『薬屋のひとりごと』のアニメで玉葉妃(ギョクヨウヒ)の声を担当しているのは、種﨑敦美さんです。第1期から第2期まで、ずっと同じ声で翡翠宮の主を演じています。
一方、原作小説9巻の限定特装版に付いたドラマCDでは、日笠陽子さんが玉葉を演じました。「あれ、声が違う?」と思ったら、聞いたのがアニメかドラマCDかで答えが分かれます。
種﨑さんといえば、『葬送のフリーレン』のフリーレンや『SPY×FAMILY』のアーニャ。あの二人と、帝の寵愛を受ける貴妃が同じ声。ちょっと耳を疑いますよね。
しかも種﨑さんは、玉葉妃の娘・鈴麗(リンリー)公主の声まで担当しています。母と娘を、一人で演じているんです。
本人いわく、役作りで意識したのは「母性」。それを知ってから見返すと、壬氏(ジンシ)をからかう時の玉葉妃まで、ちょっと違って聞こえてきます。
※この記事はアニメ第2期までの内容と、原作小説の一部に触れます。
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アニメの玉葉妃は種﨑敦美|第1期・第2期とも同じ声
玉葉妃の声は、2023年10月に始まった第1期から種﨑敦美さんです。第2期のキャストでも、玉葉妃の欄には同じ名前が並びます。
| 作品 | 玉葉妃の声 | 玉葉妃の立場 |
|---|---|---|
| TVアニメ第1期(2023年10月〜) | 種﨑敦美 | 帝の寵愛を受ける上級妃。猫猫(マオマオ)を侍女兼毒見役に迎える |
| TVアニメ第2期(2025年1月〜) | 種﨑敦美 | 第二子を身ごもり、出産を迎える |
| TVアニメ第3期(2026年10月〜) | キャスト一覧にまだ名前なし | 出産を経て、皇后の立場になっている |
| 『劇場版 薬屋のひとりごと 亡妃の秘宝』 | 発表済みのキャストに名前なし | 猫猫・壬氏・沐清(ムーチン)の3人が発表済み |
第1期の放送前、種﨑さんは自身のXで玉葉妃役を担当すると伝えています。添えられていたのは、「10月21日から」という放送開始の知らせでした。
第1期の公式サイトには、種﨑さんの放送前コメントも載っています。監督から聞いた「各話ごとに見せ方を変えている」という言葉が忘れられない、と期待を寄せていました。
そして2023年10月21日、第1期は初回3話の一挙放送でスタート。猫猫が玉葉妃の侍女兼毒見役になるのは第2話です。そこから翡翠宮の声は、ずっと種﨑さん。
気になるのは、2026年10月2日に始まった第3期です。第3期のキャスト一覧には、10月6日の時点で玉葉の名前がまだありません。
第2期で出産を迎え、皇后という新しい立場へ進んだ玉葉。その声がどの場面でまた聞けるのか、続報が待ち遠しいです。皇后になるまでの事情は、玉葉妃が皇后になった理由で詳しく追っています。
種﨑敦美の玉葉妃は「母性」が軸|一番録り直したのは猫猫への第一声
種﨑さんは、玉葉妃を演じるうえで「母性」を意識していたと話しています。2024年3月23日、第1期最終回の放送日に開かれたAnimeJapan 2024のステージでの話です。
種﨑さんにとっては、本作のイベント初参加の場でした。ステージでは、猫猫と初めて対面する時の第一声が、一番撮り直しの多かったセリフだったと振り返っています。
よりによって、最初の一言です。娘の命を救ってくれた相手へ、貴妃として最初にどんな声を向けるのか。そこを何度も録り直したと聞くと、あの対面が急に特別な場面に見えてきます。
同じステージでは、第19話「偶然か必然か」の話題も出ました。傷だらけになりながら壬氏を助けようとする猫猫の姿に、種﨑さんは泣いてしまったそうです。
猫猫を毒見役として迎えた妃を演じてきた人が、その猫猫の怪我で泣く。「母性」という言葉が、役作りの説明だけで終わっていないのが伝わってきます。
壬氏をからかう時は、聡明さと好奇心が一緒に出る
ただ、玉葉妃は優しいだけの妃ではありません。第2期を前に公式Xが出した新ビジュアルでは、聡明で思慮深い一方、年相応の好奇心も見せる人物として紹介されています。
その好奇心がいちばん生き生きするのが、壬氏をからかう時です。第35話「狩り」で、壬氏は猫猫を数日「返して」ほしいと翡翠宮へ頼みに来ます。
それを玉葉妃は「うちの猫猫を借りたいというのね」と言い直す。返すのか、借りるのか。さらに、普段は猫猫を何と呼んでいるのかまで聞いてきます。壬氏は答えに詰まり、結局名前を口にしません。
猫猫を誰が借りるかの話だったはずが、いつの間にか壬氏の本音を試す時間になっている。玉葉妃、分かっていて聞いていません?
