『薬屋のひとりごと』アニメ第18話「羅漢」で、猫猫(マオマオ)が壬氏(ジンシ)に見せた恐ろしい表情。その引き金は、会いたくない実父・羅漢(ラカン)の名前でした。
その一方で猫猫は、緑青館の離れで病む母・鳳仙(フォンシェン)へ薬を届けています。羅漢の名は聞きたくないのに、鳳仙の部屋には自分の足で行く。第18話の猫猫は、怖い顔の前からずっと苦しい。
※アニメ第18話の内容と、関係を確かめるために第23・24話の展開にも触れます。
あの一瞬の顔、怖かったですよね。でも離れでの猫猫を思い出すと、ただ「父親が嫌い」で片づけるにはつらすぎます。
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第18話「羅漢」で猫猫に何が起きた?里帰りから再会拒否まで
第18話は、壬氏との街歩きが終わった直後から始まります。猫猫は里へ帰り、養父の羅門(ルオメン)に頼まれて緑青館の離れへ薬を届けます。後宮で事件を追う時の軽快さが、ここではすっと消える。
- 里帰り:第17話の街歩きで壬氏と別れ、猫猫は花街の家へ戻る
- 緑青館の離れ:羅門から預かった薬を病床の鳳仙へ飲ませ、昔の緑青館を思い返す
- 宮廷へ戻る:壬氏との距離にぎこちなさを残したまま、猫猫は仕事に戻る
- 羅漢の名前:猫猫に会いたいという軍師の名を壬氏が告げると、猫猫の顔が一瞬で変わる
- 薬草畑:外廷で出会った翠苓(スイレイ)の「蘇りの薬」という言葉に、猫猫の興味が跳ね上がる
花街と宮廷を行き来するだけの回に見えて、猫猫の「家族」と壬氏の「立場」が同時に揺さぶられます。いつもなら人の秘密を見抜く猫猫が、自分の話にだけは触れさせない。あの表情が出るまでの沈黙にも目が向きます。
街歩きが第17話「街歩き」、離れへの訪問と羅漢の話が第18話「羅漢」です。猫猫が大怪我を負う祭祀の事件は続く第19話。あの衝撃まで第18話の出来事として混ぜると、今回の静かな怖さが見えにくくなります。
第17話で壬氏と猫猫の街歩きを追いたいなら、変装と花街での別れをまとめた記事がつながります。猫猫の表情が変わる前に、二人の会話がどこでこじれたかを押さえられます。
第17話のすれ違いを抱えたまま、猫猫は家へ帰る
第17話の終わり、壬氏が花街に来た目的を猫猫は取り違えます。壬氏には言い直したいことがあるのに、猫猫は話を切り上げて去る。第18話の二人が少しよそよそしいのは、急に仲が悪くなったからではありません。
この気まずさを抱えたまま、猫猫は緑青館の離れで鳳仙と向き合います。壬氏との誤解を解く暇もなく、もっと古くて重い問題に触れてしまう。
だから壬氏が後から羅漢の名を持ち出すタイミングは、猫猫にはあまりにも悪い。壬氏は父娘の関係を知ったばかりですが、猫猫にはずっと続いてきた話です。
第18話の空気を思い出すなら、TOHO animationの公式予告も手早い一本です。花街から戻った猫猫と、彼女に近づこうとする羅漢。短い予告でも、二人の線がここで交わることが伝わります。
前の回の「街でのすれ違い」が、次の回では猫猫の家の事情に突き当たる。壬氏も、聞いてしまった以上はもう知らない顔をできません。
離れの鳳仙は誰?薬を届ける猫猫の言葉が苦い
緑青館の離れで病む鳳仙は、猫猫の実母です。第18話の猫猫は彼女に薬を飲ませますが、親子らしい温かな会話が続くわけではありません。世話をする手つきと、口から出る言葉が釣り合わない。
鳳仙を前にした猫猫の「莫迦な女……」は、母への苛立ちと、母を世話しに来る自分への苛立ちを重ねた言葉です。
この台詞の向きは、アニメ展の第18話の制作解説が明かしています。顔の左右で表情を変えたという説明にも納得です。
猫猫の感情を一色に塗らないためのカットだったのでしょう。冷たく言い捨てたようで、薬を飲ませる手は離していないんですよね。
猫猫がここへ来たのは羅門の頼みです。でも頼まれた仕事だけで済むなら、これほど言葉に棘は出ないでしょう。病人を見捨てたくない薬師と、母を簡単には許せない娘が同じ部屋にいる。見ている側まで居心地が悪い。
第18話の時点では、鳳仙の病と親子の過去を一場面で説明し切っていません。猫猫が薬を運ぶ事実と、その行動だけでは埋まらない距離をまず見る回です。
猫猫は花街で育ち、緑青館の三姫にも可愛がられてきました。離れの沈んだ空気のあとで梅梅(メイメイ)たちと過ごすと、ようやく息がつける。
