パックスJrは、シーローン王国の第七王子パックスと、王竜王国の第十八王女ベネディクトの間に生まれた息子です。父と同じ「パックス」の名を持ち、本人は「パックス・シーローン.Jr」と名乗ります。
生まれた時、父はもうこの世にいません。死神ランドルフに育てられ、アスラ王立学校でルーデウスの息子ジークと親友になり、外伝の最後では黒竜騎士団長として独立へ打って出ます。
ラプラスとの関係で言えば、パックスJrが魔神ラプラスの転生体だと示す描写はありません。むしろ原作者は、オルステッドの知る歴史にはそもそも「存在しない子」だと答えています。
父の死で崩れた世界の予定表に、誰も知らない子が一人、黙って自分の国を書き足していく。外伝『ジョブレス・オブリージュ』は、そういう話でもあります。
未来を知っている男の計算から、最初から外れている。脇役の生い立ちとして読むには、ちょっと設定が強すぎませんか。
※この記事は『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』Web版の終盤と、スピンオフ『ジョブレス・オブリージュ』最終話までの重大なネタバレを含みます。パックスJrはアニメには登場していません。
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パックスJrは誰の子?父パックスと母ベネディクトの息子
パックスJrの父はパックス・シーローン、母はベネディクト・キングドラゴンです。ベネディクトは父パックスの妻であり、パックスJrにとっては母にあたります。
名前が父と同じなので、「パックスの妻」と「パックスJrの妻」が混ざりやすい。ベネディクトは母であって、息子の妻ではありません。
| 続柄 | 人物 | パックスJrとの関わり |
|---|---|---|
| 父 | パックス・シーローン | シーローン王国の第七王子。息子が生まれる前に死亡 |
| 母 | ベネディクト・キングドラゴン | 王竜王国の第十八王女。父パックスの妻 |
| 母方の祖母 | 名前は不明 | 本編では素性の知れない魔族、外伝では奴隷出身と語られる。青い髪の持ち主 |
| 伯父 | ザノバ・シーローン | 父パックスの兄。アリエル王もこの縁に触れる |
| 教育係 | ランドルフ・マリーアン | 七大列強第五位「死神」。剣と学問と料理を教える |
| 妻 | 密林の部族長の娘 | 開拓の数十年の中で結婚する。名前は描かれない |
| 孫娘 | ラウリィ・シーローン | 外伝最終話で黒竜騎士団の会議に座る騎士 |
学生時代のパックスJrにも許嫁はいました。ただ本人いわく、顔も見たことがなく、相手からは避けられている。後年に結婚する部族長の娘と同じ人物かどうかは、外伝では分かりません。
見た目は父の体つきと、母方から続く青い髪
ジークが初めて会った時のパックスJrは、背が低めで横幅が広い、がっしりした少年でした。そして髪は「目が覚めるような青色」。
この青は祖母から母へ、母から息子へと受け継がれた色です。祖母がミグルド族なのか別の魔族なのかは、パックスJrの話からも分かりません。
体つきは父から、髪は母から。鏡を見るだけで、会ったこともない父と、疎まれてきた母方の血が両方映る。そういう見た目です。
父パックスがどんな王子で、どうベネディクトと結ばれたのかは、父パックス・シーローンの人物像で詳しく追えます。
シーローン王になった父の転落と、身重の王妃を託された死神の決断は、原作小説19巻のシーローン帰郷編で一続きに読めます。息子の人生は、あの夜の約束から始まっています。
父の死後に生まれた子|ランドルフの約束とルーデウスの助命
パックスJrは、父パックスが死んだ時点ではまだ母のお腹の中でした。生まれる前から守り役が決まり、生まれた後には命まで狙われます。
- 父パックスの死:シーローン王として反乱に敗れて死亡。王妃ベネディクトはすでに身ごもっていた
- ランドルフの約束:王妃を出産まで守り、生まれた子に剣と学問と料理を教えると語る
- 処分の動き:王竜王国で、厄介者扱いの幼い息子を今のうちに処分しようとする話が持ち上がる
- ルーデウスの交渉:王竜王国の王と交渉し、小パックスの命が助けられる
