『ダンダダン』アニメ第1話「それって恋のはじまりじゃんよ」は、原作漫画の第1話をまるごと映像にした回です。
幽霊派のモモと宇宙人派のオカルンが賭けをして、その夜のうちに両方とも本物に出くわします。
モモは病院廃墟でセルポ星人にさらわれ、オカルンはトンネルでターボババアに呪われる。最後はモモの超能力が目覚め、オカルンの本名が「高倉健」だと分かって終わります。
アニメで一番効いているのは、原作にない一発の蹴りです。冒頭で元カレに防がれたモモの蹴りが、覚醒した瞬間にセルポ星人へ決まり直します。
この蹴りは、監督の山代風我さんが自分で足したもの。ほかにも雑誌の名前やラストの爆発まで、原作から細かく手が入っています。
失恋の八つ当たりに見えた冒頭の一発が、同じ回のうちにちゃんと回収される。初回からそこまで仕込むのか。
※この記事はアニメ第1話と、原作漫画第1話までのネタバレを含みます。
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『ダンダダン』アニメ第1話のあらすじ(ネタバレ)|賭けの夜に、幽霊も宇宙人も本物だった
第1話は、モモが最低な彼氏と別れる放課後から、二人で病院を脱出する夜明け前までの一晩の話です。どちらが正しかったかといえば、両方でした。
- 失恋:高倉健に顔が似ているから付き合った彼氏が、とんでもないクズだった。モモは盛大に振る
- 出会い:教室でいじめられていたオカルトマニアの同級生を、モモがかばう。呼び名はまだ「オカルト君」
- 賭け:幽霊は信じるが宇宙人は信じないモモと、その逆のオカルンが口論。負けたほうがパシリになる勝負へ
- それぞれの肝試し:モモはUFOスポットの病院廃墟へ、オカルンは心霊スポットのトンネルへ。電話はつないだまま
- 遭遇:オカルンはターボババアに追われて取り憑かれ、モモはセルポ星人に捕まって服を破られる
- 反撃:呪われた姿のオカルンが乱入。モモは祖母に教わった「氣」の出し方を思い出し、超能力に目覚める
- 本名:UFOから逃げ出した二人が協力を決め、オカルンの本名が「高倉健」だと分かる
電話の途中で、モモは幽霊を信じる理由を話します。霊媒師の祖母を信じているから。子どもの頃、祖母のおまじないで男子に笑われた過去まで出てきます。
オカルンのほうは、セルポ星人の前でやっと理由を叫びます。友達がいなかったから、宇宙人なら友達になってくれると思ってUFOを呼び続けた。
そんな自分をかばってくれたのが、モモだった。
信じる理由を、片方は電話で話し、片方は宇宙人の前で叫ぶ。
ただし呪いは解けません。ターボババアはオカルンの体から抜けるとき、男の大事なところ、ターボババアの言い方では「イチモツ」を持ったままトンネルへ帰ってしまいます。
原作1話の台詞や、祖母のおまじないで笑われた子どもの頃の話は、漫画1話のネタバレ感想で一コマずつ追っています。アニメ版の面白さは、その筋の上に足された細部のほうです。
原作との違い|監督が足した「蹴り」と、原作から変わった7つの場面
話の筋は原作1話のままです。変わったのは場面の見せ方で、いちばん大きいのは覚醒したモモの蹴りに、冒頭の元カレが重なる演出でした。
アニメの冒頭、モモは元カレに蹴りを入れようとして防がれています。その夜、超能力に目覚めたモモがセルポ星人を蹴り飛ばす瞬間、相手が一瞬あの元カレの姿になる。
山代風我監督は海外メディアDexertoの取材で、この蹴りは自分が足したと話しています。原作者も入れたかったが、漫画だと流れが止まるので外したのだろう、という読みでした。
アニメなら短い回想を挟んでも、スピードとリズムで流せる。オカルンと出会い、過去と向き合ったモモが今度は蹴りを当てる。そこに場面のカタルシスを作りたかったそうです。
| 場面 | 原作漫画 | アニメ第1話 |
|---|---|---|
| 冒頭の別れ | モモの蹴りが元カレの顔に入る | モモの蹴りは元カレに防がれる |
| オカルンの雑誌 | オカルト雑誌 | 『ムー』に寄せた『ポー』という誌名 |
| ペガサス計画のページ | オバマ元大統領に似た人物の絵 | 誰か特定できない絵と「大統領は」の台詞 |
| 病院廃墟 | ― | モモの後ろで何者かの影が動く |
| オカルンの過去 | 叫びの言葉で語る | 紙くずを投げられながら育つ少年の映像が重なる |
| モモの覚醒 | 元カレの回想は入らない | 蹴る相手が一瞬、冒頭の元カレになる |
