『ホタルの嫁入り』5話「新入り」は、島を出るために紗都子が自分から遊女屋の新入りになり、最初の客・新渡戸栄進の前に座る回です。
4話の最後に進平が頼んだのは、遊女になってほしいという無茶。5話の紗都子は泣きも怒りもせず、「遊女屋へ案内してください」と返します。
店では、作戦に口を出す進平を叱った締めに「そして結婚するの」。誰と、とはひと言も言っていないのに、進平はそれを「求婚されちゃった…!!」と受け取ります。
紗都子が言ったのは脱出の決意、進平に届いたのはプロポーズ。同じ廊下で、受け取り方が独特すぎる。
※この記事は原作漫画第5話(単行本1巻収録)までのネタバレを含みます。アニメ第3話との対応にも触れます。
この記事でわかること
『ホタルの嫁入り』5話のネタバレ|康太郎の願いから、最初の客・新渡戸との対面まで
5話は、紗都子のいない桐ヶ谷家から始まり、遊女屋いせ吉の客間で新渡戸と向き合うところで終わります。
- 桐ヶ谷家では、紗都子を見失った護衛の康太郎が罰を受けながら、自分が連れ戻すと申し出る
- 夜の天女島。進平は紗都子を島のてっぺんへ連れて行き、見張りの厳しい船着き場を見せる
- 女が安全に島を出る方法は、遊女になって裕福な客に身請けしてもらうことだけ。紗都子は礼を言い、遊女屋への案内を頼む
- 翌日、進平が案内したのは最下級の遊女屋いせ吉。話はもう通っていて、紗都子は豪華な姿に着替える
- 最初の客は警視総監の息子・新渡戸栄進。島のほとんどの遊女屋に出禁で、会えるのは今日一回きり
- 作戦に口を出す進平を紗都子が叱り、最後に「そして結婚するの」。進平はそれを求婚と受け取る
- 客間の新渡戸は湯呑みを倒して緊張を打ち明け、紗都子は「いけるかも…!」と手応えをつかむ
第5話「新入り」は、2023年2月27日にマンガワンで通常公開。2月13日には、マンガワン公式Xが先読みの公開を告知しています。
告知には、脱出と結婚を誓い合った二人、とあります。読み終えると、誓い合えているかは怪しいところ。結婚の中身が、二人で違うからです。
アニメでは、第3話「見守るネズミ」に、いせ吉で働く紗都子と新渡戸の場面が入りました。見られる配信サービスはアニメの配信をまとめた記事にあります。
康太郎の「縄を解いていただきたい」|罰より先に、紗都子を連れ戻すと言い切る
5話の冒頭は島ではなく桐ヶ谷家。紗都子のそばを離れた護衛の康太郎が、罰を受けながら、自分で紗都子を連れ戻すと言い出します。
縄で吊られた康太郎を、小川家の老人が打っている。1話で旦那様のお遣いに呉服屋へ寄り、店主に絡む悪党の相手をした一瞬で、紗都子は消えていました。
康太郎の見立ては「計画的犯行の匂いがします」。呉服屋の騒ぎごと、紗都子をさらうための仕掛けだったのではという疑いです。
責任は全て自分にあると認め、こんな拷問では生ぬるい、死ぬほどの苦痛を、とまで言う。その口で続けたのが「今すぐこの縄を解いていただきたい」。罰はのちほど必ず受けるから、と。
罰を重くしてくれと頼んだ直後に、縄をほどいてくれ。康太郎、罰の受け取り日をきっちり後ろへずらしにかかっています。
島には紗都子を連れ出した殺し屋がいて、陸には連れ戻すと言い切った護衛がいる。紗都子の知らないところで、もう一人が名乗りを上げました。
コメント欄には、掲載当夜から「こうたろうううううううううううう!!!待ってた!!!」という書き込みも。康太郎の続きを待っていた読者には、ようやくの再登場でした。
島のてっぺんで知った現実|「泳いで逃げてみる?」の先の「ありがとうございます」
天女島の出方を、進平は言葉より先に景色で見せます。紗都子が遊女になると決めたのは、その景色を見た後でした。
島のてっぺんから見下ろす船着き場には、銃を持った見張り。島は政治家や警察官が政府の目を盗んで通う場所で、ここを出られる女は「身請けされた遊女か死体だけ」です。
知らない男性と床入りするのかと聞く紗都子に、進平は「まさか!」「そんなことしたら俺 相手の男やっちゃうよ」。安心のさせ方が、どこまでも殺し屋です。
| 逃げ方 | 進平が挙げた難しさ |
|---|---|
| 泳ぐ | 本土まで三里。夏でも海水は冷たく、紗都子の体力が持つか |
| 船を奪う | 船着き場は一か所だけで、銃を持った見張りが常に何人もいる |
| 遊女になる | 裕福な客に気に入られ、身請けしてもらう。進平は後から合流 |
一里は約3.9km。三里なら、ざっと12kmです。心臓の弱い令嬢に「泳いで逃げてみる?」は、提案というより、海の広さの見せ方でした。