- アスラへ留学:疎まれ続けた末、母や教育係と離れてアスラ王立学校へ送られる
ランドルフの約束は、Web版第210話「戦後」にあります。しかも子を「褒めて育ててやって欲しい」と頼まれているので、少々ワガママに育つかも、とまで付け足すんです。
死神と呼ばれる男が、子育ての方針でちょっと笑わせにくる。でも笑ったあとで気づきます。父がいなくなった直後に、息子の育て方だけはもう決まっている。
ところが、褒めて育てる以前に、生き延びられるかが怪しい。父が王竜王国に大きな損害を残したうえ、本人には低くても王位継承権があります。
Web版第231話「王竜王国王」でルーデウスが交渉に入り、小パックスの命は助けられます。かつて父に罠へかけられた男が、今度はその息子を生かす側に立つ。
ルーデウスの支援はここで終わりません。アスラ王立学校への留学も、ルーデウスの尽力で許されたものだと、パックスJr本人が卒業式で口にしています。
会ったことのない父から、母を通って届いたもの
パックスJrは父の声を聞いたことがなく、顔も肖像画でしか知りません。それでも父の残したものは、意外な形で手元に届いています。
変装の見分け方や、身分を偽る人間の見破り方。パックスJrはこれを母から教わり、その母は父パックスから教わっていました。スラムに入り浸った父の特技が、妻を経由して息子に届いているんです。
形見が剣でも王冠でもなく、怪しい客を見抜く目。あの父なら、それがいちばん自信のある財産だったのかもしれません。
ランドルフ直伝の料理については、原作者が感想返しで「パックスは料理はうまいよ。師匠よりも。」と答えています。
自分の料理を褒めてくれた夫婦の息子に、腕であっさり抜かれる死神。いい話なのか、師匠がちょっと気の毒なのか。
父の最期の一夜や、ランドルフが最後まで味方だった理由は、パックスの最期とその後と死神ランドルフの人物像で前後まで読めます。
パックスJrとジークの関係|髪色で孤立した二人が親友になるまで
パックスJrとジークは、アスラ王立学校の同級生です。どちらも髪の色で浮いていたところから始まり、三年後には国づくりへ誘うほどの親友になります。
ジークの緑の髪は、スペルド族と同じ色。授業に出ず裏庭の木陰に座っていたジークへ、声をかけたのはパックスJrです。誘い文句は「こんな髪の色だからか、友達ができないんだ」でした。
青い髪の少年が、緑の髪の少年に、髪の色のせいで友達ができないと打ち明けて隣に座る。言い訳のはずの一言が、そのまま一番の口説き文句になっています。
| 比べる点 | パックスJr | ジーク |
|---|---|---|
| 浮いていた理由 | 青い髪と、疎まれた王族の出自 | スペルド族と同じ緑の髪 |
| 成績 | 学術で学年トップ。武術は中の中の上 | 武術で学年トップ。学術は中の中の上 |
| 相手に教えたもの | 勉強 | 北神流の剣術 |
| 得意なこと | 経済・領地経営、人間語・闘神語・獣神語 | 生まれつきの怪力と剣 |
成績の欄が見事に裏返しです。足りないところを相手が持っていて、教え合っているうちに二人ともそれぞれの分野で学年一位。仲良くなる理由として、これ以上分かりやすいものはありません。
休日のパックスJrには、変わった習慣もありました。学校を抜け出し、王都のスラムにある闇の奴隷市場へ通っては、奴隷や客を品評するんです。
外伝第4話「過去の親友」で本人が明かす理由は、将来自分の領地でこういう場所を管理するための「勉強」。父はスラムに居場所を見つけ、母は奴隷の子だった。だから悪とは思えない、とも言います。
十代で、もう自分の領地にできる奴隷市場の管理まで考えている。この時点で夢の大きさがだいぶ漏れてますよ、パックスJr。
声をかけた本当の理由と、卒業の日に引っ込めた頼み
卒業式の帰り道、パックスJrは二つのことを打ち明けます。声をかけた理由と、卒業の日まで口にしなかった頼みです。
| 卒業の日の流れ | 二人の動き |
|---|---|
| 理由の告白 | 恩人ルーデウスの息子が孤立しているのを見て、助けなければと思ったと明かす |
| ジークの返答 | 声をかけてもらって助かったのは事実だと受け止め、気を悪くしない |
| 本当の頼み | 「僕と一緒に、来てくれないか?」 |
