『薬屋のひとりごと』(略称「薬屋」)の子昌(シショウ)は、アニメ第47話「子の一族」で、壬氏(ジンシ)が率いる禁軍に討たれて死亡します。
最後まで笑っていた子昌。なぜ、あんな終わり方を選んだのか。直前に娘の楼蘭(ロウラン)から求められた責任を知ると、勝ち誇った顔とは受け取りにくくなります。
死の瞬間を見届けた壬氏にも、その本心はすぐには届きません。父が言わずに逝ったことを、娘が後から語る。そこが子昌の最期の苦いところです。
※アニメ第2期の第46~48話、原作小説4巻に関する補足と、Web版「宮廷編2」の結末に触れます。
| 人物 | 読み | 子昌の最期との関わり |
|---|---|---|
| 子昌 | シショウ | 子の一族の長。砦で禁軍と対峙する |
| 楼蘭/子翠 | ロウラン/シスイ | 子昌の娘。父に責任を問い、その死後に真意を語る |
| 神美 | シェンメイ | 子昌の妻で、楼蘭の母 |
| 翠苓 | スイレイ | 子昌のもう一人の娘。楼蘭の異母姉 |
| 壬氏 | ジンシ | 禁軍を率い、子昌の最期を見届ける |
| 馬閃 | バセン | 壬氏に従う武官 |
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子昌の最後は死亡|第47話で禁軍に討たれる
子昌の死因は、砦へ攻め入った禁軍の武官たちの刃を受けたことです。自ら使った銃の暴発でも、毒による死でもありません。
最期が描かれるのは第47話「子の一族」。囚われていた猫猫(マオマオ)が保護された後、壬氏たちは一族の長である子昌と向き合います。
- 猫猫の保護後、壬氏たちが砦の内部を進み、子の一族の者たちを制圧する。
- 壬氏たちの前に、飛発を持った子昌が現れる。
- 反逆の罪での拘束を告げられても、子昌は武器を構えて抵抗する。
- 子昌が壬氏に向けて発砲。弾は壬氏の刀に当たり、一族の男の脚へ飛ぶ。
- 禁軍の武官たちに討たれた子昌は、笑いながら息絶える。
「壬氏に討たれた」と大きくまとめることはできますが、軍を率いた人と、直接刃を向けた武官たちは別です。壬氏自身が子昌を斬って仕留める場面ではありません。
子昌は、砦での対峙の最中に命を落とします。余裕を見せて出てきた姿と、そのあっけなさがかみ合わない。まだ何か手があるのでは、と身構えたくなる男なのに。
飛発を持っていた子昌が、最後は刃で討たれる
飛発(フェイファ)は、作中に登場する銃のこと。子昌が手にしていたのは、火種を別に用意する従来型とは異なる、新しい仕組みの飛発です。
古い型なら、火を使う準備が見えないことが隙になります。けれど子昌の武器には、その見方が通じません。手にしている物は同じ飛発でも、相手の知識が古ければ危険は増す。
アニメ第47話では、子昌の発砲に対し、弾が壬氏の刀に当たる展開になります。銃を向けた子昌のほうが、最終的には禁軍の刃で倒れるという順序です。
その死に顔だけなら、最後まで不敵な反逆者です。でも壬氏の側に残るのは、強敵を倒した手応えより、何かを演じられたような違和感でした。
なお、同じ砦で神美が命を落とす原因は飛発の暴発です。子昌と神美は、亡くなる場所が近くても死因が違います。銃が印象に残る結末だからこそ、ここは分けて覚えたいところ。
ねこクラゲさん作画の漫画16巻では、子昌を討つ軍が動き、猫猫のいる砦での決戦へ進みます。
子昌のいる砦へ、討伐の軍が近づいていく。最後の対峙へ至る緊張を、漫画ならコマを止めながら追えます。猫猫の救出と一族の決着が、同じ場所へ向かうところです。
最期の直前、第46話で楼蘭に求められた責任
子昌が禁軍の前へ出る直前には、楼蘭から父として、当主としての責任を問われています。決断を促したのは、守るべき立場にあった娘のほうでした。
第46話「禁軍」では、楼蘭が火薬庫に火を放ち、母の神美のもとへ向かいます。一方で壬氏の率いる禁軍も砦へ近づき、家の内側と外側から、終わりが迫っていました。
Web版「三十八、作戦」では、爆発に気づいた子昌が、妻のいる部屋を通ることさえ苦痛に感じています。部屋へ入った父を待っていたのが、普段とは違う娘の姿でした。
- 火薬庫の爆発が起き、子昌が状況を確かめようと動く。
- 神美のいる部屋へ楼蘭が現れ、母に従うだけだった態度を変える。
- 楼蘭が閉じ込められていた異母姉を助け出し、子昌は娘たちの置かれた現実に向き合う。
