『ホタルの嫁入り』21話「ご挨拶」は、身請けに来た康太郎の前に、進平が遊女屋の者として現れる回。「後藤と申します」と頭を下げた進平に、最後は康太郎が「諦めてくださいますね?」と迫ります。
その少し前、紗都子は康太郎に一つ頼みごとをしていました。一緒に連れていきたい人がいる。その人のことを、「私と結婚したいと言ってくれていて…」と紹介しています。
宴の途中、康太郎の一言で進平の目が渦を巻き、舞っていた紗都子は裾を踏まれて倒れかけます。支えに伸びてきた手は、二人分でした。
20話のラストで雨の軒から逆さまにのぞいていた男が、21話では遊女を従えて正座で「ご挨拶」。この切り替え、早すぎる。
※この記事は原作漫画第21話までのネタバレを含みます。21話は2026年11月7日時点でアニメでは放送されていない話で、22話以降の展開には触れません。
この記事でわかること
| 人物 | ここまでの立場 | 21話でしたこと |
|---|---|---|
| 紗都子 | 華族の令嬢。いせ吉の遊女として身を隠し、刺された進平を看病してきた | 迎えに来た康太郎に、進平も連れていきたいと頼む |
| 進平 | 殺し屋。背中の傷が治りきらないまま、20話で紗都子と「死ぬまで」いせ吉に居座りたいと話した | 遊女屋の者「後藤」と名乗り、身請けの客として康太郎をもてなす |
| 小川康太郎 | 桐ヶ谷家の護衛で、紗都子の幼なじみ。商家の息子として島に入り、20話で身請けを申し出た | 三日後の船で紗都子を連れ帰ると話し、進平に「諦めてくださいますね?」 |
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『ホタルの嫁入り』21話のネタバレ|「今すぐ桐ヶ谷家に」から、康太郎の「諦めてくださいますね?」まで
21話は20話の再会の続きから始まり、身請けを盾にした康太郎が、進平に引き下がるよう求めたところで終わります。
- 康太郎の「今すぐ桐ヶ谷家に帰りましょう!」に、紗都子は心の中で喜びかけて「でも…」。浮かんだのは進平の笑顔
- 康太郎は人の気配を感じたものの「気のせい」と流し、三日後に本土行きの船に乗るつもりだと話す
- 紗都子は一緒に連れていきたい人がいると頼み、自分と結婚したがっている男性だと打ち明ける。康太郎は「……え?」
- そこへ進平が遊女たちを連れて現れ、「後藤と申します」。身請け金を納めた客を歓迎したいと、酒席を設ける
- 進平は紗都子に酌や舞を勧め、康太郎は紗都子をそばに置きたがる。互いに探りを入れる会話が続く
- 紗都子の暮らしぶりを聞かれた進平が「この島で一番美しい遊女」と答え、康太郎の「私もそう思います」に目つきを変える
- 舞っていた紗都子が裾を踏まれて倒れかけ、進平と康太郎が同時に支える
- 康太郎は紗都子と結婚したがっている男が進平だと確かめ、本土へ連れ帰って妻にすると告げて「諦めてくださいますね?」
第21話「ご挨拶」は、マンガワンのアプリで2023年9月24日の深夜に先読み公開され、Web版の一覧では10月9日の話です。単行本では4巻に入っています。
20話は、康太郎の「私があなたを身請けします」と、軒から逆さまにのぞく進平の目で終わっていました。再会の場面は20話のネタバレ感想・考察で書いています。
「一緒に連れていきたい人がいるの」|帰れると喜んだ紗都子が、真っ先に思い浮かべた顔
安全に家へ帰れると分かった紗都子が、康太郎に最初に頼んだのは、進平も一緒に連れていくことでした。
帰りましょうと言われた紗都子の心の声は、「ここから出られる それも安全に!」。続くのは「でも…」で、次のコマには笑う進平の顔が浮かびます。
同じころ康太郎は、ふと外へ目を向けて「人の気配がしたのですが… 気のせいですね」。
康太郎、たぶん気のせいではないです。20話の最後、軒から逆さまにのぞいていた人がいます。
「お一人分しか」と「男性なの」
船は三日後。一刻も早く出ようと答えた紗都子は、一つだけお願いがあると切り出します。「一緒に連れていきたい人がいるの」
