『薬屋のひとりごと』の猫猫(マオマオ)は、軍師・羅漢(ラカン)と緑青館の妓女・鳳仙(フォンシェン)の実の娘です。ところが、猫猫を実際に育てた「父」は羅漢ではありません。
幼い猫猫を引き取り、薬師としての土台まで作ったのは羅門(ルォメン)です。血の父は羅漢、育ての父は羅門――この二人を分けた瞬間、猫猫の家族関係が一気につながります。
猫猫の正体を一言で整理するなら、実父は羅漢、実母は鳳仙、育ての親は羅門です。ただ、面白いのは家系図よりその先。なぜ同じ「父」なのに、猫猫の態度がここまで違うのかです。
※この記事は、アニメ第1期第18~24話と猫猫の出生に関するネタバレを含みます。
この記事でわかること
| 人物 | 読み | この記事での立場 |
|---|---|---|
| 猫猫 | マオマオ | 主人公。羅漢と鳳仙の実の娘で、羅門に育てられた薬師 |
| 羅漢 | ラカン | 猫猫の実父。軍部の高官・軍師で、鳳仙と関係を深めた |
| 鳳仙 | フォンシェン | 猫猫の実母。緑青館の妓女で、囲碁と象棋に秀でる |
| 羅門 | ルォメン | 猫猫の養父・大叔父。薬師として猫猫を育てた人物 |
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猫猫(マオマオ)の正体は?実父・羅漢、実母・鳳仙、養父・羅門
猫猫の父母は羅漢と鳳仙です。でも、猫猫本人の感覚まで含めると、これだけでは足りません。彼女が「おやじ」と呼び、日々を一緒に生きてきた父親は羅門だからです。
家系図の答えと、猫猫にとっての家族の答えが同じではない。ここがこの出生設定の肝です。だから羅漢が実父だと判明しても、親子関係が急に温かいものへ変わったりはしません。
血筋だけなら猫猫は羅漢の娘です。でも、猫猫が父親として信頼しているのは羅門。このズレがあるから、羅漢との関係は「実の親子だから」で丸く収まりません。
第1期終盤まで進むと、羅漢は猫猫の「実の父」としてはっきり扱われます。第18話までの、あの妙に猫猫へ食いついてくる軍師が、血縁を知った途端にまるごと違って見えるんですよ。
猫猫の本名は「羅冥」?公式設定として示されていない名前
羅漢の娘だと分かると、「猫猫には羅姓の本名が別にあるのでは?」と考えたくなります。実際、ネット上では「羅冥」という名前も見かけます。
ただし、「羅冥」を猫猫の公式な本名として扱うことはできません。 原作Web版やアニメで主人公として使われている名前は「猫猫」です。
猫猫が生まれた経緯|羅漢と鳳仙はなぜ親子3人で暮らせなかった?
羅漢は、鳳仙の妊娠を知ったうえで妻子を捨てた父ではありません。ここがまず厄介です。彼は妊娠を知らないまま都を離れ、半年で戻るはずの不在が3年に延びました。
半年が3年。数字だけなら二文字ですが、その間に猫猫は生まれ、鳳仙の立場は崩れ、緑青館まで傷ついていく。羅漢が戻ったときには、もう「遅れてごめん」で戻せる時間じゃありません。
猫猫の出生を時系列で追うと、これは単なる「秘密の血筋」ではなく、届かなかった時間が家族を壊した話だと分かります。
| 段階 | 起きたこと |
|---|---|
| 1 | 羅漢と鳳仙が囲碁・象棋の勝負を通じて何年も関係を深める |
| 2 | 二人が一夜をともにし、鳳仙が猫猫を身ごもる |
| 3 | 羅門の失脚後、羅漢が父から遊説を命じられ都を離れる |
| 4 | 半年ほどの予定が3年に延び、その間に猫猫が誕生する |
| 5 | 帰還した羅漢が届いていた文と指を見て、子どもの存在を知る |
Web版「鳳仙花と片喰」で刺さるのは、羅漢自身が「半年ほどで戻る」と考えていたところです。本人の中では短い別れだった。それが3年になった。
しかも帰宅後、羅漢は埃をかぶった文の山から、赤黒い染みのついた一通と二本の指へたどり着きます。子どもが生まれていたと知るのが、帰ってからなんです。
遅い。あまりにも遅い。でも、その遅さを羅漢一人の悪意だけでは説明できない。父から命じられた遊説、届かなかった事情、鳳仙の追い詰められ方が全部絡んでいるから、読んでいて逃げ場がありません。
好意はあった。子どもも生まれた。なのに家族にはなれなかった。誰か一人を悪役にして終われないから、この3年間が本当に重いんですよ。
しかもアニメは、この真相を第23話でいきなり出していません。第22話では爪と色を何度も印象づけ、猫猫の小指と鳳仙へ視線を戻す準備をしています。