3話で紗都子は、断れないと分かっていて毎回選ばせる進平のやり方を見抜いていました。
泳げば12km、船なら蜂の巣。三つも案をくれたのに、選べるのは最初から一つです。
現実を受け止めた紗都子に、進平が「ちょっと怖かった?」。返ってきたのは「ありがとうございます」でした。怖がらせた相手へ礼を言う。言われた進平のほうが、黙ってしまいます。
4話のラストで、進平はひざまずいて遊女になってほしいと頼みました。その返事が、5話の「遊女屋へ案内してください」です。
吹っ切れた紗都子の心の声は「尻込みしてなんかいられない!」。あの頼みが出た流れは4話の感想・考察で追っています。
最下級の遊女屋いせ吉の新入り|殺し屋は怖がられず、紗都子の髪は最上級
進平が選んだのは、飛び込みでも雇ってくれる最下級の遊女屋いせ吉。殺し屋はなぜかその店で慕われているように見え、新入りの紗都子は、どの遊女よりも派手な姿で現れます。
店の前で紗都子が昨夜のことを謝ると、進平は「風呂で桶を投げつけたこと?」「それとも布団に入れてくれなかったこと?」。紗都子が謝ったのは、一晩の見張りのことでした。
謝られて「何が?」と聞き返し、罪状を二つ読み上げる。横に小さく添えられた「根にもちますね」、ほんとそれ。
楼主の山本は、進平を「お待ちしておりました」と出迎えます。話を通したのは、4話で進平が連れ立っていった遊女たち。新しい娘を明日連れて行く、という伝言でした。
紗都子を置いて遊女について行ったあの進平、店への伝言まで頼んでいたことになります。その遊女たちは、新入りの紗都子をにらむだけでした。
紗都子が引っかかったのは、誰も進平を怖がらないこと。「この人が殺し屋って知らないのかしら」。進平は4話で、この島の生まれ育ちだと明かしていました。
店の人たちが知っているのは、殺し屋の顔か、島で育った男の顔か。
着替えて階段を下りてきた紗都子は、大きく張り出した髷に簪をずらりと挿した姿。本人の感想は「どの遊女よりも派手な気が…」。
読者がこの髪に挙げた名前は「横兵庫」。上級遊女特有の髪型で、簪を10本以上挿すこともあったそうです(ポーラ文化研究所の解説)。
店は最下級、髪は最上級、本人は「派手な気が…」。いせ吉の新入り、格付けが一人の中で渋滞しています。
進平は「すっごくキレイだよ紗都子」と手を叩き、すぐに着物へしがみつきます。続く言葉が「一生俺が紗都子を独り占めしたい」。
アニメ第3話の放送中、公式Xはこの拍手の場面を投稿していました。
見とれる顔と、手放したくない顔が同じページに並ぶ。遊女になってと頼んだのは、この人なんですが。
「そして結婚するの」|紗都子の決意を、進平が求婚と聞いた理由
紗都子の「そして結婚するの」には、相手の名前がありません。進平はそこに自分を入れて、求婚と受け取りました。きっかけは、作戦に口を出した進平への一喝です。
客の新渡戸に会えるのは今日一回きり。失敗したら島で一生隠れて暮らすしかない、と言った進平が、続けて「でも それも悪くないかも」。
危険にさらされ続ければ、自分は紗都子にとって欠かせない存在になれるかもしれない。作戦の失敗が、進平には悪い知らせではない。
4話で「紗都子は俺じゃないとダメだよ」と謝った人が、今度は、紗都子が自分なしでは暮らせない島の一生を思い描いています。
紗都子のほうは真剣です。女性に魅力を感じる時を聞くと、返ってきたのは「俺は紗都子に殺しを認めてもらった時が一番嬉しかったなぁ」。
これから会うのは警視総監の息子なのに、相談相手は殺し屋。答えの例も殺しの話。横に小さく「認めてないけど」。
それでも「包容力」と受け取り、作戦を小さな字でびっしり練る紗都子。そこへ進平が、紗都子はあくまで俺のお嫁さん、と口を挟みます。
しまいには、相手を殺して島に永住したほうが、とまで言い出す進平。ここで紗都子が「ちょっと黙っててください」と声を張ります。
身請けされろと言ったのはあなただ、「もっと自分の言葉に責任を持ってください」。そして最後に「私は必ず生きてこの島を出る」「そして結婚するの」。
1話の紗都子の目標は、父が望む相手と結婚することでした。5話の結婚も、その夢の続きとして読める言い方です。
ところが、紗都子が廊下を去った後の進平は、顔を真っ赤にして「キュウウゥン」。そして「求婚されちゃった…!!」。
| 話数 | 結婚を口にした人 | その時の状況 |
|---|---|---|
| 1話 | 紗都子「私たち結婚しましょう!」 | 殺される前に、自分の価値を差し出す |
