子翠(シスイ)の声優は、瀬戸麻沙美さんです。ここだけなら答えは一行。でも、この配役はそこからが本番です。
第25話では、虫を見つけた瞬間に声まで跳ねる。なのに終盤では、同じ声がすっと温度を落とす。知ってから戻ると、一度耳が止まるんですよ。
しかもこの落差、偶然ではありません。瀬戸さんは最終盤を見据え、子翠のテンションを意図的に高くする方向づけを受けていました。
だから第25話へ戻ると厄介なんです。あの弾けた明るさが、ただの賑やかさではなく、終盤まで伸びる一本の線に聞こえてしまう。
※この記事はアニメ第2期終盤の子翠の正体と第45話以降に触れます。未視聴の方はネタバレにご注意ください。
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子翠(シスイ)の声優は瀬戸麻沙美|第25話から猫猫の空気を変えた
子翠を演じるのは瀬戸麻沙美さん。初登場は第2期第25話「猫猫と毛毛」で、猫猫たちの日常へ遠慮なく飛び込んできます。
第2期公式STAFF&CASTでは、猫猫(マオマオ)役・悠木碧さん、小蘭(シャオラン)役・久野美咲さん、子翠役・瀬戸麻沙美さん。三人がそろうと会話の温度まで一段にぎやかになります。
第25話で面白いのは、子翠が慎重に距離を測るタイプではないこと。虫の話になれば、声の勢いごと猫猫の側へ入ってくる。
子翠は「おしゃべりで明るい新入りの下女」。しかも虫が絡むと熱量が跳ね上がるので、猫猫とは「好きなものへの偏り」で妙に噛み合います。
猫猫は薬と毒、子翠は虫。普段の温度は違うのに、好きなものを見つけた瞬間だけ周囲が薄くなる。そこだけ妙に同類なんですよね。
無口寄りの猫猫と、おしゃべりな子翠。正反対に見える二人が「好きなものの前では止まらない」でつながる。こういう友達の始まり方、僕はかなり好きです。
瀬戸麻沙美はどんな声優?『ちはやふる』『呪術廻戦』など代表作
瀬戸麻沙美さんは4月2日生まれ、埼玉県出身。代表作を追うと、子翠のハイテンションだけで声の印象を固定できない人だとすぐ分かります。
同じ瀬戸さんだと分かっていても、役が変わると声の前への出方まで変わる。その振れ幅を見ておくと、子翠/楼蘭の芝居がさらに面白くなります。
| 作品 | 役名 |
|---|---|
| 薬屋のひとりごと | 子翠/楼蘭 |
| ちはやふる | 綾瀬千早 |
| 呪術廻戦 | 釘崎野薔薇 |
| 青春ブタ野郎シリーズ | 桜島麻衣 |
| 怪獣8号 | 亜白ミナ |
| 盾の勇者の成り上がり | ラフタリア |
所属事務所StarCrewの公式プロフィールには、『薬屋のひとりごと』子翠/楼蘭役のほか、『ちはやふる』『呪術廻戦』などの出演作が並びます。
千早、野薔薇、麻衣、ミナ、ラフタリア。その並びへ子翠を置くと、あの虫を見た瞬間の弾け方がむしろ異色に見えてきます。
そして子翠/楼蘭では、別作品で見せるような振れ幅を一人の人物の中で往復する。ここが、この配役の面白さです。
漫画版で猫猫・小蘭・子翠の三人を読み返すなら、子翠がどの瞬間に会話へ飛び込むかにも注目したいところ。声を知ったあとだと、台詞の勢いまで戻ってきます。
子翠の明るい声は偶然じゃない|「もっと天真らんまんに」から始まった役作り
子翠を「元気な子だから元気に演じた」で片づけると、肝心なところが抜けます。瀬戸さんの最初の芝居は、そこからさらに明るい方向へ押し上げられていました。
本人も天真らんまんな人物だとは捉えていました。それでも最初の収録で返ってきたのは、「もっと」でした。
MANTANWEBの放送中インタビューで、瀬戸さんは最初の収録時に「もっと天真らんまんに」と求められたことを振り返っています。
この明るさが効くのは、猫猫と小蘭の輪に入った時です。子翠は距離を測るより先に、声の勢いごと三人組の日常へ混ざっていく。
しかも明るさはキャラ付けだけではありません。後の楼蘭との差を大きくするため、「もっとテンションを高く」という狙いまでありました。
第25話で笑えるくらい明るく振っておく。終盤で楼蘭へ戻ると、その差が一気に効く。明るさを上げた分だけ、静けさが重くなるんです。
最終盤のために、初登場のテンションを先に上げておくんですよ。後から第25話へ戻ると、あの笑い声まで仕込みに聞こえる。これは二周目、効きます。
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楼蘭妃の声優も瀬戸麻沙美|子翠と「地続き」にした演じ分け
楼蘭妃(ロウランヒ)の声優も瀬戸麻沙美さん。ここで「二役の演じ分けがすごい」で終わると、本人の感覚とは少しズレます。
放送終盤の瀬戸麻沙美さんインタビューで、子翠と楼蘭は表情も声色も違う一方、「根っこは一緒」で自分の中では「地続き」だったと語っています。
視聴者には別人級の落差を見せるのに、演じる側では断線していない。違う声を二つ作ったというより、同じ人間の違う顔を出していたんです。
実は瀬戸麻沙美は第1期から楼蘭役で出演していた
しかも瀬戸さんの参加は第2期からではありません。第1期の楼蘭にも声を入れていて、その時点ではキャスト名を出さない形でした。
第1期で明確な台詞は、壬氏へ向けた「ごきげんよう」の一言。子翠として前へ出るずっと前から、声だけはもう置かれていました。