宮中の誰もが見とれる壬氏が、名前ひとつで黙り込む。娘を想う母の顔と、人の恋路を面白がる顔。その両方を同じ声で行き来するから、玉葉妃の場面は目が離せません。
アニメ1周年のハロウィンには、玉葉妃が『西遊記』の鉄扇公主に扮したイラストまで登場しました。牛魔王の妻らしく、手には大きな扇。しかも種﨑さんのミニボイスドラマ付きです。
ボイスで聞けるのは、いつもより挑発的なセリフを口にする玉葉妃。母性で包む普段の姿とは、また別の顔です。
翡翠宮で玉葉妃と猫猫が交わすやり取りは、漫画でも追えます。種﨑さんの声を知ったあとで読むと、からかう時のひと言にも自然と声が乗ってきます。
種﨑敦美の代表作|フリーレン・アーニャと同じ秋に玉葉妃も
種﨑敦美さんは大分県出身、俳協所属の声優です。代表作を並べると、役の年齢も性格も驚くほどばらばら。そこに後宮の貴妃が加わります。
| 作品 | 役 | どんな人物か |
|---|---|---|
| 『葬送のフリーレン』 | フリーレン | 1000年以上を生きるエルフの魔法使い |
| 『SPY×FAMILY』 | アーニャ・フォージャー | 人の心が読める超能力を持つ少女 |
| 『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』 | ダイ | 勇者に憧れる少年 |
| 『魔法使いの嫁』 | 羽鳥チセ | 魔法使いの弟子となる少女 |
| 『薬屋のひとりごと』 | 玉葉妃 | 帝の寵愛を受ける上級妃で、一児の母 |
エルフ、超能力少女、少年勇者、そして貴妃。同じ人の声だと言われても、すぐには結びつきません。中でも2023年の秋は、とんでもない並びになっていました。
- 9月29日:『葬送のフリーレン』が金曜ロードショーの初回スペシャルで放送開始
- 10月7日:『SPY×FAMILY』Season 2が放送開始
- 10月21日:『薬屋のひとりごと』が初回3話一挙放送で始まる
1か月足らずの間に、主役級の三役が次々と始まったわけです。同じ週にフリーレンとアーニャと玉葉妃を聞いていた人、結構いたんじゃないでしょうか。
その年の3月には、第十七回声優アワードでダイ役の主演声優賞と、アーニャ役の助演声優賞を受賞。同アワード初の主演・助演W受賞でした。
友人が気づいたのは「9話」だった
これだけ声の幅が広いと、身近な人でも気づかないことがあるようです。AnimeJapan 2024のステージで、種﨑さん本人がそんな話をしています。
配信で見る人はクレジットを見ないことも多い、という話の流れで、会社員時代の友人から「9話にして玉葉妃が種ちゃんだと分かった」と言われたと明かしました。
友人にすら9話まで気づかれない。本人にとっては複雑かもしれませんが、演じ分けの話としてはこれ以上ない勲章です。
翡翠宮で玉葉妃と向き合う猫猫の声も、低めの落ち着いたトーンが印象的です。猫猫の声優・悠木碧さんの記事では、その低い声の理由まで掘り下げています。
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ドラマCD版の玉葉は日笠陽子|原作小説9巻の特装版に出演
ドラマCD版で玉葉を演じたのは、日笠陽子さんです。収録されたのは、2020年2月28日発売の原作小説9巻・ドラマCD付き限定特装版。これがシリーズ初のドラマCDでした。
| 人物 | 9巻ドラマCD | TVアニメ |
|---|---|---|
| 猫猫 | 悠木碧 | 悠木碧 |
| 壬氏 | 櫻井孝宏 | 大塚剛央 |
| 高順(ガオシュン) | 津田健次郎 | 小西克幸 |
| 玉葉妃 | 日笠陽子 | 種﨑敦美 |
日笠さんは『けいおん!』の秋山澪役などで知られる声優です。アニメ化で猫猫以外の主要3人の声が変わったので、ドラマCDから入った人が「あれ、声が違う」となるのも無理はありません。
配役が変わった理由について、公式からの説明は出ていません。壬氏の声優の記事でも、ドラマCDとアニメの配役の違いを整理しています。
9巻のドラマCDは、亡き妃の曲を誰に譲るかの謎解き
脚本は原作者・日向夏さんの書き下ろし。題材は、先帝の中級妃・佩芳(ベイファン)が遺した、最後に作った曲をある人物に譲りたいという遺言です。
- 遺言:音楽の才があった佩芳が、最後の曲を誰かに譲りたいと言い残す
- 相手が分からない:誰に渡すのかを伝えないまま、佩芳が亡くなる
- 翡翠宮へ:呼び出された猫猫が、壬氏から相続人探しを命じられる
