『薬屋のひとりごと』の左膳(サゼン)は、子の一族の砦で見張りをしていた元衛兵です。その後、猫猫(マオマオ)と都で再会し、花街の薬屋を支える薬師見習いになります。
克用(コクヨウ)は左膳に薬の知識や調合を教える別人で、二人は薬屋の仕事仲間。店を任される左膳と、専門知識で助ける克用という組み合わせです。
忙しければ文句も言うし、留守番には不安もある。それでも薬草をすり、帳面をつける手は止まらない。左膳の好きなところは、弱音の多さと日々の働きが同居しているところです。
※この記事は左膳の経歴と、原作Web版の「市井編」「砂欧編」「壬氏編2」「華佗編」「疱瘡編」の内容に触れます。Web版・書籍版・漫画・アニメでは描写や進み方が異なります。
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左膳とは?元衛兵から花街の薬師見習いになった男性
左膳を覚えるなら、まずは猫猫の留守を預かる薬師見習いという立場が分かりやすいです。かつての勤め先は砦ですが、花街では日々の薬作りと店番を担います。
| 項目 | 左膳のプロフィール |
|---|---|
| 読み方 | サゼン |
| 性別 | 男性 |
| 出身 | 北方の農家。Web版では子北州の元農民 |
| 以前の仕事 | 子の一族の砦の衛兵・見張り役 |
| 花街での仕事 | 男衆見習いを経て、薬屋を任される薬師見習い |
| 年齢の目安 | 小説16巻序章時点で30過ぎ。ABEMA TIMESの人物紹介による |
| 人物像 | 心配性で自己評価は低め。一方で、教わったことを記録して働く勤勉さがある |
猫猫が大きな事件に関わり、花街を離れている間も、薬を必要とする客はやってきます。その店で客を迎えるのが左膳。物語の舞台が遠くへ移っても、薬屋の戸を開ける人がいるんですね。
ABEMA TIMESの人物紹介は、小説16巻序章の左膳を「30過ぎ」と紹介しています。年齢は、この時点での目安です。
「左膳」は都へ来てから名乗る名前
左膳という名には、過去との距離を取る役目があります。Web版では、砦を知る趙迂(チョウウ)が昔のことを思い出す可能性を考え、念のために偽名を使うことになりました。
本人も前の名前に未練はなく、花街の男衆頭・右叫(ウキョウ)のもとで仕事を習います。砦で勤めていた男が、花街では見習いからの出直しです。
猫猫は砦から来た男の事情を伏せ、右叫に任せます。いったん預けた相手を、猫猫が勝手に引き渡すわけにもいかない。左膳を受け入れる人が、花街にできています。
砦から都へ|図録を売ったことで猫猫と再会する
左膳が花街へ入るきっかけは、砦から持ち出した図録です。本を売って暮らしていたところ、猫猫がその本に気づき、売り主へたどり着きます。
- 砦で働く:見張りを務め、部屋にいた老医師へ食事を運んだ経験がある。
- 砦を離れる:子の一族の騒動を生き延び、持ち出した図録を売りながら都へ流れ着く。
- 猫猫と再会する:本の出所を追っていた猫猫に、砦にいた男だと気づかれる。
- 右叫に食事を出される:猫猫との張り詰めたやり取りの間に、右叫が腹具合を気遣う。
- 花街で働き始める:左膳を名乗り、右叫のもとで仕事を覚える。
Web版の右叫は、本が丁寧に扱われていることにも目を留めます。売った本を粗末にはしていなかった。左膳が抱える事情を聞く前に、その手掛かりを拾っているんですね。
猫猫は本のありかを聞き出したい。右叫はまず飯を食わせたい。左膳、怖いほうの隣に腹具合を気にしてくれる人がいて助かったね。
図録は、余裕ができたら買い戻すつもりだった
左膳は本を何でもいい売り物として扱っていたわけではありません。Web版では、暮らしに余裕ができれば図録を買い戻すつもりだったと話します。
売らなければ食べていけない。でも、手元に戻したい。知識を残した本にその気持ちがあったことを知ると、「火事場泥棒」の一言では通り過ぎにくくなります。