| 数秒後 | 父の期待を思って迷うジークを見て、「すまない、聞かなかったことにしてくれ」と取り下げる |
きっかけに恩返しが混ざっていても、三年分の友情は本物として残る。ジークがそう受け止められたのは、隣で過ごした時間の方が重かったからでしょう。
頼みを取り下げた数秒間が、アスラ王国での二人の最後の会話になりました。返事を待つことすら、相手を困らせると考えたのかもしれない。引き際がよすぎて、かえって痛いんです。
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パックスJrはなぜ国を作ろうとした?死地の飛び地を選んだ理由
パックスJrの野望は「自分の国を持つこと」です。卒業後に与えられる危険な飛び地を、その足がかりにしようとしていました。
卒業式の会場では、アスラ王国のアリエル王から亡命の誘いまで受けています。王竜王国に居づらいならアスラの民になってもいい。伯父ザノバとの縁もあるから、助ける理由はいらない、と。
パックスJrは、王族としての義務を理由に断ります。逃げれば母が責任を取らされる、という計算も本人の口から出てきます。
| 見る角度 | 与えられた飛び地の中身 |
|---|---|
| 場所 | 赤竜の下顎の南、森の北側にある王竜王国の飛び地 |
| 危険 | 魔物が多い密林。隣国は王竜王国の拠点化を黙っていない |
| 支援 | 本国の後ろ盾はなし。名の知れたランドルフは同行できない見込み |
| 本人の見立て | 「僕はきっと、そこで命を落とすよ」 |
| 本当の狙い | 誰にも染められていない土地を開拓し、機を見て独立する |
死ぬだろうと淡々と口にし、亡命を断る理由まで並べた後で、「実はちょっと、違うんだ」と本音を出す。この順番がずるい。聞いている側は、もう止める言葉をなくしています。
外伝第10話「過去の卒業」で、パックスJrは「父上が果たせなかった夢を、僕が果たすんだ」と言い切ります。独立が無理でも、開拓に成功すれば母を迎えられ、配下も自分で選べる。
建国という大きな夢の下に、母を迎えて配下を自分で選ぶという現実の目標を、二段目に置いているのがパックスJrです。夢が破れても、その下に住める家が残る設計になっています。
一方、外伝第12話でジークの父ルーデウスが語る内情は、もっと冷たい。飛び地への赴任は気づいた時には周到に用意されていて、人は「邪魔」という理由で誰かを殺そうとする、と。
周りは片付けるための左遷先として用意した土地。本人は自分の国の予定地として受け取った。同じ地図を見て、ここまで読み方が違うことあります?
開拓から黒竜騎士団長へ|ジークの救出と数十年の積み上げ
赴任から数十年で、パックスJrは捨て地同然の飛び地を王竜王国の大領地に変え、黒竜騎士団長になります。剣で勝ち取ったというより、人と金の流れを作って育てた結果です。
- 赴任:連れてきた配下は、ルーデウスから送られた十数人だけ。過去の領主は百人単位を連れてきても失敗していた
- 最初の政策:寒村の若者を集めて育て、領地の木を隣国の木こりギルドへ格安で売り、伐採の護衛まで格安で請け負う
- 変死事件:木こりの一隊が胸に穴を開けられて何度も全滅。調べるとバシカラという木の根元ばかりだった
- 処刑寸前:神聖な木の枝を折ったとしてウババ族に捕らえられ、満月の夜に神へ捧げられかける
- ジーク参上:シャリーアから追ってきたジークが部族一の戦士を倒し、ウババ族を盟友にしてしまう
- 数十年の開拓:堰で川の流れを変えて魔物を止め、部族長の娘と結婚し、身分より能力で人を登用する
- 黒竜騎士団長:赤竜の下顎の東側一帯まで広がった領地を警戒され、騎士の誓いを立てて新しい騎士団の団長になる
木を本国には内緒で格安に売る。初手からなかなか度胸のある経営です。学生時代に経済と領地経営の授業で目を輝かせていた子が、密林で本当に帳簿を回し始める。
ただ、処刑寸前の場面だけは笑えません。護衛は剣を抜いて全滅し、パックスJrは闘神語で必死に謝るのに、聞いてもらえない。最後は生きたい理由を並べて命乞いまでします。
そこへ外伝第14話「現在の親友」のジークが、木の上から「待てい!」。帰り道でようやく、卒業の日の返事を渡します。「僕は、君と一緒に行くよ。君の野望を叶えるために」