- 楼蘭が父に最後の責任を求める。子昌は己のすべきことを果たすため、禁軍との対峙へ向かう。
姉を救う楼蘭の姿を、父は目の前で見る
Web版「三十八、作戦」で痛いのは、楼蘭が姉のいる棚を開け、縛られた手足を解くところ。父が見ようとしなかった苦しみを、妹のほうが知っている。
| 子昌が知っていた姿 | 父の目の前で起きたこと |
|---|---|
| 楼蘭は母に従って衣を替え、言われたように振る舞う | 母に言い返し、姉を助け、父へやるべきことを告げる |
| 上の娘が神美に冷遇されていることは知っている | 縛られて棚に閉じ込められた娘と、その手足を解く妹を目にする |
宮廷で人を煙に巻けても、家にいる娘の苦しみは見ないままでいた。外での権力を知っているほど、「仕方なかった」と受け流すには重すぎます。
楼蘭にとっては、父の事情を理解することと、父に責任を求めることが両立しています。愛した妻を取り戻すまでに苦労があったとしても、その後に傷ついた娘たちの時間は消えません。
父へ「最後くらい」と言って、母のほうは自分が引き受ける。そこまで、娘が分担を決めなければいけないのか。
羅漢との対立の決着だけでは、子昌の死を説明できない
子昌を討つ軍の動きには、猫猫の父・羅漢(ラカン)も関わっています。ただし、砦の中で子昌の背を押したのは、敵側の軍師ではなく、子昌自身の娘でした。
羅漢と子昌の対立、禁軍が動くまでの経緯をたどると、宮廷での探り合いから砦へ至る流れもつながります。子昌の家の事情とは、別の側から迫ってきた終わりです。
宰相としての人物像と「西の狸」の呼び名は、宮廷での子昌に結びついています。その呼び名で周囲を身構えさせる男が、家では娘に決断を促されている。
娘に責任を求められた父が、その後どんな顔で敵の前へ出るのか。小説4巻では、猫猫の誘拐から砦の決着までを、場面のつながりごと追いたくなります。
子昌はなぜ笑って死んだ?壬氏が感じた芝居のような違和感
最後の笑みは、反乱に勝った喜びではなく、反逆者という敵役を演じた最期につながります。壬氏がその意味へたどり着くのは、子昌の死後、楼蘭の話を聞いてからです。
Web版「四十一、飛発」では、子昌は武器を投げ捨てた後、壬氏へ一瞬だけ顔を緩めます。何を言いたいのか。壬氏が問いただす前に、馬閃の命令が下ります。
| 場面 | 壬氏が受け止めたこと |
|---|---|
| 子昌との対峙 | 言葉や態度が、用意された台詞を口にしているように感じられる |
| 笑いながらの死 | 何を考えて逝ったのかが分からず、芝居を見たような違和感が残る |
| その後の楼蘭との会話 | 父の過去と敵役の話がつながり、笑みの意味を理解する |
あの一瞬に、聞けることがあったのでは。そう思っても、もう本人はいません。分からないまま死を見届け、娘の言葉で後から追いつく。壬氏と一緒に、答えを待たされます。
TOHO animationの公式切り抜きでは、子昌の言葉に、壬氏が台詞を読んでいるような違和感を覚えます。何を言ったかと同時に、聞いている壬氏の反応も気になる場面です。
「狸」の巧さだけでなく、決められなかった弱さも残る
反乱と討伐によって、一族にたまった不正にも決着をつける。子昌は、そのために討たれる敵を演じます。ただし、迷いのない計画を最初から進めてきた人、とは違います。
第46話の放送時、日向夏さんは子昌を「本当の意味でタヌキ」と表現していました。腹黒い切れ者というだけなら、「本当の意味」とは何だろう。
日向夏さんの「薬屋四巻まで補足」で結びつくのは、狸の臆病さと子昌の弱さです。演技やはったりで宮中を渡り、神美のためという建前と国を守りたい本音の間で迷っていました。
作者が挙げた敗因は、優柔不断。神美への後ろめたさから、翠苓母子に目を向けなかったことも補足されています。国への忠義があっても、娘を救う手は遅かった。
Web版では、壬氏は楼蘭へ、証拠や成功の確証も問い返します。娘の話を聞いた場面にも、すべてがうまく運ぶ保証はありません。最期の笑みを「すべて計算どおり」と読むには危うい。
父の笑いの後に、娘は母の涙を求める
Web版「四十二、悪役」では、楼蘭が父の最期を壬氏に尋ねる場面があります。父は笑って逝ったと聞いた娘が、その後に母へ求めるのは、父の死を悼む涙でした。