「血がつながる人」と「育ててくれた人」は、猫猫にとって別々の重さを持ちます。三姫といる時の親しさが、離れでの硬さをかえって際立たせるんです。
アニメ公式Xは第18話の放送前に、鳳仙役を桑島法子さんが演じると発表しました。病床での姿だけで初めて会う人物に、名前と声が与えられる。羅漢の名を冠した回なのに、忘れられないのは鳳仙のいる部屋です。
梅梅たちとの関係は、猫猫と緑青館の三姫の絆でも追えます。離れの親子を見たあとだと、「姉」と呼べる人たちがそばにいたことがずいぶん大きく感じられます。
優しい娘と言い切るのも違うし、見捨てていると言うのはもっと違う。薬を飲ませる猫猫を見ていると、家族への気持ちって本当に厄介です。
離れの場面を漫画で読み返すなら、鳳仙に向けた言葉と猫猫の行動を並べて見るのが面白いです。アニメで一瞬に重なった感情を、ページを止めながら追えます。
猫猫はなぜ羅漢の名前で怖い顔をした?壬氏との認識の差
羅漢は猫猫の実父。壬氏は彼と話すうちに父娘の関係を知り、猫猫に面会の話を持ちかけます。ところが名前を出した途端、猫猫の顔が一瞬で険しくなる。壬氏が言葉を続けにくくなるほどの拒絶です。
| 人物 | 第18話で見えているもの | すれ違う点 |
|---|---|---|
| 羅漢 | 猫猫に会いたい実父 | 会いたい気持ちだけでは、娘の過去は消えない |
| 壬氏 | 二人の血縁と、羅漢からの面会希望 | 父娘だと知っても、猫猫の拒絶の深さまでは知らない |
| 猫猫 | 緑青館の離れと、そこで生きる鳳仙 | 血縁を理由に羅漢へ会うつもりはない |
壬氏は羅漢から、猫猫のことを遠回しに「油揚げ」と呼ぶ話を聞きます。十年以上かけてやり手婆を説得したという羅漢には、壬氏に先を越された思いもある。けれど猫猫は、誰の「取り分」でもありません。
壬氏からすれば父親の希望を伝えただけかもしれません。猫猫には、その名が離れで見た鳳仙と幼い頃の記憶まで連れてくる。同じ一言を、二人はまるで違う重さで聞いています。
制作解説によれば、あの顔は羅漢への苛立ちがつい表に出たもので、画面に映す時間も意図的に短くしています。ずっと怒鳴るより、一瞬だけ隠しきれなかった方が怖い。いつも表情を抑える猫猫だから、なおさらです。
羅漢の目的を「娘に会いたい」で止めても、猫猫の反応は説明できません。父の願いと娘の拒絶を同じ重さの気持ちとして扱わないことが、この場面を読む鍵です。
父親だと知った瞬間に関係が修復するなら簡単です。けれど猫猫にとっては、羅漢と暮らさずに過ごした時間と、鳳仙が病む現在がつながっている。ここで「会ってみれば?」と気軽に言える人はいないでしょう。
羅漢の正体や鳳仙との過去をさらに掘るなら、猫猫の出生と実父・実母の関係へ。第18話ではまず、猫猫自身がその名を聞くことさえつらい、という現在地を見ておきたいです。
羅漢役の桐本拓哉さんは公式対談で、鳳仙の価値を下げたと受け取れる羅漢の言葉について、本音は別にあるだろうと振り返っています。後の展開へつながる言い方を考えたそうです。
壬氏と猫猫が聞いた言葉を、そのまま羅漢の全てにしない視点です。それでも、その言葉が猫猫に刺さらなかったことにはならない。この二つを同時に見せるのが難しい男ですね。
壬氏役・大塚剛央さんと羅漢役・桐本拓哉さんの対談では、猫猫を名指しせず「油揚げ」と呼ぶ羅漢の言葉選びにも触れています。遠回しに話す男が、娘に会いたい時だけ真っすぐになれるわけではない。その不器用さまで見えてきます。
羅漢には羅漢の事情がある。それでも、壬氏の前で顔が変わるほど嫌がる猫猫を見て、「親子なんだから」で押せる話ではないと思いました。
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翠苓の「蘇りの薬」と壬氏の秘密も、第18話で動き始める
家族の話に目を奪われる第18話ですが、後半では別の謎も動きます。猫猫は外廷の医局で薬を受け取り、壬氏について知らないことの多さに気づく。毎日近くにいるのに、彼の立場はまだ遠いままです。
ここで面白いのは、猫猫が壬氏の秘密には観察する側でいられるのに、羅漢が自分の側へ踏み込むと平静を失うことです。人の正体を探る好奇心と、自分の過去を守る感情。両方が同じ回に並んでいます。