数秒で引っ込めた頼みに、一年越しで返事が届く。しかも満月の処刑台に兜で飛び降りてくる形で。返事の届け方が派手すぎるでしょう、ジーク。
泣きながら礼を言うパックスJrの姿まで含めて、ここが二人の本当の出発点です。ウババ族をパックスの友にするという、ジークの一方的な誓いも後の騎士団で生きてきます。
黒竜騎士団は、ランドルフがいた騎士団の「復活」
王竜王国がパックスJrに騎士の誓いを立てさせたのは、王位を狙えなくするためでした。パックスJrはあっさり誓います。欲しいのは王竜王国の王座ではないからです。
新しい騎士団は、最も頼れる5人を大騎士にし、それぞれが20人を集めて総勢100人。大軍ではなく、数十年かけて選び抜いた中核です。
名前の「黒竜騎士団」は、父パックスのクーデターにも騎士が付いた、ランドルフの騎士団と同じです。原作者は外伝のあとがきと感想返しで、欠員だらけで有名無実になっていたものを復活させた形だと答えています。
父の王座を支えた騎士団の名が、守り役の所属先を経由して、息子の旗になる。王竜王国の側は首輪をはめたつもりで、パックスJrに一番似合う看板を渡してしまったわけです。
外伝最終話のパックスJr|独立の成功ではなく「出陣」で終わる
『ジョブレス・オブリージュ』最終話のパックスJrは、老いた黒竜騎士団長として独立を宣言し、出陣します。ただし物語はそこで完結し、独立の成否は描かれません。
舞台は騎士団領の主城「黒竜城」。会議室の長机に、漆黒の甲冑の七人が座っています。顔ぶれを見るだけで、パックスJrが数十年で何を集めてきたかが分かります。
| 席の主 | どんな人物か |
|---|---|
| 『黒竜騎士団長』パックス・シーローン.Jr | 青髪に深い皺の老城主。目にはまだ力がある |
| 『死神騎士』ジークハルト・サラディン | 副団長。七大列強第五位「死神」の名を継いだ王竜王国最強の騎士 |
| 『絶叫姫』ラウリィ・シーローン | パックスJrの孫娘。浅黒い肌に青い髪の若い騎士 |
| 『忠犬騎士』ジェダ | 元奴隷。剣の腕を見いだされて召し抱えられた |
| 『部族騎士』ヘパルパ | 盟友ウババ族の戦士。この座に就いた四人目 |
| 『鉄塊騎士』アトモス・ロードラン | パックスJrの身代わりとなり、両腕が魔道具の義腕に |
| 『小人騎士』ピィ・クー | 小人族の女性。深い知性を持つ |
元奴隷が剣で取り立てられ、密林の部族は騎士の席を受け継ぎ、王族の孫娘も同じ机に座る。学生時代に奴隷市場で「勉強」していた少年の答えが、この表そのものです。
孫娘ラウリィの浅黒い肌と青い髪は、部族長の娘との結婚と、母方から続く青を思わせる組み合わせです。原作者は裏設定として、悲鳴で衝撃波を出す神子だとも明かしています。
情勢はアスラ王国・王竜王国・鬼神帝国の三つ巴。騎士団領はちょうど三国の真ん中にあり、このままでは大国の戦争に巻き込まれて消し飛びかねない位置です。
それでもパックスJrは外伝最終話「未来の英雄」で、これを好機と呼びます。「この戦争を利用し、我々は独立する!」。乾杯の言葉は「騎士と民の我らが国に」でした。
描かれるのは、関所の要塞化、鬼神帝国の隠し砦攻め、城の留守番と役目を振り分け、全員が動き出すところまでです。新しい国の成立も、国名も、戦後の姿も描かれていません。
原作者はあとがきで、彼らはこの後「とても大変な戦争」に参加すると書いています。さらに感想返しでは、最終話の時点でルーデウスもランドルフも亡くなっている、とも。
命を救ってくれたルーデウスも、育ててくれた死神も、もういない。その状態で、卒業の日に打ち明けた夢へ老人が自分の足で出ていく。空の杯を机に残して行くのが、また憎い終わり方なんですよ。
ジーク側の決断は、本編の後日談である蛇足編の最後の章にも残ります。「ジークは親友を助けるために、王竜王国で騎士になった」。巣立ちを見送る父の側でも、ちゃんと数えられている進路なんです。
小パックスの命を救った交渉は、ルーデウスがラプラスの復活に備えて各国を回る旅の一場面でもあります。原作小説でその旅を追うと、パックスJrが幼いうちから未来の大戦の準備が動いていたと分かります。
パックスJrとラプラスの関係は?転生体ではなく「存在しない子」
