『ダンダダン』原作漫画の16話「アクさら」は、息をしない愛羅(アイラ)を救うため、アクロバティックさらさら(アクさら)が自分のオーラを差し出す回です。
後半は、アクさらが人間だった頃の過去編。アニメ第2期の第16話とは別の、2021年に少年ジャンプ+で公開された原作16話の話です。
いちばん効いてくるのは、13話から怖がらせてきた赤いワンピースと、14話で3人を食べた口。16話を読むと、どちらにも別の重さが乗ってきます。
15話は頭突きで笑って、片玉で笑って、愛羅の死で凍った。16話は、その全部を倒された側から見せてきます。
※原作漫画第16話までのネタバレを含みます。第17話以降の展開には触れません。
この記事でわかること
| 人物 | 15話までの状況 | 16話での関わり |
|---|---|---|
| 白鳥愛羅 | アクさらに食べられ、戦いの後に死んでいたと分かった | 息が戻らず、二人の蘇生とアクさらのオーラに命がかかる |
| モモ(綾瀬桃) | 作戦を立て、超能力でアクさらの足を押さえた | 超能力で心臓をマッサージし、アクさらのオーラを愛羅へ移す |
| オカルン | 頭突きでアクさらを壁にめり込ませた | 愛羅に人工呼吸をし、アクさらの申し出を警戒する |
| ターボババア | 招き猫の姿で、愛羅の死を告げた | 招き猫の姿のまま、二人の蘇生に立ち会う |
| アクロバティックさらさら | 愛羅に「お母さん」と呼ぶよう迫り、3人を食べた | 起き上がり、自分のオーラを愛羅に渡すと言い出す |
『ダンダダン』16話のあらすじ|愛羅の蘇生から、アクさらの過去の最期まで
16話は、死んでいた愛羅を前にした蘇生の場面から始まり、アクさらが人間だった頃の最期で終わります。前半と後半で、まるで別の話のように温度が変わります。
- 息をしていない愛羅に、モモが超能力で心臓マッサージ、オカルンが人工呼吸をする
- それでも息は戻らない。そこへ、倒したはずのアクさらが起き上がる
- アクさらは、自分のオーラを愛羅に渡せば助かると言い出す
- 疑うモモの前で、アクさらは自分の口を引きちぎり、もう食べないと示す
- モモが超能力でアクさらのオーラを愛羅へ移し始め、アクさらの記憶を見る
- 一人で娘を育てていた女性が、借金取りに娘を連れ去られる
- 女性は屋上で踊り、身を投げる
15話のラストは、片方だけ戻った金の玉に騒ぐ間もなく、ターボババアが愛羅の死を告げる場面でした。頭突きの決着までは15話のネタバレ感想・考察で振り返れます。
第16話「アクさら」は、2021年7月20日に少年ジャンプ+で公開されました。単行本では、15話と同じ3巻に入っています。
龍幸伸先生も公開当日の火曜日に、Xで16話の更新を知らせています。「読んでいただけたら嬉しいです」という控えめな告知の先に、この過去編が待っていました。
アニメでは、2024年11月放送の第1期第7話「優しい世界へ」にあたります。15話の頭突きから16話の過去編までが、同じ第7話に入っています。
息をしない愛羅と二人の蘇生|超能力の手で心臓を、オカルンは人工呼吸
愛羅の死を告げられても、モモとオカルンは手を止めません。モモは超能力の手を体の中へ伸ばし、直接心臓をマッサージ。オカルンは人工呼吸を受け持ちます。
| 比べる点 | 15話 | 16話 |
|---|---|---|
| モモの超能力の手 | アクさらの足を押さえて、動きを止める | 愛羅の体の中へ伸ばし、心臓を動かそうとする |
| オカルンの役目 | 喧嘩を知らないまま、頭突きで決める | 迷わず人工呼吸をする |
| 愛羅との距離 | 抱えたまま、建物の中を逃げ回る | 二人がかりで、命をつなごうとする相手 |
15話でアクさらの足をつかんだ手が、16話では心臓をつかむ。同じ超能力が、止めるためでなく動かすために使われています。
オカルンの人工呼吸には、照れずに迷わずやれるのがかっこいいという声や、恋愛の気配を匂わせない真面目さがいいという声がコメント欄に並びました。
ただ、二人がかりでも息は戻りません。ここで手を挙げたのが、さっきまで戦っていたアクさらでした。
15話のコメント欄で最も支持された予想は、「金玉を犠牲に蘇生するのか」で3万件超。16話で命を差し出したのは、玉ではなくアクさら。
16話のコメント欄には、前回「金玉で蘇生」と言った人へ一緒に土下座しようと呼びかける声まで。予想した側が、いちばん気まずい回。
自分の口を裂いたアクさら|14話で3人を食べた口が、信用の証になる
アクさらが自分の口を引きちぎったのは、愛羅をもう食べないと信じてもらうためでした。オーラを渡すという申し出を、モモが疑ったからです。
相手は、ついさっきまで愛羅を丸ごと食べていた怪異です。その口で助けたいと言われても、頷けるはずがありません。
| 比べる点 | 14話 | 16話 |
|---|---|---|
| アクさらの口 | オカルン、愛羅、モモを次々に食べる | 自分で引きちぎり、もう食べないと示す |
| 愛羅へ求めたこと | もう一度「お母さん」と呼ぶこと | 何も求めず、自分のオーラを渡す |
| モモとの関係 | 両手を縛られたモモを、髪で捕まえて食べる | モモの超能力に、自分のオーラを愛羅へ移してもらう |
