『薬屋のひとりごと』の里樹妃(リーシュヒ)が食べられないのは、魚介です。原作Web版では、猫猫(マオマオ)が「鯖とあわびですか」と確かめ、里樹妃がこくりとうなずきます。
アニメ第6話「園遊会」で問題になったのは、帝の好物のなます。本来は里樹妃の前に出ないはずの、サバ入りのなますでした。食べたあとの腕には、赤い発疹が出ています。
しかも、その皿を運ばせたのは身内です。毒見役の侍女が膳を入れ替え、青い顔で食べる主の後ろで笑っていました。
主の食事を守るのが毒見役なのに、その毒見役が主へ食べられない皿を回している。仕事の向き、真逆です。
※アニメ第1期第11話までの展開と、原作Web版の後半の場面に触れます。
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里樹妃のアレルギー食材は鯖とあわび|アニメではサバ入りのなます
里樹妃は魚介を受け付けない体質です。原作Web版では鯖とあわび、アニメではサバが、食べられないものとして挙がります。
媒体によって、名前が出る食材の数が少し違います。どちらも園遊会の宴席で、玉葉妃(ギョクヨウヒ)用の料理を食べたことが原因です。
| 媒体 | 食べられないもの | 気づいた手掛かり | 出た症状 |
|---|---|---|---|
| 原作Web版 | 鯖とあわび | 一品目も二品目も、いつもと具が違った | 左腕の赤い発疹 |
| アニメ第6話 | サバ | なますが、いつもの青魚ではなくクラゲだった | 腕の発疹。猫猫は蕁麻疹と説明 |
アニメの猫猫は、自分の前に来たなますを口にして「今日はクラゲか」と引っかかります。帝の好物の作り方を、尚食が間違えるはずがない。間違っているのは料理ではなく、皿の行き先です。
原作Web版「22 祭りの後」では、猫猫が里樹妃の袖をめくって発疹を見つけます。食べられないものが魚介の中にあると見抜き、鯖とあわびまで言い当てました。
里樹妃は、ずっとうつむいたまま。やがて「なんでそれがわかったの?」と、恐る恐る口を開きます。言い当てられた驚きの方が勝っているのが、なんとも幼い。
Web版の猫猫は「アレルギー」という言葉を使わず、「食べられないもの」と呼びます。Web版の登場人物紹介では、里樹妃は「魚介アレルギー持ち」と整理されています。
現実の食品表示でも、さばとあわびはどちらも注意が呼びかけられている食材です。鯖とあわびという組み合わせ、作り話の小道具で終わらないのが妙に生々しい。
消費者庁の食物アレルギー表示では、さばとあわびが「特定原材料に準ずるもの」に入っています。じんましんは、そこで挙げられている軽い症状の一つです。
公式ミニアニメ「猫猫のひとりごと」第6話の副題は、そのまま“食べられないもの”。毒見役が主役の回に合わせて、選んだ言葉が「毒」ではないのが面白いところです。
「これ、毒です」で湧いた回の主役は、毒だけではありません。誰かには毒ではない料理が、ある一人にだけ害になる。その怖さが、里樹妃の皿に乗っていました。
園遊会で何が起きた?膳の入れ替えから発疹が出るまで
里樹妃の膳は、玉葉妃の膳と入れ替えられていました。里樹妃は玉葉妃用の魚介入りの料理を食べ、毒の入った汁物は猫猫の毒見する側へ回ります。
- 膳の入れ替え:里樹妃の毒見役の侍女が、玉葉妃の膳と里樹妃の膳を取り換える
- なますの違和感:玉葉妃の毒見をする猫猫が、いつもと具の違う前菜に気づく
- 我慢して食べる:帝の好物で残せない料理を、里樹妃が青白い顔で口へ運ぶ
- 「これ、毒です」:猫猫が汁物から毒を見つけ、宴席がどよめいて終わる
- 宴の後:猫猫が里樹妃を呼び、腕の発疹を確かめて、同席した毒見役へ危険を伝える
三つ目がいちばんつらい。帝の好物と言われる一皿を、上級妃が残せば目立ちます。猫猫の見立てでは、里樹妃は体に合わないと分かりながら食べていました。