TVアニメ展メイキングでは、第23話の鮮やかな色で鳳仙の妊娠を、窓外の赤い花で怒りを示したと説明されています。雨の重さまで羅漢の後悔へ重ねているんです。
ここまで仕込まれていると、第23話の回想は「過去を説明する回」ではなくなります。色も雨も、羅漢が取り戻せなかった時間を見せるために働いている。見返すほど痛い回です。
羅漢と鳳仙の関係は、結果だけ読むより盤上の勝負から追った方がずっと効きます。最初は囲碁と象棋が結んだ二人なのに、その勝負相手を失うまでが一本につながるからです。
育ての親・羅門とは?猫猫の薬師としての土台を作った「おやじ」
猫猫の薬師としての現在を作ったのは、羅漢の血より羅門と積み重ねた生活です。元後宮医官の羅門は花街で薬屋を営み、猫猫を引き取りました。
しかも羅門は、ただの養父ではありません。羅漢の叔父なので、猫猫から見れば大叔父。その人が生活を支え、薬を教え、医術の考え方まで渡してきたわけです。
猫猫の知識の直接的な土台は、羅門のもとで積んだ薬師としての教育と実地経験です。ここを羅漢の功績にしてしまうと、猫猫が育ってきた時間そのものが消えてしまいます。
羅漢が天才軍師だから猫猫も天才――そう短く結びたくなる気持ちは分かります。でも、作中が見せてきたのはそんな単純な「血統ガチャ」の話じゃないんですよ。
アニメ第11話の時点で、羅門は猫猫の養父です。猫猫がずっと「おやじ」と呼ぶのも羅門。肩書ではなく、暮らした時間の方がずっと強い。
だからこそ、猫猫の凄さを実父の才能だけで説明すると妙に薄くなります。薬への執着も、観察の細かさも、目の前の症状を自分で確かめにいく癖も、羅門との日々を抜きには語れません。
猫猫が天才と呼ばれる理由まで見ると、記憶力や観察眼だけでなく、知識を現場で使い切るところに彼女らしさがあります。
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猫猫はなぜ羅漢を父と呼ばない?実父なのに距離がある理由
羅漢が実父だと分かっても、猫猫の中で「知らない軍師」が「お父さん」へ昇格するわけではありません。そりゃそうです。父として一緒に暮らした記憶がないんですから。
猫猫が幼いころから頼り、薬を教わり、帰る場所としてきたのは羅門です。血縁は羅漢にあっても、父親として積み上げた時間は羅門にある。この差は後から埋められません。
血がつながっている。それは事実です。でも、親子として過ごした時間まで後から生えてくるわけじゃない。 猫猫と羅漢を見ていると、この当たり前が妙に重く響きます。
第18話の猫猫は、病床の鳳仙を前にして感情を派手に吐き出しません。制作メイキングでは、猫猫の「莫迦な女……」が鳳仙だけでなく、そんな母を世話する自分自身にも向いていると説明されています。
これを知ると、猫猫の羅漢嫌いまで単純な「母を不幸にした父への怒り」では片付かなくなります。母も切れない。実父も完全には切れない。だからこそ、近づかれるほど面倒なんです。
羅漢の事情を知ると同情はできる。でも、その同情を猫猫へ「許してあげなよ」と押しつけるのは違う。この親子、そこを雑に丸めないのがいいんですよ。
一方の羅漢は、猫猫をそばに置こうと何度も動きます。愛情がないどころか、かなり重い。ただ、その「父親になりたい」が猫猫の幼少期をとうに過ぎてから届くから、猫猫との温度差が痛々しいほど目立ちます。
母・鳳仙と猫猫の小指|出生の秘密が身体に残したもの
猫猫の出生でいちばん目を背けたくなるのが、鳳仙から羅漢へ送られた文です。そこには二本の指が包まれていて、片方は幼い猫猫のものだと分かります。
羅漢がそれを見るのは、3年ぶりに帰還したあとです。しかも後に猫猫の左手を見ると、小指だけがわずかに歪んでいる。出生の過去が、本人の身体にまで残っています。
ここは「悲恋」の一言で綺麗に包めません。鳳仙の病と絶望だけでなく、親世代のすれ違いが幼い猫猫の身体にまで及んだ話です。
だから第18話が後から効いてきます。猫猫は緑青館の離れへ薬を届け、病んだ鳳仙を世話している。実母と知って見返しても、そこに分かりやすい母娘の抱擁なんてありません。
むしろ静かです。猫猫は鳳仙を知っている。自分との関係も分かっている。それでも言葉にしない。その沈黙が、事情を知ったあとほど重くなるんですよ。
猫猫の「正体」は血筋の肩書だけではありません。誰から生まれ、誰に育てられ、その結果どんな距離感で家族を見るようになったのかまで含めて輪郭が出ます。