康太郎がまず気にしたのは、お金でした。「身請け金は紗都子様お一人分しか持ち合わせておらず…」と頭を下げます。
紗都子は「あ ううん 遊女じゃなくて男性なの!」。頬を赤くして続けたのが、「私と結婚したいと言ってくれていて…」でした。
遊女仲間の分の身請け金を数えていた頭が、「男性」「結婚」で止まる。康太郎の「……え?」、計算が途中で落ちた音です。
「結婚しましょう」の嘘から、「言ってくれていて」へ
そもそも紗都子と進平の間の「結婚」は、嘘から始まった言葉でした。
| 話 | 誰が誰に | 結婚をめぐる言葉 |
|---|---|---|
| 1話 | 紗都子から殺し屋に | 「私たち結婚しましょう!」(生き延びるための嘘) |
| 2話 | 進平から紗都子に | 「結婚しよう」 |
| 12話 | 進平と紗都子 | 「つまり 俺とは結婚できないってこと?」に「……はい」 |
| 21話 | 紗都子から康太郎に | 「私と結婚したいと言ってくれていて…」 |
12話の紗都子は、ずっと嘘をついていたと打ち明け、進平とは結婚できないと答えています。21話でも、紗都子が進平と結婚すると言ったわけではありません。
変わったのは、求婚の扱い方です。一度断った相手を、自分と結婚したがってくれる人として、幼なじみに紹介する。「言っていて」ではなく「言ってくれていて」なのを、読者も見逃していません。
しかも康太郎へ伝えた紹介は、命の恩人でも腕の立つ人でもなく、その一言だけ。コメント欄では、このときの紗都子の表情を挙げた声が上位に並んでいます。
紗都子が嘘の求婚をした1話と、進平が「結婚しよう」と返した2話は1巻です。嘘の求婚から21話の「言ってくれていて」まで、どれだけ進んだかを測り直せます。
「後藤と申します」|遊女を連れて「ご挨拶」に来た進平と、酒席の指先
二人の話を遮ったのは、「失礼いたします」という声でした。戸の向こうで手をついていたのは、遊女たちを従えた進平です。
身請けの客を「お大尽様」と迎える、遊女屋の後藤
「小川様 ご挨拶よろしいでしょうか」。続く名乗りは「私 この遊女屋を見させていただいております 後藤と申します」。
楼主から、莫大な身請け金を納めたお大尽様がいると聞いた。「長旅お疲れでしょう」と気づかって、満面の笑みで「精一杯歓迎させてください!」。紗都子は「なっ なな何を…」と固まります。
後藤は進平の名字です。10話で葵は「進平様は この島の全遊女屋の 用心棒です」と話していました。店の者を名乗っても、島ではそう怪しまれない顔ではあります。
| 比べる点 | 20話(山本に) | 21話(康太郎に) |
|---|---|---|
| 紗都子の身請け | 「身請けなんか もってのほか」 | 身請け金を納めた客を「精一杯歓迎させてください!」 |
| 紗都子に近づく男 | 「男を近づけないよう 徹底してほしい」 | 「紗都子 お酌を」と、客の酒の相手をさせる |
| 口ぶり | 「遊女の仕事は させないで」「徹底してほしい」と頼む | 「お気になさらず」「いたしましょうか?」と敬語 |
「もってのほか」と聞かされた山本がこの酒席を見たら、腰を抜かしそうです。
「紗都子さ…」の言い直しと、紗都子の読み違い
康太郎は丁寧に断ります。「私は紗都子さ… 紗都子一人に接待してもらいたいのです」。「紗都子様」と言いかけて、客の口ぶりに言い直したところで、進平の顔がピクリと動きました。
進平は「まぁ そう おっしゃらず!」と、もてなしたい妓も多いからと押し切り、康太郎の肩へ手を伸ばします。康太郎はその手をすっとよけて、「…では お言葉に甘えて」。
酌を命じられた紗都子には、進平の考えが読めません。大ケガの体で出てきたことを心配しつつ、たどり着いた答えが「私が変な 行動を取らないか 見張っているつもり──?」でした。
ところが紗都子が「何を考えているの?」と思うそのコマで、進平の指先には針のようなものが見えます。コメント欄でも、9ページの針に気づいた書き込みがいくつも並びました。