その後ろで、毒見役の侍女は目をつぶり、唇を震わせながら笑っています。Web版の猫猫は、その顔を見て「嫌なものを見た」と視線を戻しました。
主が食べられない皿を、毒見役が笑って見ている。
ところが、この嫌がらせには妙な結果がついてきます。毒は里樹妃の膳に入っていて、入れ替えのせいで猫猫の前へ来ていた。
後日、Web版「24 麒麟」で器を調べた猫猫は、入れ替えがなければどうなったかを考えます。効き目の遅い毒なので、毒見が無事なのを見た里樹妃が口にしていたかもしれません。
猫猫はそれを「結果として命拾い」と言っています。食べられない皿を押しつけた侍女の悪意が、たまたま主の命を拾ったわけです。
結果だけ見れば、嫌がらせした侍女が命の恩人。……いや、それは絶対に認めたくない。
四夫人の顔ぶれや毒見の場面まで含めた第6話全体は、アニメ6話「園遊会」の解説で追えます。席に着く前から侍女同士がにらみ合っていた回でもあります。
漫画で園遊会を読み返すなら、なますが届く前後のコマです。玉葉妃の皿の具と、里樹妃の顔色。毒の一口より先に、もう一つの異変が並んでいるのが分かります。
猫猫が「毒を盛ったのと同じ」と侍女を戒めた理由
猫猫が怒ったのは、食べられない料理を好き嫌いとして扱ったことです。知っていて与えたなら毒を盛ったのと同じだと、里樹妃と侍女の両方へ聞こえるように告げます。
Web版で猫猫が挙げた危険は、発疹だけではありません。今回は蕁麻疹で済んだが、時に呼吸困難や心不全まで起こす。好き嫌い以前の問題だ、と言い切ります。
| 見方 | 侍女たちの扱い | 猫猫の説明 |
|---|---|---|
| 食べない理由 | わがままな好き嫌い | 体が受け付けない |
| 食べさせた結果 | 主が困る顔を見られる | 蕁麻疹、重ければ呼吸困難 |
| 行為の重さ | 軽い嫌がらせ | 知っていて与えれば毒と同じ |
しかも猫猫は、言いっぱなしにしません。宴の後の動きを並べると、侍女への手の回し方がやけに細かいんです。
- お付を一人に絞る:里樹妃の供のうち、膳を入れ替えた毒見役だけを部屋に残させる
- 名指ししない忠告:「どちらにというわけでもなく」、忘れないようにと念を押す
- 対処法を書いて渡す:危険の中身と、もしもの時の手当てを侍女へ書き残す
- 壬氏(ジンシ)にはとぼける:なぜ毒見の侍女を同席させたのかと聞かれても、答えない
侍女は青白い顔で、小刻みに首を振るばかり。その横で猫猫は心の中で「脅しはこんなもんか」。手当ての書付と脅しを、同じ相手に一度に渡しています。
壬氏にまで黙っていたのには理由があります。侍女の行いを上へ告げれば、命まで取られかねないと分かっていたからです。
Web版「麒麟」で高順(ガオシュン)に理由を聞かれると、妃に比べたら侍女の命は軽い、と答えます。毒見役ならなおさら。里樹妃を守ったその口で、加害者の首まで守っている。
この毒見役が、のちに里樹妃の侍女頭となる河南(カナン)です。叱られて終わりではなく、そばで主を気遣う側へ変わっていく流れは、里樹妃がかわいそうと言われる理由と河南の変化で詳しく追えます。
ちなみに説明の途中、猫猫は「かくいう、私も蕎麦が食べられません」と自分の弱点まで明かします。毒は平気で口にする人の天敵が蕎麦。壬氏と高順が目を丸くするのも無理はありません。
毒には体を慣らしたのに、蕎麦には勝てなかった。この人に「食べられないもの」を説かれたら、説得力しかない。
慣らそうとして呼吸困難になり、あきらめた猫猫の体質は猫猫の蕎麦アレルギーと倒れる回へ。Web版には、その蕎麦でわざと倒れる回まであります。
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蜂蜜が苦手なのはアレルギーとは別|幼い頃の体験と園遊会の毒