第22話で小指の秘密へ視線を誘導し、第23話で羅漢の過去を開き、第24話で鳳仙との再会へ着地する。小指一本の伏線が、親子3人の過去まで引っ張ってくる構成は本当にえげつないです。
鳳仙、羅漢、幼い猫猫へ何が起きたのかは、コミカライズで表情と間を追うとさらに刺さります。出生の章を読み返すなら、結果だけでなく二人が盤を挟んでいた頃から辿りたいところです。
猫猫の正体はアニメ何話で分かる?第11・18・19・23・24話を整理
アニメは、猫猫の正体を一発で「はい答えです」と明かしません。羅門が養父だと分かる第11話から、鳳仙と羅漢の過去を回収する第23・24話まで、少しずつ家族の形を見せます。
羅漢が父親だと明確になるのは第19話。でも、そこで終わると「実は偉い軍師の娘でした」でしかない。なぜ猫猫が羅漢をあれほど嫌がるのかまで腑に落ちるのは第23~24話です。
| 話数 | 正体に関わるポイント |
|---|---|
| 第11話「二つを一つに」 | 羅門が猫猫の養父であることが示される |
| 第18話「羅漢」 | 病床の鳳仙と、猫猫に執着する羅漢の関係が接近する |
| 第19話「偶然か必然か」 | 羅漢が猫猫の父親であることが明言される |
| 第23話「鳳仙花と片喰」 | 羅漢と鳳仙の過去、3年の空白、猫猫誕生の経緯が描かれる |
| 第24話「壬氏(ジンシ)と猫猫」 | 羅漢の身請けと、猫猫が父へ抱く複雑な感情まで着地する |
「羅漢が父親だと分かる話数」だけなら第19話です。ただ、出生の事情までなら第23話、親子の距離までなら第24話。正体の答えは一話では完成しません。
第23話では、もう父娘関係を隠しません。猫猫は実父・羅漢へ象棋勝負を挑み、勝ったら緑青館の妓女を身請けするよう条件を出します。
そして第24話。羅漢が離れへ向かい、鳳仙と再会します。制作側は、周囲の色を冷たく変えながら羅漢を「あの日」へ戻す演出にしたと説明しています。
第19話で「父だった」と驚かせて、第23・24話で「じゃあ、なぜこの親子はこうなった?」まで返す。正体バレではなく、家族の傷を順番に開いていく構成なんですよ。
Web版とアニメでは鳳仙の結末が違う|正体情報を混ぜない注意点
ここは媒体をまたぐと、本当に結論が変わります。Web掲載版とアニメでは鳳仙のその後が違うため、「鳳仙は死亡した? 生きている?」へ一つの答えを返すことはできません。
Web版「鳳仙花と片喰」では、3年後に戻った羅漢が鳳仙の死を知ります。ところがアニメ第24話では鳳仙は生きていて、羅漢が身請けし、二人は再会します。
結論は、「Web版では死亡」「アニメでは生存して身請け」です。同じ出生設定でも、その後の救いだけは媒体によって大きく変わります。
Web版の「鳳仙花と片喰」では、羅漢が花街へ駆けつけた先で鳳仙の死を知ります。アニメ第24話を先に見たあと読むと、同じ3年が別の結末へ落ちるのがかなりきついです。
ただし、実父が羅漢、実母が鳳仙、育ての親が羅門という家族関係は変わりません。分岐するのは羅漢と鳳仙がもう一度会えるかどうかです。
だからアニメ第24話の再会は重いんです。Web版では戻らなかった時間を、アニメは「遅すぎても再会できた二人」へ着地させた。
そして猫猫自身は、どちらの結末でも「羅漢の娘」という肩書だけで説明できません。彼女を今の薬師にしたのは、血筋よりも羅門のもとで過ごした時間です。
猫猫の毒耐性や「これ、毒です」の背景まで見ると、出自とは別に、薬師として自分の身体まで使って確かめたがる危うさも見えてきます。
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まとめ|猫猫の正体は「羅漢と鳳仙の娘」、父として育てたのは羅門
猫猫の正体を家族関係まで整理すると、実父は羅漢、実母は鳳仙、養父は羅門です。でも、この三行だけでは猫猫という人物の面白さはまだ半分しか見えません。
血の父は羅漢。でも、父として猫猫を育てたのは羅門。母の鳳仙とは深い事情があり、その傷は猫猫の小指にまで残っている。この三人を分けて見ると、猫猫の無愛想さまで違って見えてきます。
「実は偉い軍師の娘でした」で終わらないんですよ。血筋より、誰と生きたか。そこまで含めて猫猫の正体を見ると、この家族設定は一気に深くなります。
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