| 本名が分かるラスト | ― | モモの背後でUFOが爆発する |
病院の影は、気づかないまま通り過ぎる人も多そうな一瞬です。モモが廃墟を進むあいだ、もう何かが後ろについてきている。
オカルンの回想も、言葉だけより痛い。小学生の頃から紙くずを浴び続けた少年が、高校生になったある日、モモが現れる。「かばってくれた」の重さが、映像だと一目で伝わります。
セルポ星人からすれば、なぜか知らない男の分まで蹴られている。とばっちりにも程がある。
映像と音楽の感想|ターボババアの追走と、セルポ星人の不気味さ
アニメ制作はサイエンスSARU、音楽は牛尾憲輔さん。第1話だけで、学校のコメディ、トンネルのホラー、病院の怪しさと、空気が三回は入れ替わります。
トンネルでは、怖がるオカルンが観月ありさの「TOO SHY SHY BOY!」を歌ってごまかしています。1992年の曲です。高校生の選曲としては、だいぶ渋い。
そこへ来るのがターボババアです。逃げるオカルンに、老婆が猛スピードで走って追いついてくる。
追い抜かれたら呪われる。条件付きの追いかけっこなのが、また嫌。
サイエンスSARUは放送直後、オカルンの体からターボババアが飛び出す第1話のカットの原画を公開しました。原画は石守源太さんです。
セルポ星人は、同じ顔がいくつも並んでいるだけで気味が悪い。本来の姿の模様は、ウルトラマンの怪獣ダダを思わせます。宇宙人のくせに、日本の特撮の匂いがする。
山代監督は同じ取材で、戦闘シーンを格好いいカットの羅列にせず、それ自体を一つの物語にすることに力を入れたと話しています。妖怪と宇宙人がぶつかる後半が、まさにそれです。
第1話の放送は2024年10月3日深夜0時26分、MBS/TBS系28局の「スーパーアニメイズムTURBO」枠。放送時間帯には、SNSのトレンド1位にも入りました。
オープニングはCreepy Nutsの「オトノケ」。第1話から流れ、「ダンダダン」の言葉で韻を踏み続ける歌が、放送直後から話題になりました。
OP映像は、白黒のシルエットや墨絵のようなキャラクターが走り抜ける作り。曲の背景は主題歌「オトノケ」の記事、制作会社の話はサイエンスSARUの記事へ。
エンディングは、ずっと真夜中でいいのに。の「TAIDADA」。曲そのものの話はエンディング曲の記事で読めます。
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第1話の声優|若山詩音が収録で言われた「力が入り過ぎているよ」
第1話に出てくる主な4人の声は、次のとおりです。ターボババアとセルポ星人は、『ONE PIECE』のルフィとゾロの声。初回から敵同士です。
| キャラクター | 声優 | 第1話での役回り |
|---|---|---|
| モモ(綾瀬桃) | 若山詩音 | 幽霊派。病院廃墟でさらわれ、超能力に目覚める |
| オカルン(高倉健) | 花江夏樹 | 宇宙人派。トンネルで呪われ、変身した姿で乱入する |
| ターボババア | 田中真弓 | トンネルの妖怪。オカルンに取り憑き、大事なものを持ち帰る |
| セルポ星人 | 中井和哉 | 同じ顔の宇宙人たち。モモの体を狙う |
モモ役の若山詩音さんはアニメイトタイムズのインタビューで、第1話の収録を振り返っています。緊張で構えすぎて、Aパートのテストで「力が入り過ぎているよ」と言われたそうです。
その緊張をほどいたのが、Bパートから出てくるセルポ星人でした。中井和哉さんがA・B・Cの3体を、別録りなしの一続きで演じ分けていた。
驚いていると、横で田中真弓さんがくすくす笑っている。その空気に「私もここにいて良いんだ」とほっとした、と若山さんは話しています。
作中でモモをさらう宇宙人が、収録ではモモ役を救っていた。
もう一つ面白いのが、オカルンのUFO話への返し方です。
若山さんは、まだ心の距離がある1話では、わざと引いたローテンションで返したといいます。一緒に盛り上がると、もう仲良しに聞こえてしまうから。
そのオカルンを演じる花江夏樹さんについては、第1話の時点で「確固たるオカルン像」を完璧に用意していた、と若山さんが驚いています。
あの生返事、狙ってたのか。オカルンがいくら熱く語っても温度が上がらないわけです。
モモの声が場面で低くなったり高くなったりする理由は若山詩音さんの記事、変身後の低い声は花江夏樹さんの記事で掘っています。
ターボババアの低い声の作り方は田中真弓さんの記事、セルポ星人の何体もの演じ分けは中井和哉さんの記事へ。第2話から増える面々は声優一覧にそろっています。