14話のアクさらは、「お母さん」と呼ばなかった愛羅を食べました。呼んでもらうことにあれほどこだわった口を、16話では見返りなしで自分から壊しています。
3人がどんな順で食べられたかは、14話のネタバレ感想・考察から。あの理不尽な食べ方を覚えていると、16話の口の扱いが余計に刺さります。
モモは、疑いを残したままオーラを移す役を引き受けます。信じたというより、ほかに愛羅を助ける手が見当たらない。
信じてほしい時に差し出したのは、言葉じゃなくて口そのもの。食べた口で、もう食べないことを証明してる。
台詞の少ない過去編|娘に買ったワンピースと、車に追いつけなかった足
オーラを移し始めたモモに、アクさらの記憶が流れ込みます。そこにいたのは、一人で娘を育てる母親でした。過去の場面は、台詞をほとんど使わずに進みます。
- 清掃やコンビニの仕事に、夜の仕事も重ねて働き、家では娘と過ごす
- 娘に踊りを教え、稼いだお金でワンピースを買ってあげる
- 借金取りの男たちが家に押しかけ、母親に暴力を振るい、娘を車で連れ去る
- 傷だらけで車を追いかけるが、追いつけない
- 屋上で一人踊り、娘の「いつもありがとう」を思い出しながら身を投げる
娘が連れ去られたのは、買ってもらったワンピースを着ていた日。コメント欄には、そのワンピースを娘も、怪異になった彼女も着ていると気づいた声が並びました。
13話の最終ページから、愛羅の前に現れたのは「赤いワンピースの女」でした。怖がらせる衣装だと思っていた服が、娘との最後の日につながっていた。
| 怪異としての姿 | 13〜15話での見え方 | 16話の過去と並べると |
|---|---|---|
| ワンピース | 赤いワンピースの大女という、不気味な見た目 | 娘に買ってあげた服と同じように見える |
| 速さ | ターボババアの力を持つオカルンさえ捕まえる | 娘を乗せた車を、走って追いかけていた |
| アクロバット | 身軽に跳ね回る、名前どおりの動き | 娘に教え、最期に屋上で踊った踊り |
| 「お母さん」 | 愛羅にそう呼べと迫る、異常な執着 | 娘を連れ去られた母親の、取り戻したい呼び名 |
なぜアクロバットなのか、なぜ速いのか、なぜ子どもに執着するのか。掲載直後のコメント欄で2万件を超える支持を集めたのは、それが全部伏線だったのかと驚く声でした。
14話でオカルンを置き去りにした足は、人間だった頃、娘を乗せた車には届かなかった。怪異になって手に入れた速さが、ずっと一歩遅い。
アニメ第7話のこの過去の場面は、MBS animation公式チャンネルのショートで切り出されています。題は「アクロバティックさらさらの過去」です。
アニメでアクさらを演じたのは井上喜久子さん。井上喜久子さんの経歴やほかの役は、アクロバティックさらさら役の声優を紹介した記事からどうぞ。
コメント欄の16話|「普通にええ人やん」と、部屋の細部への気づき
16話の応援コメントは4,300件超。最も支持されたのは、こんな過去を見せられたら悲しくなる、普通にいい人じゃないか、という掲載直後の声で、5万9,000件を超えます。
| 場面 | 読者の受け止め |
|---|---|
| 過去編全体 | 敵の過去でここまで泣かされるとは、という声が上位に並ぶ |
| 台詞の少ない構成 | 台詞がないぶん、最後の「いつもありがとう」が強く残るという声 |
| 車を追う場面 | コマを飛び越えて走る絵から、必死さが痛いほど伝わるという声 |
| 屋上の踊り | 踊る姿が美しいぶん、そのまま悲しさが伝わってくるという声 |
| 連れ去られた娘 | あの子は無事なのか、どうなったのかを案じる声 |
細部を拾う読者も。食卓のトイレットペーパーには「ティッシュは高いから」、紙のお雛様には「二人で作ったんだな」。台詞で説明しないぶん、暮らしは物が語っていました。
自分にも娘がいる、隣で眠る子どもを見ながら読んだ。親の書き込みがこれだけ並ぶのも、16話ならではです。
連れ去られた娘がどうなったのか、16話の中では描かれません。娘の無事を願う声に1万件近い支持が集まったのも、読者がそこを置いていけなかったからでしょう。
ターボババアもアクさらも、人間の怨念から生まれた怪異で、どちらもその力で女の子に優しさを向けている。そう読んだ読者もいました。
8話では星子が、ババアは命を奪われた少女たちを慰めていたのかもしれない、と語っていました。トンネルの話は8話のネタバレ感想・考察で追えます。
16話は単行本3巻に入っています。15話の頭突きから続けて読むと、笑っていた戦いの直後に、同じ怪異の人生を見せられる落差がそのまま味わえます。
まとめ|16話は、怖かった怪異の理由が一つずつ見えてくる回
『ダンダダン』16話「アクさら」は、愛羅を救うためにアクさらが自分の口を裂いてオーラを差し出し、その記憶から、娘を奪われた母親の過去が明かされる回でした。
14話で「長くね」とツッコまれた名前が、15話で縮んで、16話の題になった。呼びやすくなった頃には、もう笑って呼べない名前です。
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