里樹妃は蜂蜜も苦手です。ただし魚介とは理由が別で、昔、蜂蜜で体を壊した体験が元になっています。
きっかけは、アニメ第10話「蜂蜜」でも描かれる玉葉妃と里樹妃のお茶会です。原作Web版では、寒い日に玉葉妃が柑橘の皮を蜂蜜で煮たものを用意します。
- 玉葉妃の問い:甘いものは嫌いじゃないかと聞かれ、里樹妃は「甘いものは好きです」と答える
- 蜂蜜が注がれる:茶碗に注がれる蜂蜜を見て、里樹妃の顔色が変わる
- 侍女たちは黙る:好き嫌いはやめろと言いたげな顔で、主をかばわない
- 生姜湯へ:猫猫の耳打ちを受け、玉葉妃が飲み物を替える
「好きです」と言った直後に蜂蜜。答えたそばから顔に出てしまうので、隠しようがありません。毒見役だけは、何か言いたげに茶碗を見ていました。
玉葉妃の替え方もうまい。「もう少し漬け込んだほうがいいみたい」と、料理の出来のせいにする。里樹妃の顔を立てたまま、さらっと引っ込めるんですよ。
後日、Web版「31 蜂蜜その参」で猫猫は「昔、はちみつでお腹を壊したことはありませんか」と尋ねます。里樹妃は頬を膨らませて、無言で肯定しました。
Web版の猫猫は、食中毒になると、その食べ物を受け付けなくなるのは珍しくないと話します。体質の魚介と、怖い体験から避ける蜂蜜。同じ「食べられない」でも、中身がまるで違います。
| 食べ物 | 里樹妃にとって | 危険の範囲 |
|---|---|---|
| 鯖・あわび | 体が受け付けない魚介 | 里樹妃の体質によるもの |
| 蜂蜜 | 昔、体を壊した苦い記憶 | 赤子には毒になり得る |
| 園遊会の汁物 | 本来は自分の膳にあった毒 | 口にした人なら誰でも |
アニメでは、里樹妃が赤子の頃に蜂蜜で命が危うくなった過去として語られます。Web版の「お腹を壊した」より、ずっと重い体験です。
そして、この過去が園遊会の毒へつながります。里樹妃は以前、阿多妃(アードゥオヒ)の侍女頭・風明(フォンミン)に、蜂蜜の危うさを話していました。
風明は、滋養のためと阿多妃の幼い皇子に蜂蜜を与えていました。皇子の死の原因を知られるのを恐れ、蜂蜜の話を知る里樹妃を消そうとしたのです。
魚介の皿で困らせたのは自分の侍女、命を狙ったのは別の宮の侍女頭。どちらも入口は食卓です。毒見役そのものが敵では、毒見が済んでも安心できません。
表向き、園遊会の毒は玉葉妃が狙われた事件として扱われていました。真犯人までの流れは玉葉妃黒幕説と毒の事件の真相でたどれます。
現実でも、厚生労働省は1歳未満の赤ちゃんにハチミツを与えないよう呼びかけています。乳児ボツリヌス症の危険があり、普通の加熱では防げません。
大人には滋養のある蜂蜜が、赤子には害になる。風明の事件が後味の悪いまま残るのは、悪意ではなく善意から始まっているからです。
ミニアニメ「猫猫のひとりごと」第10話の副題は“鳥兜の花と蜜”。蜂蜜が鍵になる回に合わせて、花の蜜まで話題にするのが徹底しています。
小説なら、園遊会の皿から蜂蜜の茶会、風明との対面までが第1巻で一続きに読めます。里樹妃が顔色を変えた二つの場面を、あとから並べて読み返すと怖さが増します。
里樹妃の父親も魚が苦手?Web版で体質が親子の手掛かりになる
原作Web版には、里樹妃の体質が父・卯柳(ウリュウ)との親子のつながりを示す場面があります。卯柳もまた、魚料理を前に顔色を変える人でした。
舞台は、園遊会から時がたったWeb版の宮廷編。猫猫は義兄の羅半(ラハン)に頼み、羅漢(ラカン)の副官・陸孫(リクソン)も同席する会食へ卯柳を招きます。
- 少し前の出来事:卯柳に魚料理をすすめた給仕が罰せられている
- 会食の本題:羅半が新しい商いの話を持ちかけ、卯柳の機嫌が上向く
- 料理の出し直し:猫猫の指示で、運ばれてくる料理がすべて魚になる
- 園遊会の話:猫猫が、里樹妃は魚のなますで全身に蕁麻疹が出たと切り出す