- 佩芳の宮へ:侍女頭の嬌嬌(キョウキョウ)に迎えられ、残された譜を読み解いていく
9巻のドラマCD付き限定特装版の出演者は6人。玉葉役の日笠さんのほか、やぶ医者役の小形満さん、嬌嬌役の日野まりさんが並びます。
壬氏が猫猫に厄介ごとを持ち込むのが、よりによって翡翠宮。アニメでもおなじみの流れが、別の声で聞ける一枚です。
11巻の「翡翠宮ガールズトーク」に玉葉の声はない
2021年4月30日発売の11巻ドラマCD付き限定特装版には、「翡翠宮ガールズトーク」が入っています。猫猫と翡翠宮の侍女たちが、おやつの時間に盛り上がる話です。
一緒にいるのは桜花(インファ)、貴園(グイエン)、愛藍(アイラン)の3人。園遊会でいい人はいたか、という貴園の一言から話に火がつきます。
ただし、11巻の出演者12人に玉葉役の名前はありません。ドラマCDで玉葉の声を聞きたいなら、9巻の特装版です。
翡翠宮が舞台なのに、主はお留守。侍女たちだけで恋バナとは……好奇心旺盛な玉葉妃が聞いたら、混ざりたがりそうです。
桜花たちがどんな侍女なのかは、玉葉妃の侍女の記事で一人ずつ紹介しています。
ドラマCDが付いたのは原作小説の特装版でした。第2期の山場になる玉葉妃の出産は、原作小説では4巻で描かれます。アニメで聞いた声を思い出しながら、文字で追い直すのも楽しいですよ。
玉葉妃の声を聞くならこの話数|娘・鈴麗の声も種﨑敦美
玉葉妃の声をじっくり聞くなら、翡翠宮の出番が多い回と、第2期の出産前後がおすすめです。「母性」の話を知ったあとだと、特に第2期の後半が刺さります。
- 第2話「無愛想な薬師」:猫猫が玉葉妃の侍女兼毒見役になる
- 第6話「園遊会」:帝と4人の上級妃がそろう園遊会で、猫猫が毒見をこなす
- 第14話「新しい淑妃」:玉葉妃と梨花妃(リファヒ)の推薦で、猫猫が妃教育の講師を頼まれる
- 第25話「猫猫と毛毛」:猫猫が鈴麗公主の散歩に付き添う
- 第35話「狩り」:猫猫を借りに来た壬氏を、玉葉妃がからかう
- 第40話「巣食う悪意」:逆子の疑いがある玉葉妃の出産に備え、猫猫の養父・羅門(ルオメン)が後宮へ来る
- 第42話「鬼灯」:猫猫の行方が分からないまま、玉葉妃が産気づく
こうして並べると、第1期は猫猫を迎える主人として、第2期は母になる人としての出番が増えていきます。声の聞きどころも、それに合わせて移っていくんですよね。
鈴麗公主の声も種﨑さん|母と娘を一人で演じる
AnimeJapan 2024のステージでは、玉葉妃の娘・鈴麗の声も種﨑さんが担当していることが話題になりました。
すると猫猫役の悠木碧さんが、幼かった鈴麗の成長に思いを馳せて「よその子の成長は早い」とひと言。まるで親戚のような感想に、キャスト陣からも笑いがこぼれたそうです。
母の声も娘の声も、同じ人が出している。そう知ってから第25話の散歩の場面を見ると、翡翠宮の親子がまた少し違って見えてきます。
第2期後半は「母になる妃」の声が続く
第39話の公式ショートでは、お腹の大きくなった玉葉妃が「その人は、猫猫とどういう関係なの?」と尋ねる場面が切り出されています。動画の題は「これが、母になる妃というものか」。
ここから第40話で羅門が呼ばれ、第42話では猫猫がいないまま陣痛が始まります。一番頼りにしている毒見役が、一番いてほしい時にいない。
「母性」を意識したという声で、この流れを聞かされるんですよ。猫猫は無事なのか、お産は大丈夫なのか。見ている側は気が気じゃありません。
お産がどう決着し、生まれた男児がどんな立場になるのかは、玉葉妃の出産の記事で話数ごとに追っています。
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まとめ|玉葉妃の声は種﨑敦美、母の温かさとからかいの楽しさ
アニメの玉葉妃は、第1期から第2期まで種﨑敦美さんです。ドラマCD版の玉葉は、原作小説9巻の特装版で日笠陽子さんが演じています。
娘を救った猫猫に向ける声と、壬氏の本音を探る声。どちらも同じ玉葉妃で、同じ種﨑さんの声です。だからこの人の場面は、優しいだけでも、意地悪なだけでも終わりません。
フリーレンもアーニャも、玉葉妃も鈴麗も同じ人。そう思って翡翠宮を見返すと、やっぱりちょっと笑ってしまいます。皇后になった玉葉の声を、第3期で聞ける日が楽しみです。
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