左膳は蝗と飛蝗を食べ分け、翌年の虫害を心配します。Web版のこの会話では、猫猫が農村の経験を聞く側。図録だけでなく、その持ち主にも知っていることがありました。
図録をめぐる出来事をアニメ側から振り返るなら、49話「蝗」の感想・考察へ。食卓の虫と砦の本がつながる入口を追えます。
図録を売った男が、やがて薬を売る側になる。原作小説で左膳を追う時も、砦を出た後にどんな仕事を覚えていくのかが気になります。
左膳の仕事は?薬草の採取・調合と店番を猫猫から学ぶ
左膳は、猫猫から薬の仕事を習い、留守中の店を任されます。得意なことを見つけてもらって終わりではなく、毎日の作業で少しずつ覚えていく弟子です。
Web版では、子守の散歩のついでに薬草を持ち帰る左膳を見て、猫猫が薬作りを教えようと考えます。子守を任せたら、薬の材料まで戻ってきた。猫猫が目を留めるには十分です。
| 仕事 | 左膳がすること | 猫猫が見る点 |
|---|---|---|
| 薬草の採取 | 散歩や外出の際に薬草を持ち帰る | 使える材料を知っているか |
| 下ごしらえ・調合 | 乾燥した薬草を粉にし、習った配合で薬を作る | 作り方と仕上がり |
| 保存・在庫管理 | 薬草を保存し、足りないものや残りを把握する | 薬を悪くせず、切らさずに扱えるか |
| 店番・帳簿 | 客に応対し、取引や作業を記録する | 店の様子を後から確認できるか |
Web版「二十三、西の商人たち 前編」の採草から、左膳の見習い仕事が動き始めます。猫猫は、そばにいる人の意外な使い道を見つけるのが早い。
留守番中、仕事が普段の約3倍に増えたことも
左膳の苦労がよく出るのが、猫猫の長い不在を預かった時です。簡単な調合を教わっていたものの、予想を超える仕事が舞い込みました。
- 猫猫が、左膳に簡単な調合を教えて遠出する。
- 留守中に風邪がはやり、薬屋の仕事が増える。
- 作り置きの薬が尽き、左膳は薬草を分けながら働き続ける。
- 帰った猫猫が記録を見て、普段の約3倍の仕事が来ていたと知る。
髭は伸び、目の下にはくま。猫猫に忙しさを訴えて、そのまま眠ってしまいます。普段の約3倍を預かった後の弱音なら、そりゃあ言いたくもなる。
頼んだ側の猫猫まで謝るんですからね。左膳の「聞いてねえぞ!」は、薬草を分ける仕事を続けた末の抗議です。留守番という言葉だけで頼むには、ちょっと重すぎました。
帰った猫猫が、眠った左膳に上掛けをかけるところまでが、Web版「二、克用」の一幕。仕事を引き継げる相手が戻った途端に寝るの、どれだけ待っていたんだろう。
一方、覚えるべきことはまだあります。薬草を扱う前の手洗いまで猫猫に注意される場面もあり、知識があることと、衛生面まで身についていることは別でした。
後には「店番だけでいいのか」と、左膳から仕事を確かめる場面もあります。もう、猫猫の外出中に用事が増えることまで織り込み済みの聞き方です。
猫猫にとって、左膳は教えておく価値のある働き手です。留守を頼める人がいれば、薬屋を続けながら、離れた場所の用事にも出られるようになります。
漫画『薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~』の第96話「向き不向き」でも、薬草の知識を見込まれた左膳が猫猫のもとで勉強します。
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克用と左膳の関係は?薬作りを教える人と教わる人
克用と左膳は同一人物ではありません。花街の薬屋で一緒に働きますが、経験も担当する仕事も違います。
| 比べる点 | 左膳 | 克用 |
|---|---|---|
| 立場 | 猫猫に仕事を任される薬師見習い | 近隣の村で薬の仕事をする、知識のある医者・薬師 |
| 主な担当 | 店番、習った薬の調合、記録や日々の管理 | 薬草の知識を教える、材料を卸す、難しい調合を補う |
| 学ぶ場面 | すり鉢で薬草をすり、作り方を確かめてもらう | 薬草を均一にすりつぶす理由まで教える |