しかもこの配役、オーディションで決まったわけではありません。長沼総監督が別作品のオーディションで瀬戸さんの芝居を覚えていて、楼蘭役を任せた経緯です。
先に楼蘭へ一言だけ声を置き、第2期で子翠の輪郭を作り、その子翠から楼蘭へ戻っていく。収録の順番が、視聴者の知る順番と逆向きなのも面白い。
「別人を作る」のではなく、子翠から楼蘭へどう重心を移したのか。瀬戸さん本人が役作りを語る公式ポッドキャストの切り抜きもあります。
完全に別人へ飛ぶのではなく、子翠の輪郭ができたからこそ、その奥にいる楼蘭の道も見えてくる。「地続き」という言葉が、ここで急に具体的になります。
声では一本につながっていたように、子翠の正体が楼蘭妃だと分かるまでの伏線も各所に積み重なっています。二周目は「隠していた」より「漏れていた」を探す方が面白いです。
第1期の「ごきげんよう」から声はもういたのに、僕は第2期の子翠を完全に新顔として見ていました。そりゃ引っかかる。うまい。
漫画版を読み返す時も、正体を知った後ほど「ここは子翠で、ここは楼蘭」と二分したくなる。でも声の話を知ると、その境目を探す読み方自体が少し揺らぎます。
第45話の「子翠」に返る一言が刺さる|瀬戸麻沙美が作った“間”
この「地続き」がいちばんむき出しになるのが、第45話「蟇盆」。猫猫は楼蘭と呼ぶか子翠と呼ぶか迷い、最後に「子翠」を選びます。
呼ばれても、すぐには返さない。短い間を置いて「なあに?」。たった一言なのに、それまでの子翠との時間が一気に戻ってくるんですよ。
瀬戸さんは、「子翠」と呼ばれた後の間に心の動きと答えが詰まっていると振り返っています。返事の前から、もう芝居は始まっているんです。
2026年4月の公式振り返り上映会レポートで、瀬戸さんは泣き崩すのではなく、目や鼻の奥が熱くなる感覚を乗せて演じたと振り返っています。
「声がすごい」で済ませると、この場面の半分しか拾えません。瀬戸さんが作ったのは「なあに?」だけでなく、子翠へ戻るまでの迷いまでです。
しかも悠木碧さんと細部を固め込んだというより、収録では互いの芝居を受けながら場面が立ち上がった。作り込まれた“間”なのに、聞こえ方は生々しい。
Anime Expo 2025の公式イベントレポートでは、第45話を生アフレコした二人が、細かな設計より相手の芝居を受けて場面へ入ったことも語られています。
第45話には公式ミニアニメ「猫猫のひとりごと」もあります。本編の直後に見ると、あの重い別れの余韻から少し呼吸を戻せます。
猫猫が選んだのは「楼蘭」ではなく「子翠」。その名を受け取って子翠が返ってくる。立場も計画も一瞬どいて、友達だった時間だけ前に出る。そりゃ刺さります。
第25話で大きく振った声が、第45話では短い返事だけで効く。派手に回収しないから、余計に重い。明るさと静けさが、ここで同じ人物へ戻ります。
猫猫・小蘭との笑顔は嘘だった?瀬戸麻沙美の答えで子翠が変わる
正体を知ったあと、いちばん嫌な疑問が残ります。猫猫や小蘭と笑っていた子翠まで、全部「楼蘭が必要としていた芝居」だったのか。
瀬戸さんは、目的のために動く面はあっても、三人の関係や笑顔まで嘘ではないと伝わるよう意識して演じたと話しています。
ここ、単純な「実は全部本心でした」ではないのがいいんです。計画も隠し事も本物。それでも、猫猫たちと笑った時間まで本物なんです。
悠木碧さんは後の振り返りで、楼蘭にとっての想定外は猫猫と仲良くなりすぎたことだったと受け止めています。予定にない友情だけが、最後の筋書きを少し狂わせた。
第2クールED「ひとりごと」を見返すと、この二重性がさらに重くなります。猫猫・小蘭・子翠の日常を、もう「全部嘘」で片付けられない。
子翠として笑えた時間が本物だったからこそ、楼蘭へ戻ったあとの静けさが痛い。声の落差が、「失ったもの」までこちらへ聞かせてくる。
子翠の明るさを「全部演技」と切れば簡単です。でも演技の中に本音まで育っていたと見ると、前半の笑顔が後半から逆照射されます。
子翠の虫好きやかわいい場面を先に見ていた人ほど、この反転は効きます。後半は前半の明るさを否定せず、むしろ「あれも本物だった」と重くしてくる。
「二面性がすごい」だけなら、もっと楽に見られたんですよ。明るさも静けさも、どちらも本人。その両方が本物だから、こんなに後を引く。
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まとめ|瀬戸麻沙美の子翠は、明るさと楼蘭の静けさを一本につないでいた
子翠の声優は瀬戸麻沙美さん。そしてこの配役の面白さは、明るい子翠と静かな楼蘭を「別の二役」ではなく、一人の人物の両側としてつないだことです。
代表作を見れば瀬戸さんの幅は広い。でも子翠では、その幅を別作品へ逃がさず、一人の人物の中で往復してしまいます。
第25話の元気な声と、第45話の短い返事。その両方を並べると、子翠の明るさそのものが物語の一部だったと見えてきます。
だから「声が合っていた」で終わらせるには、あまりにも惜しい。あの明るさは正体が分かったあとに意味を変え、短い「なあに?」でまた戻ってくるんです。
第2期を見終えたあと、第25話の子翠をもう一度聞いてみてください。同じ明るい声なのに、今度はその奥に楼蘭まで聞こえてくる。そこまで含めて瀬戸麻沙美さんの子翠です。
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