康太郎は「違う酒をご用意 いたしましょうか?」と勧められても、「いえ 結構です」「疲れのせいか 飲む気になれず 申し訳ない」。
紗都子が気にしているのは、自分が見張られていること。その横で進平の指先には針のようなもの、康太郎は酒を断る。紗都子の心配、向いている先が少しずれています。
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「私もそう思います」|一番美しい遊女と、渦を巻いた進平の目
酒席は、紗都子をめぐる探り合いになっていきます。空気を変えたのは、康太郎の「…ええ 私もそう思います」でした。
「風の噂で」「美しい女性に 目がないもので」
進平が舞を勧めると、康太郎は「いえ 彼女は私の横で」。進平は「…随分と紗都子を 気に入られているんですね」と受けて、さらに踏み込みます。
「一度も顔を合わせず 身請けとは 変わったお方だ」「一体どこで 紗都子を知られたのです?」。康太郎の答えは「風の噂で」「美しい女性に 目がないもので」。
19話の最後、いせ吉の玄関に現れた康太郎も「…とびきり美しい 遊女がいると 聞きまして」と言っていました。島に入るための筋書きを、ここまで崩さずに通しています。
紗都子は心の中で「その調子よ 康太郎…!」。客ではないとこの場で知られたら危ない。女性たちを下げてから、進平にも康太郎のことを話さないと。
そこで紗都子は、自分が踊って宴をお開きにする作戦に出ます。舞を申し出て、進平には「そのあと 一度 三人だけで ゆっくりお話しませんか?」。返事は「いいよ」でした。
康太郎には芝居の声援を送り、進平とは後の約束を取りつけ、自分は舞台へ。この酒席、いちばん働いているのは客でも主人役でもなく紗都子。
「この島で一番美しい 遊女」に、康太郎が返した一言
舞の最中、康太郎が尋ねます。「彼女はここで どんな生活を?」
答える進平の手元では、運ばれてきた椀の上で紙包みが傾き、粉が落ちていきます。口から出たのは「客をとっていなくても 掃除や裏方の仕事など とにかく働く真面目な 子でした」。
さらに「その上 この島で一番美しい 遊女だと思っております」。康太郎は微笑んで、「…ええ 私もそう思います」。
次のページ、進平の目は渦を巻いていました。黒目の中に輪が重なり、顔の半分が影に沈む大ゴマです。
紗都子をほめたのは、進平のほうが先です。同じ言葉を返されただけで、あの顔になる。コメント欄にも、この一言で康太郎の気持ちを察したのでは、と読む声がありました。
自分で「一番美しい」と言っておいて、うなずかれたら渦を巻く。進平、反対されるより賛成されるほうが危ない人です。
椀に落とした粉が何なのかは、21話では明かされません。毒か眠り薬か、それとも本当にただの出汁か、コメント欄の推理も割れていました。
ふだんの進平の目の描かれ方は、進平の目と表情をまとめた記事でも追っています。笑顔の敬語と渦の目が、同じ酒席の数ページに収まっているのが21話です。
アニメ公式は、進平のキャラクターPVに「愛が重すぎる殺し屋」という肩書きを添えています。21話の進平は、その重さを敬語と笑顔で包んで客の前に座っていました。
裾を踏まれた舞と二つの手|康太郎の「諦めてくださいますね?」
宴を終わらせるための舞は、途中で崩れます。倒れかけた紗都子を支えた二人は、そのまま紗都子をはさんで向き合いました。
「ぎゅむ」と踏まれた裾と、腕を引く手・背中を支える手
舞いながら、紗都子は席の二人の様子がおかしいと気づきます。扇の陰では遊女たちがささやき合い、一緒に踊る遊女の足元で「ぎゅむ」。紗都子の裾が踏まれました。
よろける紗都子、倒れる行燈。進平と康太郎が同時に手を伸ばし、紗都子は床に倒れずに済みます。
支え方は別々でした。進平は腕をつかんで引き寄せ、康太郎は背中に回って受け止める。引き寄せる手と、倒れないよう受け止める手。読者も「解釈一致」と、この違いに沸いていました。
| 話 | 遊女にされたこと | そのあと |
|---|---|---|