| 猫猫の不在への反応 | 一人で任されるのを心配する | 左膳を助けるため、花街へ出張する |
克用を花街へ呼んだのは猫猫
猫猫は宮廷で働くことになり、花街の薬屋を支える人を必要としていました。そこで、仕事先を探していた克用に、村から月に何度か来てもらう話を持ちかけます。
- 左膳に薬草の知識を教える。
- 薬草を引き続き薬屋へ卸す。
- 左膳の手に負えない薬の調合を助ける。
基本の店番は左膳のまま、克用には知識と難しい調合を補ってもらう。猫猫が席を外すたび、見習い一人に全部を背負わせるより、ずっと現実的な分担です。
猫猫は克用の作った薬を、左膳ややり手婆にも確認してもらう条件をつけます。Web版の採用は、腕を見込んでも点検は省かない。このあたり、猫猫は手堅い。
助っ人が決まった時、左膳は一人で留守番するよりよいと安堵します。頼もしい宣言を期待した猫猫には少し物足りなくても、あの留守番を経た左膳なら切実ですよ。
教え方は丁寧、左膳もちゃんと上達している
克用は、薬草をむらなくすりつぶすことが、薬を混ぜた時の効き目に関わると教えます。左膳が覚えるのは手順だけでなく、そうする理由です。
Web版で二人が狭い店で薬作りに取り組む時、周囲の妓女たちは面白がって眺めています。本人たちは粉のすり方の話なのに、外からは別の楽しみにされてしまう。
のちのWeb版「薬草採取」では、克用が左膳の上達を褒めます。左膳も丁寧に教えてもらったおかげだと返す。横で教えていた時間が、ちゃんと次の薬作りにつながっています。
克用に別の仕事の声がかかると、左膳は猫猫へ引き留める手紙まで送ります。助っ人が来た時には安堵していた左膳が、今度は出ていくのを止める側へ。
克用の返事より、引き留める左膳の手紙のほうが分厚い。しかも涙で濡れた跡まで。人を一人呼ぶだけで、薬屋からこんな嘆願書が来るとは。
手紙を夫婦になぞらえるのは、作中の冗談です。薬屋での二人は、技術を教える人と教わる見習い。日々の助けが大きいからこその引き留めでした。
左膳は心配性でも勤勉|猫猫の評価と本人の不安が食い違う
左膳は自信満々な人物ではありません。それでも猫猫は、本人が思うよりちゃんとできていると見ています。不安の大きさと、できる仕事の量が一致していないんですね。
猫猫がまた遠出をすると知った左膳は、涙目で抗議します。ところが、客が来るとしぶしぶ薬屋へ戻る。文句の途中でも店は放っておかない。この順番が、いかにも左膳です。
| 場面 | 左膳の反応・行動 | 猫猫の見方 |
|---|---|---|
| 猫猫の遠出 | 留守番への不安を訴えるが、客には応対する | 本人が思うより仕事はできている |
| 調合した薬の確認 | 習ったとおりに作ったと主張する | 及第点。飲みやすくする工夫まで求める |
| 克用が別の仕事に誘われた時 | 引き留める文を送る | 自己評価は低いが、薬師として悪くない |
Web版の猫猫は、困った時の連絡先を示し、署名入りの紙を左膳へ渡します。一人で全部解決しろ、と言うのでなく、頼れる先を残して出かける形です。
「できないかもしれない」と「できていない」は、左膳の場合、同じではありません。
原作者の日向夏さんは2019年8月22日のXで、左膳を「いい意味でも悪い意味でも小物」と紹介しています。
努力が報われると思えない土地で生きてきたため、自己評価は低い。作者のこの説明を読むと、薬作りを覚えたら自信もつくはず、とは簡単に言えなくなります。
「及第点」の先に、飲む人のことを考える課題がある
猫猫が左膳の薬につける評価は、「悪くない。良くもない。及第点」。褒められたのか一瞬迷う言い方ですが、少なくとも作り方の基本は通っています。
次に求められるのは、習った通りに作ることから、飲みやすさを工夫することへ。左膳は口を尖らせながらも、配合を書いたメモを取り出します。反発して終わらないんだな、この人。
一方、Web版では高い薬草代に左膳と猫猫がぼやく場面も。調合を覚えても、値段交渉まで急に得意にはなれません。仕入れの悩みは残ります。
