猫猫が変えていきます。顔を変えれば終わり、では済まないのが壬氏です。
| 身支度のポイント | 水蓮が普段整える姿 | 猫猫が変装で目指す姿 |
|---|---|---|
| 髪 | 丁寧に手入れされた、艶のある髪 | 艶を落とし、普段の美しさを目立たせない |
| 衣服 | 主にふさわしく整えた身なり | 使い古した平民の衣服 |
| 香り | 上等な香りが漂う身支度 | 庶民の格好から浮かない匂い |
水蓮の手入れが見事なほど、庶民の服だけではごまかせない。髪と匂いまで変える猫猫の細かさにも、理由があるわけです。
使い古した服を前に、水蓮は嫌な顔をし、猫猫の要求には頬を両手で覆います。それでも変装そのものには手を貸す。納得した顔まで、仕事に付けてくれるわけではないのがいい。
変装の仕上がりより、横で見ている水蓮の顔のほうが気になってくる。
姿が変わっても、元乳母からすれば「坊ちゃん」
- 高順が壬氏の身体へ手ぬぐいを巻く
- 水蓮が手ぬぐいを押さえる
- 猫猫がさらしで固定し、体型まで別人へ近づける
仕上がった姿を見ても、水蓮から出る呼び方は「坊ちゃん」。壬氏はやめてくれと返します。せっかく別人になったのに、その呼び名には昔のまま引き戻される。
昔を知っている人には、服と化粧だけでは勝てない。壬氏が呼び方を止めてほしくなるのも、この場面ではよく分かります。
アニメ17話では、猫猫の休日も水蓮たちの手にかかる
第17話「街歩き」では、壬氏の変装を終えた猫猫が、水蓮と高順に引き止められ、今度は自分も着飾られる側になります。里帰りへ向かうつもりが、予定にもう一段増える。
人を変装させる仕事が終わったら、今度は自分が着飾らされる。猫猫、まだ里帰りへ出発できません。水蓮たちは、休みの日の服装まで手を抜かない。
壬氏の変装から二人の街歩きへつながる回です。第17話の公式予告も、その日の始まりを振り返る入口になります。
水蓮の手元を離れてからの二人は、第17話「街歩き」の流れとラストへ。身支度の賑やかさから、街で出会う話へと空気が移ります。
主の美しさを保ちたい水蓮と、消したい猫猫。漫画で身支度をたどる時も、壬氏だけでなく、周りの人がその姿をどう受け取るかに目を向けたくなります。
菓子作りと船旅で分かる、水蓮の気配りと優先順位
水蓮は、出来上がったものを出す前にも、相手を迎える前にも手をかけています。菓子の試作と船上のもてなしを読むと、その場ですぐ動ける人の、見えにくい準備まで分かります。
菓子は一度で決めない|焼き方と置く日数まで食べ比べる
麻美(マーメイ)が訪れるWeb版「十一、麻美の一日」では、水蓮の菓子を食べ比べることに。得意なものでも、まだ味を試しているんですね。
| 試作の違い | 仕上がりはどう変わる? |
|---|---|
| 焼く | 香ばしい匂いが引き立つ |
| 蒸す | 形よく、柔らかく仕上がる |
| 三日置く | 果実の風味が生地全体へ行き渡る |
作った当日だけでなく、三日置いた味も比べる。出来たてが一番、と決めていないのがいい。主の一皿のために、準備は何日も前から始まっています。
そして、気前よく分けてくれる菓子にも順番があります。いちばん出来のよい分は、翌日の壬氏のため。誰にでも同じように甘いのかと思ったら、主の分はきっちり別でした。
味見はできても、その菓子を土産にはできない。明日の坊ちゃまの分だけは、気前のよさで動かないんですね。
麻美が子どもへの土産を気にすると、水蓮は別の菓子を持たせてくれます。主を優先することと、働きに来た人の家族へ心を配ること。その二つを、ちゃんと同じ台所でやっている。
休みは勧める。でも、有能な人への誘いも忘れない
水蓮は麻美に、休んで子どもと顔を合わせるよう促します。そのあとで、侍女の仕事へ誘う。休暇の話をしていたはずなのに、採用の話も挟まった。
主の帰りが早くなったことから、麻美の仕事ぶりを見抜いています。休むよう言う人も、人材を探す人も水蓮です。
麻美は子どもがいるため難しいと断ります。菓子はありがたく受け取り、侍女の仕事は引き受けない。この線引きも、麻美の一日らしくて好きです。
船上では、会話が始まる前に席と茶を整える
Web版の「二十、船上生活その二」では、検診の場から帰りかける猫猫を、水蓮がそっと促します。奥では壬氏が待っている。話が始まる前から、水蓮は次へ動いています。
- 猫猫を引き止める:待っている壬氏へ気づくよう、そっと促す
- 席を作る:揺れる船内で椅子へ誘導し、茶器を準備する
- 用件に応じる:壬氏の目配せを受け、鑑定に使う針金や炭を用意する
壬氏が渡したのは、香料の龍涎香。猫猫が本物か確かめるため、茶の席に鑑定の道具も必要になります。
茶器の次には、針金と熱した炭。お茶を飲むはずの席が、猫猫のために小さな鑑定の場になる。水蓮、そちらの用意まで早い。
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まとめ|水蓮の年齢と若い頃を知ると、日々の手際にも重みが増す
水蓮は壬氏の元乳母で、原作Web版では五十路を超えた女官です。「水蓮伝説」の後宮入りから現在へたどると、日々の奉仕の奥に、生きる場所を選んできた人の強さが残ります。
若い日に雇ってほしいと願った水蓮が、今度は猫猫を迎え、麻美にも声をかける。主へ仕える長い時間の中で、頼れる手を探す側にもなっています。
そして壬氏は、どれだけ姿を変えても「坊ちゃん」。水蓮の前では、美貌より長いつきあいのほうが強い。
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