| 4話 | 追いすがったところで手を払われ、往来で尻もち | 進平は遊女たちと連れ立ち、離れて見ている |
| 10話 | 床を拭いていると、早蕨に足を出されて転ぶ | 早蕨は「ああ ごめんね 足が長くてさ」 |
| 21話 | 舞の最中に裾を踏まれ、よろける | 進平と康太郎が同時に支える |
裾を踏んだ遊女には、コメント欄から感謝の声まで届いています。嫌がらせでここまで喜ばれた人、なかなかいません。
「あなたのことですか?」「…ええ 私です」
紗都子を支えたまま、康太郎が切り出します。「…なんでも この島に 紗都子と結婚したがっている 男がいるだとか…」
さっき紗都子が打ち明けた話を、康太郎はそのまま進平にぶつけました。紗都子は「康太郎…!?」と目を見開きます。
「あなたのことですか?」。進平は大きく目を開いて笑い、「…ええ 私です」。康太郎は「聞き捨てならないな」と返し、たたみかけます。
「私はこの遊女屋に 身請け金を納め 正式な手続きを踏んだ」「紗都子は私が 本土へ連れ帰り 妻にします」
最後のページは、康太郎の「諦めてくださいますね?」と、表情の消えた進平の顔。返事のないまま、21話は終わります。
「妻にします」が客を演じるための言葉なのか、本心なのかは、21話では分かりません。コメント欄でも、建前か本音かで読みが分かれていました。
紗都子が進平を連れていくために話した「言ってくれていて」の一件。それが康太郎の口から出ると、進平を退かせるための切り札になっています。
康太郎が「ね?」と念を押した相手は、20話で「死ぬまで」ここに居座ると決めた人。その念押し、通る見込みはかなり薄い。
21話の読者の反応|いいね1位は「進平さん、あなた敬語話せるんですね!?」
マンガワンの21話のコメント欄は2,200件を超えます。いいねの上位には、敬語の進平への驚きと、紗都子の気持ちを読む声が並びました。
| 書き込み | いいね |
|---|---|
| 「進平さん、あなた敬語話せるんですね!?」 | 18,732 |
| 「進平さんそんな丁寧な振る舞いできたの!?」 | 11,078 |
| 「帰れる!って時にすぐに進平の顔が思い浮かぶんだなあ」 | 6,939 |
| 「どっちにも幸せになってほしいけどやっぱり進平さんがいい!!!」 | 4,653 |
| 「紗都子が「結婚したいと言ってくれてる人がいて」の時の表情可愛すぎる!」 | 4,436 |
1位と2位は、先読みが始まって数分のうちの書き込み。「敬語」という言葉を使った書き込みだけでも30件を超えます。
酒席の小道具にも目が集まりました。「針」に触れた書き込みは30件を超え、椀の粉については「頼む、本だしであってくれ。」に2,100件超のいいね。
康太郎の勘の鋭さは、かえって疑問も呼びました。これほど気づくなら、紗都子が攫われた日にも追っ手に気づけたのでは、という書き込みに2,900件超のいいね。
「三角関係」という言葉を使った書き込みも50件近く。進平派と康太郎派の名乗りが、どちらも並んでいます。
20話のいいね1位は「ホラー漫画…?」で、21話は敬語への驚き。進平、二話続けて読者の想定の外側を歩いています。
21話は4巻の2話目です。頭を下げる「後藤」の笑顔も、渦を巻いた目も、紗都子を支える二つの手も、4巻のコマで確かめられます。
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まとめ|21話は、「後藤」として頭を下げた進平に、康太郎が身請けを盾に迫る回
『ホタルの嫁入り』21話「ご挨拶」は、身請けに来た康太郎を、遊女屋の者「後藤」を名乗る進平が敬語でもてなし、最後に康太郎が「諦めてくださいますね?」と迫る回でした。
「三人だけで ゆっくり」話すはずだったのは、舞のあと。紗都子が場を整える前に、男二人のほうが先に話をつけにかかりました。
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