材料を売る克用が値段を譲らず、左膳は高いとぼやく。教えてくれる相棒でも、仕入れの話では別勘定です。この薬屋、薬を作る前からなかなか世知辛い。
Web版「五、面接試験」で猫猫は、左膳が失敗を許されないものと思っている節を見ています。腕前の問題だけでなく、失敗をどう受け止めるかも、左膳が抱える難しさです。
猫猫は、薬が合わない時の引き際を見ていればよいと考えます。失敗を恐れる左膳に対し、無理な時に引くことも求める猫猫。教える内容は、配合だけではありません。
不安を訴える左膳と、仕事はできていると見る猫猫。同じ留守番でも二人の見え方は違う。原作小説でも、この噛み合わないやり取りを追いたくなります。
猫猫や趙迂との関係|薬作りの弟子が、子供の気持ちを伝える
左膳は趙迂の世話にも関わり、子供の寂しさを猫猫へ伝えます。薬のことでは教わる側でも、猫猫の言い分に何でも頷く相手ではありません。
| 人物 | 左膳との関係 |
|---|---|
| 猫猫 | 薬屋の仕事を教え、留守を任せる相手。左膳の働きぶりを確認する |
| 克用 | 薬草の知識と調合を教える仕事仲間 |
| 右叫 | 花街で受け入れ、男衆の仕事を教える相手 |
| 趙迂 | 砦にいた頃から知る子供。花街では子守や日々の世話をする |
| 羅門(ルォメン) | 猫猫の養父。猫猫の遠出中、困った時の相談先として名前が出る |
趙迂については、響迂(キョウウ)と趙迂の関係を知ると、左膳が昔の呼び方を使わない理由も分かります。花街での生活には、砦の事情も残っているんですね。
強がる趙迂を、猫猫より先に気遣う
Web版「八、休暇明け」では、左膳が趙迂の甘えたい気持ちを猫猫へ説明します。かつて坊ちゃん扱いしていた相手も、今では日々の世話をする子供になっていました。
- 趙迂が、猫猫の次の帰宅日を気にする。
- 猫猫が忙しさを理由に、ひと月ほど先と答える。
- 左膳が、強がっていても甘えたい子供の側から話す。
猫猫は親ではないと言い、左膳は、趙迂もそれは分かっていると返します。親かどうかを問われても、次に帰る日が遠くて寂しいことへの答えにはならない。ここは左膳の話を聞きたい。
幼い頃から稼いでいたと返す猫猫に、左膳が反論。できる人間はできない人の気持ちになれず、すごくできる人間は分かってくれる、と諭します。
……と思ったら、その言葉は右叫の受け売りだと、猫猫に見抜かれます。左膳の返事は「なんでわかった⁉」。いいことを言った余韻、もう少し持たせてあげて。
それでも猫猫は話を受け止め、次の工程を書き留めるよう促します。左膳が子供の気持ちを伝えた後は、また薬作りの勉強。木簡と桶を前にした二人の会話です。
猫猫の家を使う理由は、薬の調合をするため
左膳が猫猫の家を使うようになったのは、男衆の部屋が薬の調合に向かなかったからです。かつての居場所を離れた男が、今度は薬を作るための場所を持ちます。
Web版では、猫猫が戻っても、左膳を追い出さずに別の部屋を借ります。毎日働いている左膳をどかすのか、とやり手婆に問われれば、猫猫も引き下がるほかありません。
猫猫は同じ部屋で休んでも構わないと考え、左膳のほうが青くなって止めます。薬の保存には細かいのに、男女の相部屋には無頓着。猫猫、気にする場所がずいぶん違う。
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まとめ|左膳は元衛兵の薬師見習い、克用は調合を教える仕事仲間
左膳は、砦の元衛兵から花街の薬師見習いになった男性です。克用とは別人で、日々の店番を担いながら、知識や難しい調合の助けを受けています。
「一人で大丈夫」と胸を張る日は、なかなか来ません。それでも客が来れば戻り、厳しい採点をされればメモを出す。声は不安でも、手元の仕事は一つずつ増えている人物です。
次に猫猫が遠出を切り出したら、また左膳は抗議するんだろうな。今度は出発前に、仕事量の見積もりもちゃんとお願いします。
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