第1話は気まずい?家族や子どもと見る前に知っておきたい場面
第1話は、家族や小さな子どもと一緒に見るには向かない回です。下ネタだけでなく、性的な脅しをはっきり描いています。
深夜アニメらしく、遠慮なく出てきます。
- ターボババアが、オカルンに下品な要求をしながら追いかける
- セルポ星人がモモの服を破り、拘束して体を調べようとする
- 子孫を残せなくなったセルポ星人が、性行為をはっきり口にしてモモに迫る
- オカルンが、ターボババアに男の大事なところを持ち去られる
なかでもセルポ星人の場面は、笑いより先に性暴力を思わせる怖さが来ます。苦手な人は、ここだけは心づもりをしてから見てください。
それでも重たい空気に沈まないのは、モモが最後まで抵抗し、最後は自分で蹴り返すからです。この回で一番強いのは、捕まっている側のモモでした。
作り手のほうも隠す気はありません。アニメ公式Xは放送開始の合図に、「ダイイチワ、ハジマリマシタヨ」の一言とバナナの絵文字を添えています。
2026年10月には、TBSの金曜ドラマ『LOST10』第2話で、母親が入院中の幼い娘にダンダダンを1話から見ようと誘う場面がありました。
Xには、あの年の子と1話は見ないだろう、というツッコミが何件も上がっています。
1話を見た人ほど、あの台詞で背筋が伸びる。ドラマの不穏さとは別の意味で。
作品全体の評判は、アニメの評判をまとめた記事で確かめられます。
第1話の感想|「ジブン不器用なんで」で、冒頭の失恋がひっくり返る
ラストのうまさは、名前のオチに尽きます。モモが元カレと付き合った理由は、顔が高倉健に似ていたから。そのモモの前で、同級生が「高倉健」と名乗ります。
呪いを自分で解くと言い張るオカルンに、モモは一緒に行くと言い返します。そこでオカルンの口から出たのが「ジブン不器用なんで」。
高倉健さんの「自分、不器用ですから」を思わせる一言で、モモの胸が鳴る。その直後に本名が明かされ、背後ではUFOが爆発します。
| 比べる点 | 冒頭の元カレ | ラストのオカルン |
|---|---|---|
| 高倉健との重なり | 顔が似ているだけ | 名前が同じで、台詞まで似ている |
| モモとの距離 | 振られて終わる | 巻き込みたくないから一人で行こうとする |
| モモの蹴り | 防がれる | 同じ夜、セルポ星人へ決まる |
若山さんもこのラストを、モモにとって「天地が逆転するくらいの出来事」だったのでは、と話しています。好意を持つとは思えない相手から始まった1話なのに。
顔だけ似ていた男のあとに、名前も台詞もそろった本物が来る。そりゃUFOも爆発します。
ただ、恋の予感で終わったように見えて、問題は何も片づいていません。オカルンの大事なものはトンネルに置いたまま。ここからが本番です。
第2話はどうなる?原作で続きを読むなら1巻の第2話から
第2話「それって宇宙人じゃね」では、二人がモモの家へ一時避難します。ところが鳥居の御札を外したせいで、巨大な宇宙人フラットウッズモンスターが現れます。
第1話でまだ「オカルト君」だった呼び名が、「オカルン」に変わるのも原作では2話です。その由来は漫画2話のネタバレ感想で読めます。
アニメ第3話ではモモの祖母・星子が登場し、ターボババアとの鬼ごっこに向けた特訓が始まります。流れはアニメ第3話の感想へどうぞ。
原作の第1話は、少年ジャンプ+の第1話として公開されています。冒頭の蹴りが元カレの顔にしっかり入るコマなど、アニメとの違いを自分の目で見比べられます。
単行本なら第1話も第2話も1巻に入っています。元カレへの蹴りから御札の結界まで、アニメ1・2話の範囲を一冊で読み返せます。
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まとめ|アニメ第1話は、防がれた蹴りを一晩で当て直す回
『ダンダダン』アニメ第1話は、原作1話の筋をそのままに、冒頭の失恋とラストの本名を一本の線でつないだ回でした。
高倉健に似ているだけの男に防がれた蹴りが、その夜、本物の「高倉健」と出会った後に決まる。たった1話のうちに、モモは失恋の続きまで自分で片をつけています。
ただし、割を食ったのはオカルン。初日で、恋の始まりと大事なものの紛失が同時に来ています。
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