- 卯柳の変化:卯柳の目つきが変わり、そのあと会食の間ずっと考え込む
猫猫の考えは、こうです。宮廷料理で傷んだ魚は出ないし、食あたりなら他の妃や毒見役も倒れている。だから里樹妃の体質で、そういう体質は親から引き継ぐことが多い。
Web版「二十七、父と娘」という題のとおり、魚の皿が父と娘を結ぶ手掛かりになります。園遊会で里樹妃を苦しめた体質が、ここでは父娘のつながりを探る材料に変わります。
背景には、里樹妃の出生をめぐる実証のない噂があります。猫猫は、卯柳が娘を自分の子でないと信じ、命まで狙わせたのではと疑っていました。
魚料理は、その噂を覆す決定的な証拠ではありません。卯柳自身に、娘との共通点を突きつける材料です。噂の中身や母の話は、里樹妃の父・卯柳と家系図から読めます。
父親の顔色をうかがう緊迫の会食で、猫猫だけ魚料理を食べていいかちらちら見ている。肉料理が来るまで待たされるの、ちょっと気の毒です。
さらに先のWeb版では、猫猫が里樹妃の祖父に後宮時代の話をします。食べられない物に取り換えられたこと、茶会で飲めない物を飲まされそうになったこと。
その話を横で聞いている馬閃(バセン)は、歯ぎしりして目が血走っています。園遊会では侍女の誰もかばわなかった皿の話に、ようやく本気で怒る人が出てきました。
馬閃、話を聞いただけでこの怒りよう。二人のその後は馬閃と里樹の関係と結婚へ。
アニメ・原作のどこで描かれる?話数と媒体ごとの違い
里樹妃の魚介アレルギーはアニメ第6話、蜂蜜の過去は第10・11話で描かれます。原作Web版とは、食材の名前と蜂蜜の体験の重さが少し違います。
| 場面 | アニメ第1期 | 原作Web版 |
|---|---|---|
| 園遊会の膳と発疹 | 第6話「園遊会」 | 「園遊会その参」「祭りの後」 |
| 器の調査と侍女のいじめ | 第7話「里帰り」 | 「麒麟」 |
| 蜂蜜の茶会と柘榴宮 | 第10話「蜂蜜」 | 「蜂蜜その壱」「蜂蜜その弐」 |
| 風明の真相 | 第11話「二つを一つに」 | 「蜂蜜その参」「蜂蜜その四」 |
アニメで見返すなら第6話と第7話を続けて。第7話では、猫猫が毒の入った器を調べるうちに、里樹妃へのいじめに気づきます。皿の入れ替えが偶然ではなかったと分かる流れです。
媒体の違いで、特に覚えておきたいのは次の三つです。
- 食材:Web版は鯖とあわび、アニメはサバ入りのなます
- 蜂蜜:Web版は昔お腹を壊した体験、アニメは赤子の頃に命が危うくなった過去
- 父・卯柳の魚料理:Web版の宮廷編で、猫猫が会食に仕掛ける場面
アニメの蜂蜜の過去が重くなったことで、風明の動機もつながりやすくなっています。赤子に蜂蜜が害になる話を、里樹妃は自分の体で知っていたことになるからです。
漫画は2種類あり、同じ巻数でも収録範囲が違います。園遊会を探す前に、二つの漫画の違いと選び方を見ておくと迷いません。
第6話と第7話を続けて見返すなら、アニメの配信先と放送日から探せます。
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まとめ|里樹妃のアレルギーは鯖とあわび、蜂蜜は別の理由で苦手
里樹妃が食べられないのは魚介で、Web版では鯖とあわび、アニメではサバです。園遊会で侍女に膳を入れ替えられ、腕に発疹が出ました。
同じ「食べられない」でも、魚介は体が受け付けないもので、蜂蜜は怖い記憶から遠ざけるもの。里樹妃の前に出た皿は、どれも理由が違いました。
そして、周りがそれを好き嫌いで片づけたことが、いちばんの危険でした。猫猫だけが、皿の中身と里樹妃の体を結びつけて見ていたんです。
嫌がらせの一皿に命を救われ、話した蜂蜜の記憶で命を狙われる。里樹妃、食卓に座るたびに何か起きすぎです。
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