パックスJrが魔神ラプラスの転生体だとする描写は、外伝にも本編にもありません。二人がつながるのは、父パックスの死がラプラス誕生の予定を崩したからです。
オルステッドが知っていた本来の歴史では、父パックスは王になったあと共和国を作り、その国からラプラスへつながる血筋が生まれるはずでした。
- 父パックスが王になる:その後、シーローン共和国を作り上げる
- ボルト・マケドニアスの台頭:奴隷商人だった男が共和国の重鎮となり、国に根を張る
- ラプラスの誕生:ボルト本人ではなく、その子孫から魔神ラプラスが生まれる
- 実際の歴史:父パックスが死に、共和国は生まれない。ラプラスがどこから生まれるか分からなくなる
Web版第211話「ザノバの選んだ道」で、オルステッドは「パックスが死んだ以上、ラプラスがどこから生まれるかはわからなくなった」と語ります。ラプラスへ続く血筋は、パックス家ではなくボルトの子孫です。
母方の祖母が魔族だったことも、パックスJrの青い髪も、ラプラスと結ぶ材料にはなっていません。転生がどう起きるかは、ラプラス因子と転生の仕組みの側の話です。
オルステッドも知らない子が担う今後の役割
では、ラプラスの話とはまったく無縁なのか。そこは、むしろ逆かもしれません。
外伝の感想返しで、原作者は小パックスの建国をオルステッドは知らないと答えています。理由は「小パックスは存在しない子ですし」。ルーデウスも野望までは知らないはず、とのことです。
何度も同じ歴史を繰り返してきたオルステッドにとって、父パックスは予定表の重要な一行でした。その一行が消えた後に生まれた息子は、予定表のどこにも載っていません。
| 見る点 | 父パックス | パックスJr |
|---|---|---|
| オルステッドの知る歴史 | 王となって共和国を作る重要人物 | 本来は存在しない |
| 国への近づき方 | 王座を得てから国を変える | 土地と人を育て、独立を狙う |
| ラプラスとの関係 | 死によって誕生の予定を崩した | 転生体・血筋とする描写はない |
| 描かれた到達点 | シーローン王になり、反乱で死亡 | 黒竜騎士団長として独立へ出陣 |
時期にも引っかかりがあります。本編では、ラプラスの復活はおよそ80年後とされています。
一方の原作者は、ジーク以外の掘り下げを問われて「無職転生から見て70年後の戦い」に深く関係するキャラを描きたいと答えています。
その戦いがラプラスとの戦争なのかは、明言されていません。ただ、外伝の先は「別の物語と合流してしまう」とも書かれています。
誰の予測にもない勢力として、未来の大戦の盤面に立つことになりそう。今わかる範囲で言えるパックスJrの役割は、そこまでです。
ラプラス側の因縁から読み直すなら、ラプラスとオルステッドの関係が手がかりになります。ジークが「死神」に届くまでの剣の道のりは、ルーデウスの子供たちの強さと並べると際立ちます。
Jrがラプラスかどうかより、ラプラスを知り尽くした男の計算にJrが一人も入っていないことの方が、よほど怖い。未来の盤面に、駒が一つ勝手に増えているんですから。
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まとめ|パックスJrは父の名を継ぎ、誰の予定にもない国を作りに行った
パックスJrは、父パックスと母ベネディクトの息子です。父の死後に生まれ、ランドルフに育てられ、ジークと黒竜騎士団を率いて独立へ出陣しました。ラプラスの転生体だとする描写はありません。
父は王座を先に手に入れ、国を変える前に倒れました。息子は王座を自分から手放し、土地と人を先に育ててから国を取りに行く。同じ名前で、順番がまるごと逆です。
しかもその遠回りの節目ごとに、隣へ立つ誰かがいました。約束を守った死神、命を拾ったルーデウス、一年遅れで返事を届けたジーク、そして黒竜城の机に並んだ六人です。
卒業の日、「聞かなかったことにしてくれ」と数秒で引っ込めた頼み。数十年後、その頼みに応えた親友と、後から集まった仲間たちと同じ杯を空けて出ていくんだから、もう半分は建国者でしょう。国名、まだないけど。
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