さらに薬草畑で翠苓が口にするのは「蘇りの薬」。そんなものがあるのかと猫猫は食いつきます。鳳仙の病床を見た後なので、薬師としての好奇心だけでは済まない響きがある。治せないものを前にしたばかりですから。
第18話では、翠苓の言う薬の仕組みや目的はまだ答えになりません。「蘇り」という言葉が出た段階と、後の事件で意味が分かる段階を分けて見ると、伏線の面白さを保てます。
公式のミニアニメ「猫猫のひとりごと」第18話も題名は「薬草」。本編の重い家族の話から、薬草に目を輝かせる猫猫へ戻れる短編です。あの子の興味の向きは、苦しい場面の後でも変わらない。
家族の傷を見せた直後に、まだ解けない薬の謎を置く。この回は一つの答えで閉じず、猫猫の個人的な過去と宮廷の事件を次へ運びます。第19話の祭祀を先に知ってから戻ると、その配置がいっそう効いてきます。
猫猫が翠苓の言葉に強く反応するのも、この順序だから効きます。離れでは薬を持っていても鳳仙を元通りにはできない。そこへ「蘇り」と聞かされたら、薬好きの猫猫でなくても足を止めるでしょう。
翠苓が猫猫の弱いところを知っていたかは、第18話では分かりません。ただ、薬草を前にした二人の会話が次の謎への入口になる。鳳仙の部屋から続く気持ちで見ると、たった一語の響きが変わります。
小説で猫猫の視線を追い直すと、家族の傷と薬への欲がどう同居するかを別の角度から読めます。第18話で投げられた「蘇り」の一言を、続く事件へ持ち越してみたくなります。
第23・24話まで見ると、第18話の猫猫と鳳仙はどう見え直す?
第18話の時点で、羅漢は猫猫に会いたい。猫猫は会いたくない。鳳仙は離れで病んでいる。この三つの事実が、後の第23・24話でようやく過去とつながります。
第18話だけで羅漢を単純な悪人に固定すると、そこを取りこぼします。同時に、後から羅漢の事情を知ったからといって、猫猫の拒絶をなかったことにはできません。
| 場面 | 第18話での見え方 | 後で分かる重み |
|---|---|---|
| 鳳仙に薬を飲ませる | 病人を世話する薬師の仕事 | 実母を切り離せない娘の行動でもある |
| 「莫迦な女……」 | 鳳仙への冷たい言葉 | 鳳仙と、自分自身へ向いた二重の苛立ち |
| 羅漢の名で顔が変わる | 父との面会を拒む怒り | 過去を背負ったまま、簡単な和解を拒む反応 |
第23話「鳳仙花と片喰」は羅漢と鳳仙の過去へ踏み込み、第24話「壬氏と猫猫」では羅漢が緑青館の離れへ向かいます。
物語は「父親に会えば解決」という近道を選ばず、鳳仙に会わせるところまで運ぶ。その順番が痛くて、よくできています。
第24話では猫猫自身が壬氏へ父への複雑な感情を話します。制作解説も、猫猫は両親を完全には切り分けられないと捉えています。
二人が結ばれることを無意識に望んでいたのかもしれない、という制作側の見方も印象的です。第18話の離れ通いは、憎しみだけでは残らない行動でした。
第24話「壬氏と猫猫」で羅漢が鳳仙の歌声の方へ向かうと、第18話の離れがやっと別の景色になります。あの部屋へ猫猫が薬を運び続けたことも、そこで投げた「莫迦な女……」も、軽い一言には戻れません。
猫猫が第24話で舞った理由は、離れの母と羅漢の再会を踏まえて読むと深まります。第18話が傷を見せ、第24話は猫猫なりの見送り方を見せる。親子関係の答えが、台詞だけでなく行動にあるのが好きです。
第18話の猫猫は、会いたくない父を拒みながら母の部屋へ行く。第24話の後だと、その足取りが前よりずっと重く見えます。
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まとめ|第18話は猫猫の怒りと、母を見捨てない行動が同居する回
アニメ第18話「羅漢」で猫猫が恐ろしい顔を見せたのは、実父・羅漢の名を壬氏から聞いた時です。ただし、その回の猫猫は緑青館の離れで鳳仙に薬も飲ませています。
羅漢の名で顔が変わる一瞬だけでも忘れがたい。でも第18話をもう一度見るなら、鳳仙へ薬を運ぶ手元から追いたいです。拒む気持ちと世話する行動が同じ猫猫にあると分かるから。
あの顔の怖さは後を引きます。それ以上に、離れへ行く猫猫の足が止まらないことの方が、後からじわじわ残る回でした。
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