母に頼んだのは、涙の一つ。国を揺るがす反乱の話から、夫を失った妻の話へ戻った途端、笑って逝った父の最期が寂しくなります。
父には責任を求め、母には父のために泣いてほしいと願う。楼蘭は問い詰めるだけで終わらず、父が妻を待ち続けたことまで語ります。死んだ後の父を、今度は娘がかばっているようで。
だから、子昌を見直すことと、娘たちの傷を軽くすることは別です。最期の覚悟には立ち止まりたい。それでも、もっと前に動けていたら、という思いまでは消せません。
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子昌の最期を原作で読むなら小説4巻|Web版との違い
書籍の原作小説で子昌の最期を追うなら、ヒーロー文庫版4巻です。Web版では「宮廷編2」の終盤に当たり、章題で追うと、父の決断と壬氏の理解を順番に読めます。
小説4巻は猫猫の拉致から、宮廷にたまっていた問題が国を揺るがす事態へ進む巻です。原作者の四巻までの補足でも、アニメ第48話までが小説4巻までの区切りと説明されています。
| 媒体 | 子昌の最期を追う場所 | 読むときの目印 |
|---|---|---|
| アニメ | 第46話「禁軍」~第47話「子の一族」 | 46話で娘から責任を求められ、47話で死亡する |
| 原作小説・ヒーロー文庫 | 4巻 | 猫猫の誘拐から砦の事件へ進む、一続きの経緯で読む |
| 小説家になろう・Web版 | 宮廷編2「三十八、作戦」「四十一、飛発」「四十二、悪役」 | 子昌側の決断、死の瞬間、楼蘭の説明を分けてたどる |
Web版は「作戦」から「飛発」「悪役」へ
Web版でまず戻りたいのは、子昌が娘の前に立つ「三十八、作戦」です。公の場での呼び名と、妻のいる部屋へ向かう足取りの差が、子昌自身の側から語られます。
- 「三十八、作戦」:楼蘭が父に責任を求め、子昌が拳を握る。
- 「四十、救出」:禁軍が砦へ入り、猫猫の救出が進む。
- 「四十一、飛発」:壬氏たちが子昌と対峙し、その死を見届ける。
- 「四十二、悪役」:楼蘭の話を受け、壬氏が子昌の最期を理解する。
「飛発」の直前は、猫猫を捜して砦へ入る「救出」です。猫猫が助かっても、壬氏の戦いはまだ終わらない。その先で待っているのが、勝った手応えのない子昌との対峙です。
「作戦」後半は子昌の内側、「飛発」は壬氏から見た姿。父と対面した壬氏より、読者のほうが知っていることもある。その差を抱えて「悪役」へ進むと、楼蘭の説明が効いてきます。
弾の行方と「子翠」の呼び方は、媒体を混ぜない
アニメの記憶を持ってWeb版を開くと、とくにつまずきやすいのが壬氏の動きと、姉妹の呼び名です。結末の大筋が近くても、細部まで同じではありません。
| 比べる点 | アニメ第47話 | Web版「宮廷編2」終盤 |
|---|---|---|
| 子昌の発砲への対処 | 弾が壬氏の刀に当たる | 壬氏が馬閃と臣下を引き、身を伏せる。弾は壁で跳ねる |
| 翠苓の表記 | 翠苓として登場する | 「作戦」「悪役」では、楼蘭の異母姉が子翠と呼ばれる |
| 子昌を討つ側 | 壬氏の率いる禁軍の武官たち | 馬閃が命令を下し、武官たちの剣で討たれる |
「楼蘭の隣にいる子翠って、誰?」と戸惑うところです。この場面の子翠は姉を指します。猫猫と友達だった妹の呼び名と重ねると、会話の相手が入れ替わってしまう。
アニメでは楼蘭=子翠、姉=翠苓。Web版のこの場面では、その姉が子翠と呼ばれます。名前の経緯は、子翠と翠苓の関係・奪われた名前へつながる話です。
父が亡くなったことと、娘たちが同じ結末を迎えるかどうかも、分けておきたいところ。楼蘭の最後とその後、翠苓の事件後の処遇は、それぞれ別の道をたどります。
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まとめ|子昌は敵役を演じて死亡し、真意は楼蘭の言葉で届く
子昌は第47話「子の一族」で、壬氏が率いる禁軍に討たれて死亡します。その笑いの意味は、死後に楼蘭が語る父の事情と、敵役を演じたことへつながっています。
子昌本人からは、もう答えを聞けません。だからこそ、壬氏に向けた笑みだけで終わらず、死後に楼蘭が何を話したかまで残る最期でした。
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