| 2話 | 進平「結婚しよう」 | 口づけと、心臓が悪いという紗都子の告白の後 |
| 5話 | 紗都子(相手の名前はない) | 作戦に口を出す進平を叱った締め。進平は去った後に一人で求婚と受け取る |
コメント欄にも「さとこの『結婚するの』は、進平と、のつもりで言ってないんだろうなぁ」という書き込みがありました。言われた本人より、読者のほうがよく聞いています。
アニメでもこの一言は、第3話の配信に合わせて公式Xが取り上げています。
怖い顔から赤面まで、進平の表情の振れ幅は進平の目と表情の魅力をまとめた記事でも追っています。見送った後の書き文字は「怒られながらっていうのもいいなぁ」。
言葉に責任を持てと叱られて、拾ったのは最後の「結婚」だけ。進平、責任の取り方が結婚へ直行です。
最初の客・新渡戸栄進|湯呑みを倒す警視総監の息子に「いけるかも」
襖の向こうにいたのは、紗都子が身構えていた危険な客ではなく、湯呑みを倒して謝る丸眼鏡の男でした。
出禁と聞いて、紗都子は新渡戸を「ものすごく危険な方」と想像していました。襖の前で頬を叩き、自分に言い聞かせます。アニメ第3話の放送中、公式Xが流したのもこの場面です。
原作では、「弱気になったらダメ」は心の声。声に出さずに自分を叱って、紗都子は「新入りの紗都子と申します」と頭を下げます。
| 比べる点 | 会う前に聞いた新渡戸 | 客間の新渡戸 |
|---|---|---|
| 評判 | 警視総監の息子。島のほとんどの遊女屋に出禁 | 隅に座る紗都子を、こちらへと呼ぶ |
| 気がかり | 進平いわく、ちょっと酒癖が悪い。ただし昼間は酒が出ない | 呼んだ直後に湯呑みを倒して謝る |
| 紗都子への言葉 | ― | 「美人を前にすると緊張してしまって…」 |
お茶を拭きに駆け寄った紗都子に、新渡戸は「すまない」。身構えていた相手が、先に緊張していた。ここで紗都子の目が変わり、「いけるかも…!」。
怖い客への対策をびっしり練ってきたのに、出てきたのは湯呑みを倒す人。準備した包容力、さっそく出番です。
最後のコマは、座って待つ進平。小さく「求婚かぁ~」と書かれ、足を揺らしています。紗都子が最初の客に手応えをつかんだその時、進平はまだ廊下の余韻にいる。
5話は、新渡戸がなぜ出禁なのかを明かさないまま終わります。出禁だらけの客が、どうしてこんなに腰が低いのか。
湯呑みを倒した客と「いけるかも」の紗都子の続きは、6話「見守るネズミ」から。1巻の次の2巻に入っています。
5話の読者の反応|いいねが集まったのは「メガネの人」への疑いと「求婚されちゃった」
マンガワンの5話には670件を超えるコメントが付いています。いいねの多い順に並べると、上位は新渡戸を疑う声と、進平の勘違いの場面でした。
| 書き込み | いいね |
|---|---|
| 「メガネの人裏がありそう…」 | 10,407 |
| 「警視総監の息子、豹変しそうな顔してんな」 | 9,552 |
| 「『求婚されちゃった!』のシーン好き」 | 9,460 |
| 「あのメガネの人出禁くらってるって言われてたから100%って言っていいほど裏あるでしょ」 | 7,774 |
| 「3人はともかくお目付け役のオバハンは絶対いい人のやつ!!!」 | 4,433 |
上位5件のうち3件が新渡戸への疑い。湯呑みを倒す気弱そうな客を、上位の書き込みはまるで信用していません。「お茶倒したのワザとだろ」という書き込みまであります。
5位の「お目付け役のオバハン」は、着替えを仕切った口の悪い女性でしょう。にらむ3人には身構え、世話役には期待する。読者の人を見る目が細かい。
もう一つ目立つのが、紗都子の父への疑い。父の落ち着きぶりや康太郎のお遣いを並べ、黒幕ではと考える書き込みに、1,000件を超えるいいねが付いたものが3件あります。
康太郎が嗅ぎ取った計画的犯行の匂いを、読者はそのまま父へ向けたわけです。ただし、5話の中でその答えは出ません。
1巻は5話で終わり、この後に描き下ろしのおまけが2ページ。部屋の隅で紗都子の起床を待つ進平の言い分「嫌われたくないもん」まで、1巻で読めます。
まとめ|5話は、紗都子が自分で遊女屋へ向かい、進平が「結婚」を求婚と受け取る回
『ホタルの嫁入り』5話「新入り」は、脱出の現実を知った紗都子が自分から遊女屋へ向かい、いせ吉の新入りとして最初の客・新渡戸の前に座る回でした。
黙っていてと言われた進平、口は閉じても、足はまだ浮かれています。
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